冊子印刷とは、印刷した複数の用紙をホチキスや糊でひとつの束になるよう綴じることです。冊子が読み手に与える印象は、製本の種類や印刷方法によって大きく変わります。
本記事では、主な冊子の綴じ方やサイズ、用紙、印刷方法の基本を初心者向けにわかりやすく解説します。
自社の目的や用途に合った綴じ方や用紙を選び、魅力的な印刷物を制作しましょう。
冊子印刷とは

冊子印刷とは、印刷した複数の紙を束ね、針金や糊などで綴じて一冊の本にすることです。情報を体系的にまとめられ、持ち運びがしやすくなるといったメリットがあります。
企業がマーケティングや事業に活用する冊子は、以下のように多岐にわたります。
- 会社案内・採用案内
- パンフレット
- 製品のカタログやマニュアル
- 広報誌・記念誌
機能性やデザインにこだわった冊子を制作できれば、自社の認知度向上やブランディング強化につながります。冊子には綴じ方や用紙、印刷方法などさまざまなポイントがあり、目的に合わせて戦略的に選ぶ視点が重要です。
なお、ユネスコの基準では「表紙を除き本文が5~48ページで不定期に刊行される印刷物」が「小冊子」と分類されています。
主な冊子の綴じ方

冊子印刷をする際には、用途やページ数に合わせて綴じ方(製本の種類)を選びます。ここでは、代表的な以下の4種類の綴じ方を紹介します。
- 中綴じ|折り目をホチキスや糸で留めるスタンダードな製本
- 無線綴じ|背を糊で貼りつける多ページ対応可能な製本
- 平綴じ|紙の端をホチキスや糸で綴じる簡易的な製本
- 上製本|硬い表紙で仕上げる保存性の高い製本
なお、冊子の厚みや使用期間などに応じて最適な綴じ方は異なります。どれがよいか迷った場合は、印刷会社へ相談すると安心です。
中綴じ|折り目をホチキスや糸で留めるスタンダードな製本

中綴じとは、用紙を二つ折りにして、折り目部分をホチキス(ステープル)や糸で綴じる製本方法です。
中綴じの主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
| メリット | ・見開きがフラットに開きやすい ・製本コストが比較的安めで、納期も短め |
| デメリット | ・背表紙が作れない ・ページ数(厚み)に上限がある |
中綴じは比較的厚みがなく、短期間の配布・イベント用途の冊子などによく用いられます。例えば、会社案内や学校案内、各種パンフレットなどにおすすめです。


無線綴じ|背を糊で貼りつける多ページ対応可能な製本

無線綴じとは、紙の背を専用の糊で固めて、表紙で包む製本方法です。くるみ製本とも呼ばれます。
無線綴じの主なメリット・デメリットには、以下があげられます。
| メリット | ・ページ数が多くても安定して仕上がる ・背表紙にタイトルを印字でき、並べて保管しやすい |
| デメリット | ・ページの開きが硬く、レイアウトがやや見えにくい ・ページが少ないと仕上がりが悪く、割高になる場合がある |
無線綴じは長期的に保管される冊子や、本としての体裁が必要な冊子に向いています。例えば、記念誌やマニュアル、厚めのカタログなどによく用いられます。

平綴じ|紙の端をホチキスや糸で綴じる簡易的な製本

平綴じとは、紙の束の端を表紙の上からホチキスや糸で留める簡易的な製本方法です。
平綴じの主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
| メリット | ・特に小ロットや即日の制作に対応しやすい ・制作手順が簡単で、自社での制作が容易な傾向にある |
| デメリット | ・綴じ側が大きく開かず、やや読みにくい ・厚い冊子には向いていない |
平綴じは、実務上すぐ配る資料や内容が更新されやすい冊子に向いています。例えば、会議資料や説明会資料、社内マニュアルの暫定版などにぴったりです。
冊子の本文では、綴じ側の開きにくさを意識して、余白を確保したレイアウトを考える必要があります。
上製本|硬い表紙で仕上げる保存性の高い製本

上製本とは、本文と表紙を別々に作り、厚手の硬い表紙(ハードカバー)で本文を包む保存性の高い製本方法です。
上製本の主なメリット・デメリットには、以下があげられます。
| メリット | ・耐久性が高く、長期保存がしやすい ・見た目に重厚感があり、贈呈や展示に向いている |
| デメリット | ・コストが高めの傾向にある ・重量があり、頻繁な持ち運びには向いていない |
上製本は記録や記念のために制作する、長く残す価値のある冊子に用いられます。例えば、周年記念誌や図録、社史などにおすすめです。
一方、上製本と同じく書籍でもよく使われるものに並製本(ソフトカバー)があります。本文と表紙を同時に綴じ、本文と同じサイズの柔らかい紙で包む製本方法です。文庫本などでもお馴染みで、工程が簡略化されているためコストを抑えやすく、軽量で扱いやすいのが特徴です。
冊子の綴じ方向は主に左綴じと右綴じの2種類

