クラフトビールラベルの印刷方法は?サイズやデザインのコツを解説

クラフトビールラベルには、商品独自のストーリーや世界観を伝えて、消費者の購買意欲を高める役割があります。

自社のオリジナルビール販売にあたって「ラベルの印刷方法を知りたい」「消費者に選ばれる差別化のコツがわからない」などの悩みを抱える方もいるでしょう。

今回は、クラフトビールラベルの主なサイズや表示ルール、デザイン・印刷で差別化するコツなどを解説します。本記事を読めば、基本ルールを押さえながら、自社ならではのおしゃれなラベル制作ができるようになります。

※本記事は2025年7月時点の公表情報をもとに執筆しています。最新の制度の内容は、国税庁や業界団体のホームページを併せてご確認ください。

クラフトビールのラベルにも使用できるちょっと特殊な印刷素材・加工をまとめたカタログはこちら

目次

クラフトビールラベルとは

クラフトビールラベルとは、ビールのボトル・缶に貼られて商品の魅力や情報を消費者に伝えるラベルです。その独創性は、一般的なビールラベルと比べて際立っている傾向にあります。

ラベル制作にあたり、消費者の購買意欲に働きかけるおしゃれなデザインが重要なのは、ほかの商品と同様です。それに加えて、クラフトビールの場合は、ブランドのストーリーや生産者(ブルワリー)の思いなどが購入の決め手となりやすい点を押さえる必要があります。

クラフトビールラベルは、表示ルールを遵守した上で、デザインや素材の選択肢を駆使してブランドの世界観を表現することが重要です。

クラフトビールラベルの主なサイズ

クラフトビールラベルのデザインを制作する際には、まずサイズを決める必要があります。

クラフトビールラベルの主なサイズは、以下の3つです。

用途サイズ特徴
350ml缶用縦90mm×横180~200mm小さいスペースにデザインや情報を詰め込む必要がある
500ml缶用縦130~140mm×横180~200mm350ml缶用よりも面積が大きく、デザインの幅が広い
330ml瓶用形状による四角や楕円などさまざまな形状のラベルがあり、個性を出しやすい

いずれの場合も、限られたスペースのなかで、いかにデザイン性を高めるかを戦略的に考えることが重要です。

クラフトビールラベルの表示ルール

クラフトビールを含め、ビールは酒税法に定められる「発泡性酒類」であり、酒類に該当します。そのため、以下のような法令による表示ルールがあります。

  • 食品表示法
  • 酒類業組合法
  • ビールの表示に関する公正競争規約
  • 景品表示法

法令は都度変更される可能性があるため、実際にラベルを制作するにあたっては、国税庁のホームページで最新情報を確認してください。また、管轄の税務署に相談すれば、正確な情報を得られます。

以下では、クラフトビールラベルの表示ルールの概要をみていきましょう。

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必須記載事項

クラフトビールラベルには、法令によって必須記載事項が定められています。

主な事項は以下のとおりです。

  • 名称(商標)、ビールである旨
  • 事業者の氏名(名称)・住所
  • 製造所の住所
  • 内容量
  • アルコール分
  • 原材料
  • 原料原産地の情報
  • 添加物
  • 20歳未満の飲酒禁止
  • 妊婦の飲酒注意
  • 税率適用区分
  • 賞味期限または品質保持期限
  • 保存方法と取扱い上の注意等
  • 資源有効利用促進法等の表示(アルミ缶、スチール缶の識別マークなど)

食品表示基準により、原則8ポイント以上の文字で表示する義務があります。また、原則として使用するのは見やすいフォント(楷書体かゴシック体)です。

これら以外にも、表示する際の細かいルールが定められています。ビールの中身や製造工程によって追加で記載が必要となるものもあります。

国税庁のチェックシートを参照すると、項目を網羅的に確認可能です。

参照:国税庁「酒類の表示
参照:国税庁「酒類の表示方法チェックシート(各品目共通)

ビールの種類と任意表示事項

ビールにはさまざまな種類があり、一定の基準を満たせばラベルで種類を表示可能です。

ビールの種類ごとの基準は以下のとおりです。

ビールの種類満たすべき基準
ラガービール貯蔵工程で熟成させたビール
生ビール・ドラフトビール・熱処理していないビール
・熱処理していない旨を併記
黒ビール・ブラックビール原料の一部に濃色の麦芽を用いた、色が濃いビール
スタウト原料の一部に濃色の麦芽を用いた、色が濃くて特に香味が強いビール

