印刷にはどんな種類がある?特徴や目的に合う方法で発注しよう

印刷にはどんな種類がある?特徴や目的に合う方法で発注しよう

印刷方法にはいくつか種類があり、部数や目的に合わせた方法を選べば印刷コストを抑えて発注ができます。

本記事では、印刷の種類や特徴を詳しく解説し、コストを抑えて発注する際のポイントを紹介します。印刷が必要な商品の開発や販促グッズを制作する際は、本記事を印刷発注ガイドとしてお役立てください。

目次

メジャーな5種類の印刷方法

印刷方法はさまざまな種類があり、主に利用されているのは以下の5種類です。

  • 凸版印刷|活版印刷・フレキソ印刷
  • 凹版印刷|グラビア印刷
  • 平版印刷|オフセット印刷
  • 孔版印刷|スクリーン印刷
  • 無版印刷|オンデマンド印刷

このほかに、箔押しやシルクスクリーンなどの特殊加工印刷があります。それぞれの印刷の特徴とメリット・デメリットを解説します。

凸版印刷|活版印刷・フレキソ印刷

紹介する5種類の印刷方法のうち、凸版印刷は最も歴史があります。凸版印刷のメリット・デメリット・主な用途は以下、表の通りです。

メリット輪郭がハッキリ印刷され、文字が読みやすい
ある程度のロット数であればコストが安い
デメリット繊細なグラデーションの表現が弱い
写真やイラストなどの印刷がやや荒い
主な用途名刺
帳票
封筒などの事務用品
シール・ラベル
新聞
書籍 など

文字やロゴの印刷が得意な凸版印刷は、繊細な色の表現を必要とする写真の印刷には向いていません。オリジナリティやレトロな風合いを演出できるため、名刺やショップカードにも使用されます。

凹版印刷|グラビア印刷

凹版印刷は、ポスターや写真集などの写真がメインになる印刷でよく使われる印刷方法です。凹版印刷のメリット・デメリット・主な用途は以下、表の通りです。

メリット写真やグラデーションの再現性が高い
高精細な表現の評価が高い缶やペットボトルなど紙以外の素材に印刷できる
デメリット版のコストが高い
小ロット印刷には向かない
主な用途写真集
画集
雑誌のグラビアページ
梱包資材 など

凹版印刷の強みは、印刷の繊細さと写真の再現性が高い点です。また、紙以外の素材にも印刷ができるため、幅広い用途で活用されています。高精細な印刷は版を作るためのコストがかかり、大量発注でなければ採算が合わない場合もあるでしょう。

平版印刷|オフセット印刷

コスト面・品質面ともにバランスがよい平版印刷(へいはんいんさつ)は、現代で最も活用されている印刷手法です。平版印刷のメリット・デメリット・主な用途は以下、表の通りです。

メリット凹版印刷に次ぎ、再現性が高い
細かな文字や写真の印刷も可能
凹凸がある紙以外の素材への印刷にも対応
デメリット印刷濃度がうすく輪郭がややぼやけた印象
版を作るコストがかかるため、小ロット多品種印刷はやや不向き
主な用途写真集
画集
雑誌のグラビアページ
梱包資材 など

印刷の品質は、凹版印刷の次にさまざまな製品の印刷に活用されています。

孔版印刷|スクリーン印刷

孔版印刷(こうはんいんさつ)は、シルクを使用していたことから「シルクスクリーン」とも呼ばれています。孔版印刷のメリット・デメリット・主な用途は以下、表の通りです。

メリット布、ガラス、金属など紙以外の素材に印刷可能
版のコストが安い
小ロット印刷に対応
レトロな雰囲気を表現できる
デメリット版の耐久性が低い
印刷スピードが遅い
大ロット印刷には不向き
印刷が荒くグラデーションなど細かな表現は不向き
主な用途Tシャツ
ステッカー
キーボード など

現在は、シルクではなくナイロンやテトロンなどの化学繊維を使用して印刷を行います。孔版印刷の荒い質感は難点でもありますが、その味わいを活かした印刷物も多くあります。

