ワインラベルは、消費者にワインの魅力や中身をわかりやすく伝える重要な役割を果たします。一方で、ワインラベル制作には、表示ルールや印刷方法などに関して必要な知識が多く、困っている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、ワインラベルの概要やボトルの種類、デザインのコツ、印刷方法などをわかりやすく解説します。自社オリジナルのワインラベルを制作できるよう、ぜひ最後までご覧ください。
※本記事は2025年7月時点の公表情報をもとに執筆しています。最新の制度の内容は、国税庁のホームページを併せてご確認ください。
ワインラベルとは

ワインラベルとは、ワインボトルの表や裏に貼られる商品情報を記載したラベルのことです。ワインラベルには、品名・産地・生産年などの品質に関する情報やブランドの魅力が盛り込まれています。
ワインラベルのデザインは、ワインの中身や味のイメージを消費者に短時間で伝える重要な要素です。消費者は商品棚に並ぶワインラベルを見比べて購入の意思決定をすることがよくあります。
そのため、ワインラベルは企業や商品のマーケティングに影響をもたらす存在といえるでしょう。
なお、ワインラベルはエチケットとも呼ばれます。エチケットは、フランス語で「中身を表示する荷札」の意味です。そこから派生して、ワインラベルもエチケットと呼ばれるようになりました。
ワインボトルの主な種類

ワインボトルの形状は比較的自由度が高く、さまざまな特徴のボトルが存在します。ワインラベルの形やサイズは、ボトルの形状を考慮して決める必要があります。
ワインボトルの主な種類は、以下のとおりです。
ボトルの種類 | 特徴 |
ボルドー型 | ・ワインボトルでイメージされやすい円筒状の「いかり肩」ボトル ・ボルドー産など渋みのある赤ワインが多い |
ブルゴーニュ型 | ・丸みを帯びた円錐状の「なで肩」ボトル ・ブルゴーニュ産ワインや白ワインによく使用される |
ライン型・モーゼル型 | ・ドイツのライン地方やモーゼル地方で誕生した細長い形状のボトル ・辛口で軽快な飲みごたえのワインが多い |
上記のように、形状によって産地や中身を推測しやすい点がワインボトルの特徴です。
ワインラベルの表示ルール

日本国内では、消費者がワインの中身を誤解しないよう表示ルールが定められています。ワインの内容や製造工程によって区分があり、表示ルールがそれぞれ異なります。
主なワインの区分は、以下のとおりです。
表示区分 | 概要 |
日本ワイン | ・国産ぶどうのみ使用 ・国内製造 |
国内製造ワイン | ・海外原料を使用 ・国内製造 |
輸入ワイン | 海外から輸入された果実酒 |
表示ルールは表ラベルと裏ラベルの両方にあり、いずれも国税庁の食品表示基準が根拠です。最新情報は、必ず国税庁の公式ホームページを併せて確認してください。
参照:国税庁「果実酒等の製法品質表示基準を定める件」
参照:国税庁「ワインラベルが語ること」
表ラベルの表示ルール
日本ワインと国内製造ワインの表ラベルには、表示ルールが課せられています。
日本ワインは、表ラベルに「日本ワイン」と任意で記載が可能です。また、条件次第で地名・品種・収穫年の表示もできます。例えば、地名が表す範囲内にぶどうの収穫地(85%以上使用)がある場合は「〇〇県産ぶどう使用」などと記載可能です。
国内製造ワインの表ラベルには、使用した海外原料の表示が義務づけられています。例えば「濃縮果汁使用」などと記載します。地名や品種などの表示はできません。
なお、海外からの輸入ワインには、表ラベルの表示ルールはありません。
表示ルールの詳細は、国税庁の食品表示基準に記載されています。
参照:国税庁「果実酒等の製法品質表示基準について」
裏ラベルの表示ルール
ワインラベルの裏ラベルにも、表示ルールがいくつか定められています。
基本的な項目は、以下のとおりです。
表示義務項目 | 表示内容 |
品目 | ワインの場合は「果実酒」と記載 |
一括表示 | ・原材料名・添加物・製造者・内容量・アルコール分など ・区分ごとに記載が必要な項目がある(例:日本ワインの場合は「日本ワイン」と表示) |
20歳未満の飲酒防止に関する表示 | 「飲酒は20歳になってから」といった記載を表示 |
上記の表示内容のうち、区分ごとに必要な表示はルールが複雑なため、国税庁のページで詳細を確認しましょう。そのほかにも、酒類業界の自主基準により「妊産婦の飲酒」に関する注意表示が推奨されています。
日本ワイナリー協会の公式ホームページには、関連法規がまとまっています。以下のページを参考にしてください。
参照:国税庁「果実酒等の製法品質表示基準について」
参照:日本ワイナリー協会「ワインの基礎知識」
参照:日本ワイナリー協会「関係法令・基準情報」
ワインラベルのデザイン制作のコツ

