紙袋は、デザインの工夫次第で商品や企業のイメージ向上につながるツールです。デザインの選択肢が豊富なため、幅広い業種においてショップバックや自社の広告として活用されています。
本記事では、紙袋のデザインにこだわるべき理由や基本構造、デザイン・印刷方法のポイントなどを徹底解説します。オリジナル紙袋を制作して自社のマーケティングに役立てたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
紙袋のデザインにこだわるべき理由

紙袋は商品の包装にとどまらず、企業のブランディングに貢献するツールです。デザインにこだわった手提げ紙袋を顧客が持ち歩くことで、企業やブランドを知ってもらう機会となります。
紙袋は、商品の購入後にサブバッグや贈り物用として再利用されることが多く、ノベルティとしての価値もあるのが特徴です。魅力的な紙袋は日常で繰り返し使われるため、宣伝効果が高い傾向にあります。
さらに、おしゃれなデザインの紙袋はSNSで拡散される可能性もあり、企業やブランドの認知度向上に果たす役割は大きいといえます。
紙袋の基本構造

紙袋のデザインを考える際は、基本構造の理解が欠かせません。
紙袋は以下のパーツからなる立体物です。
名称 | 概要 |
おもて正面 | ・紙袋デザインの主役となる部分 ・ロゴやイラスト、写真などのデザイン要素を配置する |
うら正面 | ・おもて正面の反対側で、貼り合わせ(のりしろ)がくる ・おもて正面と同じ見栄えにするか、サブのデザイン要素を配置する |
マチ(側面) | ・紙袋の厚み部分 ・マチの厚みに合わせたさまざまな折り方がある |
口折り | ・紙袋の口を折り返した部分 ・持ち手がつくため、補強の役割がある |
持ち手 | ・持ち運びやすいよう加工する部分 ・紐をつける方法と口折りを小判型にくり抜く方法がある |
底面 | ・持ち手の反対側にあたる地面に接する部分 ・底に厚みをもたせると自立するようになる |

紙袋の底面には、以下の3種類があります。
- 厚みのない平袋
- 両端を折り込んで厚みを出した船底
- 四角形で自立する角底
なお、印刷会社によってパーツの呼び方は異なるため、上記の名称はあくまで参考にとどめてください。
オリジナル紙袋のデザイン・印刷を成功させるポイント

紙袋をおしゃれなデザインに仕上げるためのポイントには、以下があげられます。
- 商品に合うデザインのイメージを固める
- 用途に合わせた素材を選ぶ
- 表面加工で見栄えや機能を向上させる
- 持ち手にこだわる
- ロゴのデザインを工夫する
- マチのデザインにも気を配る
- 色を戦略的に決める
- 特殊加工で差別化する
なお、紙袋の制作をデザイン会社や印刷会社にオーダーすると、マーケティング効果を高められます。以下では、各ポイントの注意点を詳しくみていきましょう。
商品に合うデザインのイメージを固める
紙袋のデザイン制作では、商品の特徴やブランドの価値観に合わせたイメージの統一が重要です。ブランドと調和したデザインは、商品や企業の印象を高める効果があります。
例えば、シンプルで機能性重視の衣類を販売する会社の場合は、無駄のないフォルムや実用的な持ち手の紙袋が適しています。
また、紙袋のデザインには商品パッケージとの統一感も欠かせません。
身近な例として、スターバックス・コーヒー・ジャパンでは、期間限定商品のカップと紙袋を同じデザインで統一しています。美しいサクラのイラストなど季節感のあるデザインを取り入れ、商品の特徴や希少性をアピールしている好事例です。
参照:スターバックス・コーヒー・ジャパン「プレスリリース」
用途に合わせた素材を選ぶ
紙袋は素材によって見た目や耐久性が異なるため、用途に応じた選択が大切です。
紙袋の代表的な素材は以下の3種類です。
名称 | 概要 |
未晒(みさらし)クラフト紙 | ・漂白されていない茶色の紙 ・強度に優れる ・色の再現性は劣る ・自然な風合いがあり、飲食店や雑貨店などの紙袋に用いられる |
晒(さらし)クラフト紙 | ・漂白された白い紙 ・色の再現性に優れる ・強度は未晒クラフト紙より劣る ・デザインの自由度が高く、幅広い商品の紙袋に用いられる |
コート紙 | ・表面を塗料でコーティングした紙 ・ツヤのある質感とマットな質感の2種類がある ・色の再現性に最も優れる ・上質なイメージから、高額商品や営業用の紙袋に用いられる |
紙袋はパルプを使用するため、環境に悪いイメージをもたれる場合があります。
環境への配慮を示すには、認証を受けた木材を原料とする「FSC®認証紙」を用いると効果的です。また、紙を粉砕した紙パウダーと植物由来の原料を配合した「パルピース」と呼ばれる素材もあります。

