警告ラベル作成の基礎知識|PL法・規格・素材と色の選定方法を解説

警告ラベル作成の基礎知識、PL法・規格・素材と色の選定方法を解説

「初めて警告ラベルを作成することになったので正しい知識を身につけたい」
「PL法やISO規格などのルールが複雑でよくわからない」
とお悩みの方も多いでしょう。

警告ラベルは、製品などの潜在的な危険性をユーザーに知らせ、事故を未然に防ぐための重要な表示です。

本記事では、警告ラベルの基礎知識から使用素材や色の選定方法を詳しく解説します。警告ラベルの貼付を必要とする製品開発が必要な企業のご担当者様は、ぜひご覧ください。

目次

警告ラベルとは

警告ラベルとは、製品などの潜在的なリスクを事前に消費者や利用者に伝えるための表示のことです。文字やマーク、画像などが用いられることが多く、警告ラベルには警告表示や注意喚起を行う目的があり、文字やマーク、画像など視認性の高いものが用いられます。

また誤解を招かないよう明確な言葉で警告する必要があります。適切な警告ラベルを貼付することで、事故や怪我を未然に防ぎ、さまざまなリスクを回避できるでしょう。

PL法(製造物責任法)

PL法(製造物責任法)は、製造物の欠陥により命や体、財産に損害を与えた場合、被害者が製造業者などに対して損害賠償の請求を行えることを定めた法律です。

PL法で規定している欠陥は主に以下3つです。

  • 製造上の欠陥
  • 設計上の欠陥
  • 指示・警告上の欠陥

警告表示の不備は「指示・警告上の欠陥」に該当します。もしこの欠陥が原因で事故などが起これば、製造者は損害賠償責任を問われるかもしれません。

警告ラベルの貼付けは、法的な義務ではありません。しかし、警告ラベルを貼付するだけで抑止できるリスクがあります。製品を安全に利用してもらうためにも、わかりやすい警告ラベルを正しく作成し、貼付することが求められます。

ラベルの必要性

流通している製品は安全に使用できるように設計されていますが、トラブルが起きないとは言い切れません。製品の品質とコストの調整を行い、受け入れられる範囲のリスクを残して製品を流通させるのが一般的です。受け入れられる範囲のリスクを「残留リスク」といい、危険性や危険な箇所を取扱説明書などに記載し、ユーザーに情報を提供します。

さらに最も危険な箇所には警告ラベルを貼付し、ユーザーに注意喚起を促さなければなりません。残留リスクがあるにもかかわらず、警告ラベルの貼付を怠るとPL法に抵触する恐れがあります。欠陥とみなされないためにも、警告ラベルの貼付は必要です。

警告ラベルの主な規格

警告ラベルに表示する注意喚起のルールは各国で定められています。主な規格は以下3つです。

  • ISO規格|国際的に使用されている規格
  • ANSI規格|アメリカで使用されている規格
  • JIS規格|ISO規格を日本語表記にした規格

それぞれの規格について説明します。

ISO規格|国際的に使用されている規格

ISOはInternational Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称で、日本を含む世界170カ国(2024年3月時点)が加盟する非政府組織です。ISO規格は、世界共通の品質基準として製品やサービスの国際市場におけるスムーズな流通を目的としています。

警告ラベルでは「ISO 3864」が主に使われます。特に国際的な事業展開を行う企業にとって、ISOの規格に沿って製品を製造したり、注意喚起を行うことは極めて重要です。

ANSI規格|アメリカで使用されている規格

ANSI規格は、American National Standards Institute(アメリカ規格協会)が定める規格のことです。ANSI規格はアメリカ国内で使用される製品安全基準ですが、ISO規格のもととなる規格を制定する場合もあります。

警告ラベルでは「ANSI Z535」が主に適用されます。

JIS規格|ISO規格を日本語表記にした規格

JIS規格とは、Japanese Industrial Standards(日本産業規格)のことです。ISOの規格を日本語に翻訳し、国内向けに運用できる形へ整備した規格です。そのため、JIS規格とISO規格に大きな違いはありません。