無版印刷|オンデマンド印刷

無版印刷(むはんいんさつ)は、パソコンから直接機械にデータを送って印刷する方法で、デジタル化と共に生まれた技術です。無版印刷のメリット・デメリット・主な用途は以下、表の通りです。

メリット中途変更・改版がしやすい
刷版の作成コストを抑えられる
小ロット・多品種印刷に向いている
短納期での対応が可能
デメリット大ロット印刷には不向き
グラビア印刷やオフセット印刷より再現性がやや低い場合が多い(印刷機の性能に左右される)
主な用途小ロット・多品種印刷のDM
事務印刷
色味を確認する試し刷り など

無版印刷は刷版代がかからないため、小ロット多品種印刷に向いています。また、印刷物の品質は印刷する機械の性能によって異なります。

【番外編】特殊加工印刷|箔押し・エンボス

高級感や特別感を表現できる特殊加工印刷もあります。特殊加工印刷にはさまざまな種類があり、代表的なものは「箔押し」「エンボス」印刷の2種類が挙げられます。特殊加工印刷のメリット・デメリット・主な用途は以下、表の通りです。

メリット凹凸や光沢など、Web上では難しい表現ができる
効果的に使うと視認性が高まる
無断転載や偽造のリスクを減らせる
デメリット専用の版を作るコストがかかる
小ロット印刷では割高となる
主な用途紙幣などの偽造防止
ラベル印刷
パッケージ印刷
ギフトカード など

箔押しやエンボスは高級感を出せるため、贈答用の印刷で目にする機会も多いでしょう。特殊加工印刷でしか表現できないものもありますので、気になる方は専門の印刷業者へお問い合わせください。

印刷の種類でコストを抑えられる?2つの発注ポイント

印刷の種類によって印刷にかかる費用は異なります。限られたコストで専門の印刷会社に発注する場合は、以下2つのポイントに注目しましょう。

  • 発注数と印刷の内容に応じた印刷方法を選択
  • コストを抑えるなら企画~印刷まで一括発注

それぞれのポイントを詳しく解説しますので、印刷物を制作する際の参考にしてください。

発注数と印刷の内容に応じた印刷方法を選択

オンデマンド印刷以外の印刷方法は、「刷版(さっぱん)」と呼ばれる印刷をするために欠かせない印刷版の作成が必要です。そのため、印刷費用のほかに刷版の作成費用がかかり、刷版を作る必要がないオンデマンド印刷の方が安く思われがちです。しかし、発注数や印刷の内容によっては、オンデマンド印刷の方が高くついてしまう可能性があります。

印刷物を制作する際は、発注数や印刷の内容を専門の印刷会社へ相談するとよいでしょう。デザインや印刷する素材に適した印刷方法を提案できるため、印刷物の品質も高く、イメージ通りの仕上がりになります。

また、紙の質感や色の再現性を確認したい方は、印刷サンプルを見せてもらうのもよいでしょう。

コストを抑えるなら企画~印刷まで一括発注

品質にこだわりがない場合は、自社で制作を行うのも可能です。ただし、ある程度のデザインや印刷に関する知識を身につけておく必要があります。また、デザインのみ制作会社に依頼し、自社でプリントアウトもできますが、イメージ通りの仕上がりにはならない場合があります。

高品質な仕上がりを求めるなら、企画やデザイン部門を設けている専門の印刷業者への依頼が安心です。企画も担当できる印刷業者は、トレンドや競合調査を行い、希望にあったデザインの提案が行えます。さらに、印刷・製造もできるため、それぞれ別の会社に依頼するよりも納品までの期間が短くなる場合もあります。

印刷物を制作する際は、どの制作方法が適しているのか吟味し、最も負荷のかからないものを選ぶとよいでしょう。

まとめ

印刷の種類は多く、発注数や印刷する内容に合わせた方法が選べます。また、印刷には得意・不得意なものもありますので、印刷に不安を感じる場合は専門の印刷会社に相談するとよいでしょう。

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