冊子の綴じ方向には、左綴じ(右開き)と右綴じ(左開き)の2種類があります。
左綴じは、紙の左側で綴じて、冊子の右側から開く形式です。文章が横書きの場合には左綴じが一般的で、企業が作成する冊子も左綴じのものが多い傾向にあります。
右綴じは、紙の右側で綴じて、冊子の左側から開く形式です。文章が縦書きの場合には右綴じのほうが読みやすく、記念誌などに用いられます。
なお、紙の上を綴じて下側から開く天綴じと呼ばれる特殊な形式もあります。
冊子は規格サイズの用紙が一般的

冊子印刷に使用される用紙の多くは、読みやすさやコスト、配布形態などを考慮して規格サイズが選ばれます。
代表的な規格サイズの特徴は以下のとおりです。
| サイズ | 特徴 |
| A4(210×297mm) | ・十分な情報量を確保でき、視認性が高い ・会社案内、カタログ、製品マニュアルなど |
| B5(182×257mm) | ・雑誌感のあるサイズで、手に持って読みやすい ・会報誌、業界レポート、定期刊行物など |
| A5(148×210mm) | ・カバンに収まりやすく、イベント・商談での配布に強い ・営業ツール冊子、展示会の配布資料など |
| B6(128×182mm) | ・片手で開けるサイズで、何度も開く用途に向いている ・マニュアル、スタッフ用の手順書など |
| 四六判(127×188mm前後) | ・書籍に近く、信頼感や落ち着きを演出できる ・ブランドブック、採用案内など |
上記のほか、読み手に強いインパクトを残すために、規格サイズ以外が選ばれることもあります。
冊子のデータを作る場合は、ページ数に応じてページの付け合わせ(※)をする必要もあります。
※印刷した用紙を折って綴じた際にページ順が正しく並ぶよう、印刷用にページを配置する作業
冊子の印刷方法はロット数や制作頻度で選ぶ

冊子印刷には、主にオフセット印刷とオンデマンド印刷(デジタル印刷)と呼ばれる2種類の印刷方法があります。どちらがよいかはロット数や制作頻度で判断が可能です。
オフセット印刷は、印刷版を制作して印刷する一般的な方式です。大量印刷向きで、1部あたりの単価を抑えられる傾向にあります。
一方、オンデマンド印刷は、印刷版を作らずにデジタルデータを直接印刷する方式です。小ロットや制作頻度の高い印刷物に向いています。
ほかにも、写真の再現性が高いグラビア印刷をはじめ、さまざまな印刷方法があります。自社の冊子に最適な印刷方法については、印刷会社に相談するとよいでしょう。


冊子印刷の用紙により印象は大きく変わる

冊子印刷は用紙の種類によって読み手に与える印象が大きく異なります。
冊子に用いられる主な用紙の種類は以下のとおりです。
| 種類 | 概要 |
| 上質紙 | ・一般的なコピー用紙に似ており、癖のない仕上がりになる ・文字が読みやすく、筆記もしやすい |
| マットコート紙 | ・光沢が抑えられ、落ち着いた仕上がりになる ・文字とデザインどちらも綺麗に再現できる |
| コート紙 | ・光沢があり、美しい仕上がりになる ・写真やイラストの再現性が高い |
冊子のページ数は原則4の倍数にするのがよいとされています。製本する際に、1枚の紙を折りたたんで冊子にするためです。また、冊子の表紙には、印刷面を保護しつつ質感を変えられる「ニス加工」や「ラミネート加工」といった表面加工を用いる場合もあります。
用紙や特殊加工にこだわりたい場合には、印刷会社に確認しましょう。

まとめ

冊子印刷では、綴じ方やサイズ、用紙、印刷方式によって仕上がりや読みやすさが大きく変わります。用途に合った製本方法を選ぶことで、情報がより伝わりやすく、印象に残る冊子を制作できます。
自社のノウハウが足りない場合には、印刷会社に相談すると安心です。配布目的やデザインの雰囲気に合わせて最適な仕様を検討し、自社にとって価値の高い印刷物づくりにつなげましょう。