上記の基準を満たしていても、ラベルに種類を表示する義務はありません。また、基準を満たしていれば複数の種類を表示できます。

参照:全国公正取引協議会連合会「ビールの表示に関する公正競争規約及び施行規則

不当表示事項

クラフトビールラベルには、消費者の安全を守るため、記載してはならない不当表示事項もあります。

不当表示事項の例は以下のとおりです。

  • ビール以外のものをビールのように誤認させる表示
  • 品質がビール以外のほかの商品より特に優れているかのように誤認させる表示
  • 成分や原料等が実際よりも優良であると誤認させる表示
  • 賞でないものを賞であるかのように誤認させる表示
  • 原産国や産地等について誤認させる表示

ラベル制作にあたっては、これらの事項についても業界団体や国税庁のホームページで最新の情報を確認しましょう。

参照:全国公正取引協議会連合会「ビールの表示に関する公正競争規約及び施行規則
参照:国税庁「酒類の表示方法チェックシート(各品目共通)

クラフトビールラベルのデザイン・印刷のコツ

クラフトビールラベルのデザイン・印刷のコツには、以下があげられます。

  • コンセプトに合ったデザインを考え抜く
  • 素材でコンセプトを演出する
  • 特殊加工で差別化する

コツを押さえれば、ブランディング強化や売上向上につながるオリジナルラベルを制作できるようになります。それぞれ詳しくみていきましょう。

コンセプトに合ったデザインを考え抜く

クラフトビールラベルを制作する際、まずは製品のコンセプトや伝えるべきストーリーを明確にしましょう。コンセプトから逆算してデザインを考えれば、訴求力を高められます。

例えば、手作りへのこだわりを押し出したい場合は、ラベルも手作り感のあるデザインにするとコンセプトが伝わりやすいでしょう。ワイナリーが作ったビールとしてアピールしたい場合は、ワインを連想させるラベルにすると効果的です。

また、ターゲットとなる消費者の嗜好も意識する必要があります。主な購買層の年齢が高い場合は、落ち着きや伝統を感じさせるデザインがおすすめです。一方、若い購買層には、新しさやセンスを感じさせるデザインがよいでしょう。

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素材でコンセプトを演出する

クラフトビールラベルは、素材によって見栄えや機能が大きく異なります。

主な素材は以下のとおりです。

素材名素材の特徴
ユポ・なめらかなポリプロピレン素材
・耐水性や耐久性に優れ、コストパフォーマンスが高い傾向にある
ミラーコート紙・表面がコートされて強いツヤがある素材
・明るい雰囲気を出したい場合や、写真やカラーイラストを用いるラベルに向いている
上質紙・さらさらしてツヤがない素材
・ラベル印刷後にスタンプなどの追加情報を加えやすく、ロットナンバーの管理がしやすい
和紙・独特の風合いを持つ素材
・和の雰囲気や高級感を演出できる
・耐水性の和紙素材もある

ミラーコート紙や上質紙は耐水性がなく、剥がれる可能性があります。そのため氷水につけて販売するなどの場合には、耐水性のある素材がおすすめです。

また、印刷版を用いないデジタル印刷では、特別な加工をせずにさまざまな色合いのメタリックな表現ができる「シルバーインキ」を使用する選択肢もあります。シリーズ商品で味や風味ごとに色を変えるといった演出もできます。

ブランドのコンセプトに合致した素材を選べば、より効果的にストーリーを伝えられるでしょう。

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特殊加工で差別化する

クラフトビールラベルの印刷素材に特殊加工を加えれば、消費者に深い印象を残せるようになります。

主な特殊加工は以下のとおりです。

加工名特徴
箔押し加工・表面に箔を圧着させる加工
・金箔や銀箔で高級感を演出したり、鮮やかな色の箔でロゴなどを引き立たせたりできる
ラミネート加工・表面にフィルムを貼る加工
・表面を保護でき、ツヤやマットなど独特の質感を出せる
エンボス加工・文字やデザインの一部を凸加工して、立体感と高級感を演出
・独特な手触りで差別化でき、手に取った際の印象を強める

特殊加工により、ラベルの個性が際立ち、細かな演出も可能となります。印刷会社によって対応可能な加工は異なるため、デザインの詳細を相談するとよいでしょう。

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まとめ

クラフトビールラベルは、ブランドの個性や世界観を伝えて他社との差別化を図れるツールです。法令の表示ルールを守ることはもちろん、デザインや素材・加工の選択によって、消費者に選ばれる魅力的な商品を演出できます。

本記事の内容を参考にして、ブランドの価値と売上を向上させるオリジナルラベルを制作しましょう。

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