表面加工で見栄えや機能を向上させる
表面加工には、紙袋の耐久性を高めたり、質感を変えたりする効果があります。
紙袋に使われる代表的な加工方法は以下の3種類です。
名称 | 概要 |
グロスPP加工 | ・表面にツヤのあるPPフィルムを貼る加工 ・つるりとした光沢のある仕上がり ・表面を保護して水をはじく効果がある ・印刷の色が濃く見える場合がある |
マットPP加工 | ・表面にマットな質感のPPフィルムを貼る加工 ・光沢を抑えた落ち着きのある仕上がり ・表面を保護して水をはじく効果がある ・表面が擦れるとスジが入る場合がある |
ニス引き | ・表面に透明な樹脂を塗る加工 ・未晒クラフト・晒クラフト紙によく使われる ・紙の風合いを損なわずに色落ちや傷を防げる ・耐水性はPP加工よりやや劣る |
表面加工を施すことで、魅力的で丈夫な紙袋に仕上がり、結果として宣伝効果も高まります。なお、対応可能な表面加工は印刷会社ごとに異なるため、事前の確認が必要です。

持ち手にこだわる
紙袋の持ち手は、色や素材を変えることで印象が大きく変わります。持ち手には、紐を付けるタイプと口折り部分を小判型にくり抜くタイプがあります。
紐を付ける場合の代表的な素材は、以下のとおりです。
名称 | 特徴 |
紙紐 | ・紙をねじってつくる丸紐の持ち手 ・クラフト紙のナチュラルなデザインに合う ・コストを抑えられる |
アクリル紐 | ・アクリルの糸でつくる持ち手 ・平紐と丸紐がある ・強度が高いため長期間使える |
リボン | ・凹凸のあるグログランリボンやシルキーなサテンリボン ・独特の光沢や上質感がある ・デザイン重視の場合におすすめ |
ハッピータック | ・プラスチックの持ち手 ・耐水性に優れる ・スナップがついており袋の口を留められる |
紙袋に求める見栄えや機能に合わせて、必要な持ち手を選びましょう。
ロゴのデザインを工夫する
企業やショップのロゴは、紙袋のデザインの主役となる重要な要素です。余白を意識して、ほどよい大きさでロゴを配置すると、シンプルでおしゃれなデザインに仕上がります。
例えば、紙袋の中央に大きめのロゴを配置すれば、強い印象を残せます。一方で、下部に小さくロゴを配置した紙袋は、さりげなく上品なイメージです。インパクトを出したい場合は、ロゴを縦や斜めに配置する方法も効果的です。
また、ロゴを罫線などで囲むとデザインのアクセントになります。ロゴの囲み方は、直線で四角く囲むほか、カギカッコ風や点線・二重線など多彩なバリエーションがあります。
マチのデザインにも気を配る
立体的な紙袋では、マチ(側面)もデザインの重要な要素です。色を変えたりロゴを配置したりすることで、デザインに変化をもたせられます。
例えば、紙袋のおもて正面とうら正面の基調となる色は用紙のままとして、マチを別の色でべた塗りする方法があります。また、紙袋の正面とマチに同じキャラクターの異なる姿を印刷して、続きのデザインにするのもおすすめです。
そのほか、マチにロゴやホームページのURL・QRコードなどを印刷すると、マーケティング効果を高められます。
色を戦略的に決める
紙袋の素材やレイアウトを決めたら、デザインに合った色を選びます。ブランドカラーを上手に取り入れつつ、全体のバランスを整えることが大切です。
一般的な方法としては、ロゴを主体としたデザインにした上で、色数は3色程度に抑えます。デザインに用いる色数が多すぎると、散漫な印象を与えるためです。
ロゴを色で印刷する方法だけでなく、紙袋全体に色を塗ってロゴやマークの部分を白抜きにする方法もあります。また、金や銀、メタリックなどの特色を活用すると、よりオリジナリティの高い仕上がりになります。


特殊加工で差別化する
紙袋に特殊加工を加えると特別感を演出できるため、他社との差別化につながります。特に、ロゴが主体のシンプルなデザインの場合、特殊加工でインパクトを与えられます。
例えば、ロゴに「箔押し加工」できらめきを加えて、高級感を演出する方法がおすすめです。「エンボス加工」でデザインや文字を浮き出させて、独特な質感を出す方法もあります。
ただし、特殊加工に対応できるかは印刷会社によって異なるため、事前に問い合わせて確認しましょう。


まとめ

おしゃれなデザインの紙袋を活用すると、消費者にインパクトを残せて、企業や商品の認知度を高められます。商品に合うデザインを考え抜き、箔押しやエンボスなどの特殊加工を取り入れることで、オリジナリティの高い紙袋に仕上がります。
宣伝効果の高い紙袋が必要な場合は、実績があるデザイン会社や印刷会社に相談するとよいでしょう。