ISOの国際規格をベースにしながら、日本語表記でわかりやすく整備されています。

警告ラベルを構成する要素

警告ラベルは、基本的に以下の要素を用いて作成します。

  • シグナルワード
  • シンボル(絵文字)
  • 警告メッセージ

これらの要素を組み合わせることで、ユーザーは一目で危険を認識できるため、製造物の残留リスクに対する注意喚起が行えます。それぞれの要素を解説しますので、注意事項が瞬時に伝わる警告ラベルを作成できるよう参考にしてください。

シグナルワード

シグナルワードは警告ラベルに使用する単語で、危険度レベルを表します。シグナルワードは主に以下4つが使用されます。

シグナルワードの種類危険度シグナルワードの意味
DANGER(危険)高い最高レベルの危険を意味し、その指示に従わない場合、重傷や死亡につながる可能性が極めて高い
WARNING(警告)やや高い重大な危険があり、指示を無視すれば重傷や死亡のリスクがある
CAUTION(注意)やや低い指示に従わなければ軽傷につながる可能性がある
NOTICE(注記)※低い製品の適切な使用方法や設置、運用に関する重要情報の提供を行う

※「NOTICE」はANSI Z535のみ

シグナルワードは、危険度レベルを文字で明確に知らせる重要な役割があります。また、NOTICE以外のシグナルワードの左横には危険を示すマークを配置する決まりがあります。

シンボル(絵文字)

シンボルは、特定の安全に関するメッセージを伝えるために使用する図記号(絵文字)です。シンボルに適用する規格は国や業界によって異なるため、単にISOに準拠しているからといって万全だとは限りません。

シンボルの形は以下の3通りです。

シンボルの形シンボルの意味
黄色い正三角形注意喚起のほか危険を警告する警告ラベルマーク
赤い円形に斜線特定の行動を禁止する警告ラベルマーク
青い円形する必要がある行動を指示する警告ラベルマーク

例えば、黄色い正三角形の中央に感嘆符(!)のあるシンボルは、代表的な注意喚起のマークで、目にする機会も多いでしょう。

シンボルにはさまざまな種類があり、適切なデザインを選ぶことがユーザーの安全につながります。

警告メッセージ

警告メッセージは、危険の種類や回避方法、そして危険を回避しないと起こる可能性がある事故などをユーザーに知らせるために記載します。メッセージはユーザーが理解しやすいように、1文1意で表示するのが基本です。

よく目にする警告メッセージに以下のようなものがあります。

  • 高温注意 火傷の恐れあり
  • 発火の恐れあり 取り扱い注意

製品を海外に輸出する場合は、その国の言語で警告メッセージを記載しなければなりません。わかりやすい警告メッセージは、製品の安全な使用に不可欠です。

警告ラベルに使用する素材と色の選定方法

ここでは、警告ラベルに使用する素材と色の選定方法を紹介します。

警告ラベルにはさまざまな素材が使用され、規格によって使われる色が決められています。製品を使用する環境を考え、適切な素材や色を選びましょう。

使用する素材

警告ラベルに使用する多く使用されている材質は以下の通りです。

  • PET透明
  • PETホワイト
  • PET銀ツヤ
  • PET銀マット 
  • ユポ(合成紙)

上記のほかにも、耐熱性や耐油性の素材があります。ラベルを貼付する場所や環境条件によって、使用する素材や印刷方法は変わります。

また、永久的な耐久性を備えたラベルの製造は、現在の技術では極めて困難です。ラベルを一定期間で交換することを前提とした上で、使用する素材を検討しましょう。

使用する色

警告ラベルに使用する色は、規格ごとに決まっています。ここでは安全色の規定となる「JIS Z 9103」のマンセル値を紹介します。

  • 赤:8.75R 5/12
  • 黄赤:5YR 6.5/14
  • 黄:7.5Y 8/12
  • 緑:5G 5.5/10
  • 青:2.5PB 4.5/10
  • 赤紫:10P 4/10

ISO7010やISO3864-4、ANSIZ535.1などで色についての対応方法が示されているので、警告ラベルを作成する際は事前に確認するとよいでしょう。

まとめ

警告ラベルを作成する際は、さまざまな規格が関係しているためルールが複雑です。そのため、内製で作成すると後々トラブルにつながるかもしれません。警告ラベルの作成で不安な方は、外注の検討を推奨します。正しい警告ラベルを作成し、ユーザーが適切に製品を使用できるようにしましょう。

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