「ネーマーシール」とは|種類や特徴を紹介

ネーマーシール、銀ネーマー、蒸着PETシール
目次

銀ネーマー(銀PET)・金ネーマー(金PET)・白コート(白PET)

ネーマーシールとは

ネーマーシールとはフィルム系の材質の1つで、PETフィルムの表面にアルミ蒸着(じょうちゃく)加工した素材。
ベースの素材はポリエステルのため耐久性・耐水性・耐熱性に優れており、電化製品や工業製品でも多く使用される。表面は金色と銀色があり、「ツヤあり」、「ツヤなし(ツヤ消)」、また髪の毛のような細い線状模様の加工をされた「ヘアライン」などの表面の種類がある。金色を「金ネーマー」銀色を「銀ネーマー」と呼ぶことが多い。PET素材から「金PET」「銀PET」と呼ぶこともある。また銀蒸着された表面に白塗装をした「白コート」もある。
これらはアルミ蒸着されているため、シールをめくった糊面は銀色のアルミ調になっている。

ネーマーシールの種類

【材質の厚み】
一般的なシールには#25(25ミクロン)、#50(50ミクロン)が多く使用される。
#100(ミクロン)、#200(ミクロン)などの厚みのある材質もあり、銘板などにも使用される。厚みのあるものは材質自体の価格が高く、印刷物の価格も高額になりやすい。
【粘着剤の種類】
強粘着が一般的だが、電化製品や工業製品にも使われるため、工業向けの特殊な粘着もラインナップされている。
溶剤性強粘着/強粘再剥離/粗面用強粘着/鋼材用超強粘など

銀ネーマー ツヤあり(銀ツヤ)

厚み:#25/#50/#100/#200/#250

粘着:溶剤性強粘着、強粘再剥離(#50)、粗面用強粘着(#50)

剥離紙(セパレーター):クラフトセパ、グラシンセパ

表面は鏡面のような銀

金ネーマー ツヤあり

厚み:#25/#50

粘着:溶剤性強粘着

剥離紙(セパレーター):クラフトセパ、グラシンセパ

表面は鏡面のような金

銀ネーマー ツヤ消し

厚み:#25/#50/#100/#200/#250

粘着:溶剤性強粘着、強粘再剥離(#50)、粗面用強粘着(トイシ)(#25、#50)、鋼材用超強粘(#25、#50)

剥離紙(セパレーター):クラフトセパ、グラシンセパ

表面はマットな質感の銀

銀ネーマー 練り込み消し銀
通常の消し銀は艶のある表面を荒らしてマット調にしているため、爪などで表面を引っ掻くと傷になるが、「練り込み」の消し銀は元々マット調の銀を蒸着して作られているため傷がつきにくい。通常の消し銀とは見た目だけでは判断しにくいが、艶消しよりはコストが高くなる。
厚み:/#50
粘着:溶剤性強粘着
剥離紙(セパレーター):青セパ(上質系)

金ネーマー ツヤ消し

厚み:#25/#50

粘着:溶剤性強粘着、強粘再剥離(#50のみ)

剥離紙(セパレーター):クラフトセパ、グラシンセパ

表面はマットな質感の金

銀ネーマー ツヤ ヘアライン

厚み:#100/#250

粘着:溶剤性強粘着

剥離紙(セパレーター):クラフトセパ

表面は髪の毛のような細い線状模様のヘアライン加工がされており特徴的

銀ネーマー 消し ヘアライン

厚み:#50/#200

粘着:溶剤性強粘着

剥離紙(セパレーター):クラフトセパ

表面は髪の毛のような細い線状模様のヘアライン加工がされており特徴的

金ネーマー ツヤ ヘアライン

厚み:/#50

粘着:溶剤性強粘着

剥離紙:クラフトセパ

表面は髪の毛のような細い線状模様のヘアライン加工がされており特徴的

白コート

厚み:#25/#50/#100

粘着:溶剤性強粘着、強粘再剥離(#50のみ)、粗面用強粘着(トイシ)(#25、#50のみ)

剥離紙(セパレーター):クラフトセパ、グラシンセパ

表面はしっとりしたマットな質感

白コートの注意:表面の白色は銀ベースの上に塗装しているため、真っ白より少し暗めに見える。表面は白いがシールをめくると裏面はシルバーになっている。

特徴と使用用途

●表面のイメージから
表面が金、銀のメタリックなアルミ調の見た目から素材自体に存在感があり、高級感や特別感を演出できる。ツヤの有無やヘアラインなどイメージに合わせて選ぶことができる。

