表面加工をした印刷物|使い分けしたい加工の種類と特徴7選

印刷物の表面加工はコーティングやプレスコート、ラミネートなど種類が豊富にあり、印刷にプラスすれば質感やデザインのバリエーションが広がります。

本記事では、表面加工の種類や特徴、印刷物に表面加工を施すメリットを解説します。また、表面加工をする上での注意点も紹介しますので、商品や販促品にオリジナリティを演出したいと考えている方はぜひ参考にしてください。

目次

印刷物に使用する表面加工とは?種類と特徴を紹介

表面加工とは、印刷物の表面にニスやフィルムなどを乗せ、強度とデザイン性をワンランクアップさせる加工技術です。耐久性が向上するほか、デザインのバリエーションも広がります。

ここでは「塗る加工」と「貼る加工」に分け、それぞれの特徴をご紹介します。

  • 塗る加工|コーティングをしつつデザイン性アップ
  • 貼る加工|デザインの幅が広がって耐久性も上がる

表面加工の種類と特徴を把握して、シールやパッケージなど印刷物を制作する際の参考にしてください。

塗る加工|コーティングをしつつデザイン性アップ

塗る加工とは、塗料を印刷面に塗布し、デザイン性や耐久性を向上させる加工技術です。塗る加工の主な種類と特徴は以下、表の通りです。

種類特徴
ニス・UVニス印刷をかける際にニスを同時に塗布する
全面や部分的な使用ができる
印刷面を保護して色落ちを防ぐ
コーティング・UVコーティング樹脂を塗布し、コーティングする
部分的な使用ができる
印刷面の耐久性が増加、デザイン性も向上する
プレスコート光沢剤を塗布し、金属板で圧着させる
熱プレスで光沢感を引き出す
仕上がりが滑らか
シルク印刷シルクやナイロンなどの極細繊維を利用して塗料を刷る
シルクスクリーンとも呼ばれる
紙、布、金属、ガラス、プラスチックなどの素材に印刷可能

また、塗る加工の仕上がりは、以下のような質感を選べます。

  • つや出し
  • マット調
  • ホログラム

塗る加工は、塗料やコーティングを用いて表面を保護することで耐久性の向上が可能です。また、既存商品との差別化を図りたい時にも、表面を保護しつつ、つや出しやマット調など高級感のあるデザインが選択できます。

貼る加工|デザインの幅が広がって耐久性も上がる

貼る加工とは、印刷面にフィルムを接着し、デザイン性や耐久性を向上させる加工技術です。貼る加工の主な種類と特徴は以下、表の通りです。

種類特徴
ラミネート加工紙にフィルムを貼り加工する
光沢と強度が増す
耐久性や耐熱・防湿も期待できる
高圧プレス加工紙をプラスチックシートで挟み、熱圧着で加工する
厚みが増し、丈夫な仕上がりになる
紙の問題により剥がれる可能性がある
箔押し・コールドフォイルフィルムの色彩を熱圧着で加工する
メタリック(金・銀)を表現できる
高級感が増す

また、貼る加工の仕上がりは、以下のような質感を選べます。

  • つや出し
  • マット調
  • 金・銀
  • ホログラム
  • 和紙
  • 不織布 など

貼る加工はデザイン性に優れており、あらゆる素材の使用が可能です。見た目や手触りで高級感やオリジナリティを出せるため、他社製品との差別化を図るのに適した加工技術です。ただし、印刷物の種類によって加工を施せないこともあるため、事前に依頼業者へ確認しておきましょう。

表面加工を印刷物に施す4つのメリット

印刷物に表面加工を施すことで得られるメリットは以下、4つあります。

  • 独自性の高いデザインが作れる
  • 商品や販促物の差別化につながる
  • 耐久性や強度を高める
  • 経年変化を防止する

それぞれのメリットを詳しく解説します。

独自性の高いデザインが作れる

表面加工のメリットの一つに「デザイン性の向上」が挙げられます。表面加工を施すことで独自性の高いデザインを追求できるため、競合製品との差別化が可能です。

エンボス加工やデボス加工を用いれば、文字やロゴに陰影を施し、視覚だけでなく触覚に訴えかけられます。また、パイルを埋め込むフロッキー加工を利用すれば、パイルの長さによって芝生やベルベットのような手触りの表現も可能です。