ワインラベルのデザイン制作のコツには、以下があげられます。
- ワインの世界観を表現する
- ブランドの魅力・コンセプトを反映させる
コツを理解すると、消費者にワインのイメージや魅力が伝わるラベル制作ができるようになります。それぞれ詳しくみていきましょう。
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ワインの世界観を表現する
ワインがもつ世界観をデザインに反映すれば、消費者に深い印象を残し、購買意欲を引き出せる可能性があります。
ワインの世界は、主に以下の2種類に分かれます。
世界区分 | 特徴 |
旧世界 | ・古くから知られる伝統的なワイン生産地 ・代表的な生産地は、フランスやイタリアなどヨーロッパの国々 |
新世界 | ・大航海時代を経てワインが伝わった地方 ・代表的な生産地は、アメリカやアルゼンチン、日本など |
ラベルデザインを作成する際は、旧世界や新世界のイメージを盛り込むのがコツです。
例えば、旧世界の場合には、ゴシック・ルネサンスなど中世ヨーロッパを連想させる古典的かつ神秘的なデザインがおすすめです。一方、新世界のワインは、新しい技術を積極的に取り入れた革新的で大胆なデザインが向いています。
こうした考え方をワインラベルのデザインに取り入れることで、魅力的な商品に仕上げられます。
ブランドの魅力・コンセプトを反映させる
ワインラベルのデザインにブランドの魅力が伝わる要素を盛り込むことで、消費者の目に留まりやすくなります。特に、デザインのフォントや色をアピールポイントに合わせるとよいでしょう。
例えば、ワインの伝統を表現したい場合は、楷書体や行書体の使用がおすすめです。一方で、若者向けのポップな雰囲気を演出するなら、カジュアルなPOP体が向いています。
また、辛口やキレの良さをアピールする場合は、白・黒・赤などシンプルでわかりやすい色がよく使われます。深みのある赤ワインのイメージを伝えたい場合は、ぶどう色と大きな赤ぶどうの画像を用いてインパクトを与えるのも効果的です。
なお、色を選ぶ際には「使用する色は3色までに抑える」「アクセントカラーとして差し色を取り入れる」といった基本原則を押さえておきましょう。


ワインラベル印刷で注意したいポイント

ワインラベルの印刷を依頼する際には、以下の2つを意識しましょう。
- ラベルの素材や加工方法にこだわる
- 自社に合った印刷方法と仕上がりを選ぶ
これらの注意点を知っておくと、より訴求力の高いラベル制作が可能になります。それぞれ詳しく解説します。
ラベルの素材や加工方法にこだわる
ワインラベルを美しく仕上げるためには、素材や加工方法を慎重に選ぶ必要があります。
ワインラベルの代表的な素材は、合成紙(ユポ)などの耐水性素材です。冷やして飲むワインでも、水滴でラベルが破れにくい点が強みです。常温保存するワインの場合、可読性に優れている上質紙やおしゃれな和紙なども使用されます。
また、ワインラベルに高級感を出せる加工方法には、箔押し加工やエンボス加工(文字や絵柄を浮き彫りにする加工)があります。そのほか、耐水性を強化できるラミネート加工もおすすめです。
使用できる素材や加工方法は印刷会社によって異なるため、詳細は問い合わせましょう。


自社に合った印刷方法と仕上がりを選ぶ
ワインラベルの制作を依頼する際には、ロット数や生産頻度に応じた印刷方法と仕上がりを選ぶ必要があります。
ワインラベルの主な印刷方法は、以下のとおりです。
印刷方法 | 概要 |
オフセット印刷 | ・印刷版を用いる方法で、大ロット向き ・多くのワインを繰り返し生産する場合におすすめ |
オンデマンド印刷(デジタル印刷) | ・印刷版を用いずデジタルデータから直接印刷を行う方法で、小ロットに対応しやすい ・限定ワインの製造やサンプルラベルの制作に適している |
また、ワインラベルの仕上がりには、以下の2つがあります。
仕上がり | 概要 |
シート仕上げ | ・シートに分かれて刷り上がるタイプ ・1枚ずつ手作業で貼り付ける必要があるため、小ロットに向いている |
ロール仕上げ | ・ロール状の用紙にラベルが並ぶタイプ ・貼り付けにはラベラーと呼ばれる機械が必要で、大ロットに向いている |
手作業による貼り付けの手間を省いて生産性を上げたい場合は、ロール仕上げにしてラベラーの使用を検討しましょう。


まとめ

ワインラベルには、消費者にワインの魅力をわかりやすく伝えて、購買意欲を高める効果があります。表示ルールの遵守に加えて、ブランドの魅力やコンセプトを十分に反映したデザインづくりが重要です。
本記事を参考にして、消費者の心を魅了するオリジナルワインラベルを制作しましょう。
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