・ブランドのロゴシール、留めシール
・アテンションシール、POPシールなど
・贈答品などのパッケージラベル
・ステッカーシール
・コスメ、美容関連ラベル
・バージンシール、封緘シール

●水濡れに強い材質の特性から
フィルム系のPET素材のため耐水性があり水濡れする製品にも使用できる。

・ロゴ、社名シール
・水回りで使用する日用品
・園芸用品、農業用品等

●丈夫で熱に強い材質の特性から
フィルム系のPET素材のため耐熱性、耐久性が高い。

・電化製品やパソコンなど電子機器等の部品ラベル
・車、自転車等のステッカーシール
・アウトドア製品のロゴや表示シール
・製品の銘板、ロゴシール
・管理ラベル、品番ラベルなど

※屋外で長期間使用するステッカーなどは使用期間などによって屋外用の専用シール素材を推奨している。

●透けにくい特性から
銀蒸着の加工のため、貼っても下の文字や柄が透けにくくプラ容器などの訂正用としても使用できる。

プラ容器の訂正シール

・訂正シールとして
※「白コート」は表面が白いため水回りや浴室で使用する製品パッケージの訂正シールとしても使用できる。

ネーマーシールの特徴を活かした印刷

メタリック調の素材のため、インキを載せた部分がメタリックの輝きをもった色になる。
そのため、メタリック感を抑えるためには色インキの下に白インキを引くことが必要。
デザインの中にメタリックの部分と白で抑えた部分を共有させることでネーマー特有のデザイン表現が可能になる。

銀ネーマーに黄色を印刷することで、金色を表現することができる。箔押しよりも高級感は劣りますが、黄色の色を調整することで好みの金色にすることができる。金色部分のデザインを替えたい場合に箔版がかからないのでコストを抑えてデザインの巾が広がり、箔加工では表現できない細かい柄なども表現できる。

PET材質のためポッティング(ドーミング)加工とも相性が良く、付加価値のある印刷物にも使用できる。

ネーマーシールを使用する場合の注意点

材質の注意

◾️材質の厚み、粘着剤、セパレーターは種類や組み合わせが様々なためイメージ、使用用途、貼り方などを印刷会社と相談の上、材質を決定する。

◾️ステッカー等にも使用されるが、シールの使用方法、使用期間などを事前に打ち合わせることが必要。長期間の屋外使用の場合は屋外耐候性のある材質(屋外用塩ビ)などを推奨する場合がある。また金ネーマーは長期使用によって表面の金が薄くなる場合がある。

◾️一般的な表示等のシールには#50(50ミクロン)を使用することが多いが、直径の細い容器や、箱の角の部分に貼るときは、材料の反発によりはがれることがあるため、薄い#25を使用することが多い。
(例):バージン(封緘)シール、アイライナーやボールペンなどの細い容器の表示シール

◾️材質が金属探知機に反応するので、そういった検査がある製品に使用する場合は事前に材質のサンプルにて確認が必要。

◾️シールを貼ったまま電子レンジに入れるとスパークする。電子レンジを使用する製品には使用しない、または対策済みの材質を使用する。


◾️艶消しの場合は表面を引っ掻くと傷が入るため、傷が気になる場合は傷のつきにくい「練り込み」タイプなどを使用する必要がある。
商品に貼って輸送中にラベルが擦れる場合、ラミネート加工をすることが多い。

加工時の注意

◾️ラミネート加工をする場合、艶消し、ツヤありの組み合わせに注意する。消しの材質にツヤのラミネートを貼ると消しの質感がなくなる。

貼る時の注意

◾️PET系のフィルム素材はシールのサイズが大きいと貼る時などに気泡が入りやすいため、大きめのサイズで作成する場合は事前に確認した方が安心。
ネーマーシール(特に銀シール)は指紋がつきやすいため、手作業で貼る場合は注意が必要。

ホイルの金・銀シールとの判別

◾️表面が金、銀のシール素材に「ホイル」があります。ホイルは紙素材のため、シールをめくった粘着部分は白色になっています。ホイル素材は手で簡単に破ることができ水濡れに弱いなど、ネーマーと素材の特性が違うため間違えないよう注意が必要。

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