このように表面加工は印刷物の見た目を向上させるほか、さまざまな質感や触感を表現し、独自性のあるデザイン作りに貢献します。

商品や販促物の差別化につながる

表面加工された印刷物は、加工のない印刷物に比べて、高級感や重厚感、プレミアム感を与えられます。

化粧品のパッケージに箔押し加工を施せば、高級感や清潔感など洗練されたイメージを印象づけられるでしょう。また、パンフレットやカタログにコーティングを施すことで、汚れや破れに強くなり、クオリティーも高くみえます。

用途やイメージに合った加工方法を取り入れれば、他社製品との差別化につながります。消費者の興味を引くためにも、表面加工は重要なテクニックの一つです。

耐久性や強度を高める

表面加工は、印刷物の耐久性や強度を高める働きがあります。

紙は水分や湿気に弱いため、水に濡れたままの状態だと破れる恐れがあります。しかし、表面加工を施せば、印刷物の耐久性と強度が向上するため、印刷物の保護が可能です。

また、特殊なインキを使用すれば、紫外線耐性や抗菌効果の追加もできます。ただし、紙の種類や加工技術によって施せる表面加工や厚み、強度は異なるため、目的に合った素材選びも大切です。

経年変化を防止する

印刷物は紫外線に弱いため、日光を浴び続けるとインキの色褪せや紙の変化・劣化につながります。このような経年変化を防止する際も、表面加工は役立ちます。

例えば、ポスターやステッカーなど常に外気や日光に当たる印刷物にラミネート加工を施せば、印刷面が保護されて耐熱や防湿が可能です。また、教科書のように日常的に使うものには、摩擦に強くなる加工が表紙に施されています。

ただし、すべての変化や劣化を防ぐことはできません。しかし、表面加工を施せば、経年による変化や劣化を遅らせることが可能です。

表面加工の注意点

印刷物に表面加工を施すメリットは多く、消費者の購買につなげる施策として活用を検討する方もいらっしゃるでしょう。

一方、表面加工をする際に注意しておきたいポイントもあります。

  • それぞれの表面加工には不向きな用紙がある
  • 表面加工は印刷とは別に費用と日数がかかる

それぞれの注意点を解説します。

それぞれの表面加工には不向きな用紙がある

表面加工は思い描くデザインや用途で使い分ければ、よりよい商品を作るために効果を発揮します。しかし、希望する用紙では加工ができない場合もあるため注意が必要です。

例えば、熱処理をするPP加工は熱に弱い紙や薄い紙では、仕上がりによれが生じます。また、エンボスやデボス加工は、凹凸のある型で紙をプレスするため、厚い紙や薄手の紙では圧が入りにくく、凹凸がつきにくいのが難点です。

表面加工を行えない原因に、紙素材と加工工程の相性があります。制作の際は、素材同士の相性も確認しながら、専門の印刷会社に相談するとよいでしょう。

表面加工は印刷とは別に費用と日数がかかる

表面加工は印刷と同時に加工を行えないものが多いため、余裕を持ったスケジュールで専門の印刷会社に依頼をしましょう。また、制作会社と印刷会社にそれぞれ依頼をした場合、製造するまでに時間がかかるケースもあります。リリース日から逆算してスケジュールを組むとよいでしょう。

加工の種類や発注枚数により、制作日数や費用も異なります。表面加工を利用する際は、スケジュールと費用面での検討も大切です。

まとめ

表面加工には多くの種類があり、その特徴によって、印刷物の印象を大きく変える効果があります。印刷物に表面加工を施すためにはコストを考慮する必要がありますが、得られるメリットも多く競合商品との差別化を図れます。

また、表面加工は見た目のクオリティーを高めるほか、質感や凹凸などの手触りを加えて、触感を刺激し、消費者へ印象づけることも可能です。このような加工は商品パッケージのほか、パンフレットやカタログ、シールなどあらゆるシーンに利用できます。

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