印刷は外注すべき？メリット・デメリットや流れを初心者向けに解説

企業がイメージ通りの印刷物を制作するために、印刷の外注は効果的な選択肢のひとつです。外注の活用により、デザイン性の高い印刷物の制作が可能になり、自社の業務効率化にもつながります。

本記事では、印刷を外注するメリット・デメリットや流れ、外注先を選ぶコツについて、初心者向けにわかりやすく解説します。

自社プリントか外注かを的確に判断し、印刷の費用対効果を高められるよう、ぜひ最後までご覧ください。

印刷の外注先にはネット印刷と印刷会社がある

まず印刷の外注先には、大きく分けてネット印刷と印刷会社があります。

ネット印刷は、インターネット上で入稿から納品までが完結するサービスです。印刷データは自前で用意した上で、印刷方法はホームページから自社で選択します。

一方、印刷会社は会社ごとに担当者がつき、営業対応や打ち合わせがある事業所型のサービスです。印刷データの用意は必須ではなく任せられますが、印刷会社とのやりとりが比較的多く発生します。

そのため、コストやスピードを重視したり、決めごとが少ない印刷を外注したりする場合には、ネット印刷がおすすめです。決めごとが多く、印刷の品質にこだわるなら印刷会社に外注するとよいでしょう。

なお、印刷データの作成はデザイン会社に外注もできますが、デザインと印刷をまとめて外注したほうが、やりとりが煩雑になりにくいというメリットがあります。

印刷を外注するメリット

印刷を外注する主なメリットには、以下があげられます。

成果の出やすい印刷物を量産できる
長期的な業務削減につながる

メリットを理解すれば、自社の印刷業務を外注したほうがよいかを明確に判断できるようになります。それぞれ詳しくみていきましょう。

成果の出やすい印刷物を量産できる

印刷を外注すると、自社プリントよりも品質にこだわった印刷物を多く制作できます。プロにしかない印刷のノウハウや高性能の設備を活用できるためです。

印刷の品質を高める要素の例には、以下のようなものがあります。

印刷素材や印刷方式などを豊富な選択肢から選べる
特殊な形状やサイズにも対応している
印刷会社の場合は特殊加工ができる場合が多い

特に、商品パッケージやシール、パンフレットなど、品質の高さが売上に直結するような印刷物は、外注を検討するとよいでしょう。大ロットの場合でも、色味のブレや紙質のばらつきを抑えながら、同じ品質で制作できます。

長期的な業務削減につながる

自社プリントをせずに外注すると、印刷に関する手間だけでなく、機材の準備や紙・インクの管理、印刷物の仕分けといった業務を削減できます。その結果、印刷物の担当者が企画やマーケティングといったコア業務に注力しやすくなります。

定期的に印刷を外注すれば、印刷データの保管をしてもらえて、やりとりも最低限でよくなる場合も少なくありません。

また、マーケティング効果を高める印刷の技術やトレンドは日々変化します。印刷を外注していれば、新しい情報を外注先から受け取れて、自社への導入を容易に判断できるようになります。

印刷を外注するデメリットと注意点

印刷を外注する主なデメリットには、以下があげられます。

コストと時間がかかる傾向にある
イメージと異なる仕上がりになる場合がある

あらかじめ注意点を把握しておけば、印刷の外注に失敗するリスクを減らせます。それぞれ詳しく説明します。

コストと時間がかかる傾向にある

一般的には、印刷の外注は自社プリントと比べてコストが高くなる傾向にあります。特に、数十枚単位といった小ロットの依頼や、デザインの微調整が多い印刷物では割高になります。

また、自社プリントより発注から納品まで時間がかかりやすい点にも注意が必要です。ネット印刷なら数日で対応できる場合もありますが、印刷会社で打ち合わせをすると1週間以上は見込まれます。

そのほか、発注内容の細かい変更やキャンセルには、追加コストが発生する可能性があります。

そのため、ロット数が百枚以上と多め、あるいは複数回依頼する見込みがある場合には、外注がおすすめです。その際、依頼先との調整は、印刷物が必要なタイミングの直前ではなく、2週間以上前など余裕をもって始めましょう。

イメージと異なる仕上がりになる場合がある

外注で大量印刷する前に、出来上がった印刷物を確認しないと、イメージと異なる仕上がりになる場合があります。仕様変更や刷り直しが必要になると、多大なコストがかかります。

特に、画面上で見えている色・デザインと実際の印刷物では、違いが発生しがちです。印刷素材によっても印刷の濃度や発色が大きく変わります。

また、印刷会社にデザインから依頼する場合、曖昧な伝え方をすると、イメージと異なるものになることがあります。

そのため、印刷を外注する際には、以下のような対策が効果的です。

デザインの詳細な仕様書を作成する
色見本帳や実際の印刷物で色を伝える
見本刷りや色校正を行う

それぞれの進め方や注意点は外注先にも確認しましょう。

印刷を外注する流れ

外注先とのやりとりをスムーズに進めるためには、あらかじめ全体の流れを把握しておくと効果的です。

印刷を外注する際の流れは以下のとおりです。

ステップ	内容
1.要件定義	サイズや枚数、素材、加工、納期などの仕様を固める ※印刷会社の場合は打ち合わせを実施
2.見積もり	同じ条件の印刷内容や納期で、複数社に見積もりを依頼する
3.発注決定	見積もりをもとに発注先を決定し、契約書を締結する
4.入稿データ準備	外注先のルールに合わせた印刷データを作成する ※印刷会社なら、デザインデータから依頼できる場合もある
5.印刷・加工	見本刷りを行った上で、本印刷と加工、内職を実施する
6.納品	納品（輸送・配送を含む）や検収を行う
7.再度依頼	2回目以降は実績をもとに追加で発注する

印刷会社の場合は、発注の前後に打ち合わせの機会が多い傾向があります。一方、ネット印刷の多くはインターネット上の問い合わせ対応が基本です。

印刷の外注先選びを成功させるコツ

印刷の外注をスムーズに進めるためには、自社の依頼内容に合った外注先選びが重要です。

外注先選びで考慮すべき主なポイントは、以下のとおりです。

ポイント	詳細
品質の確認	・試し刷り（見本）を見せてもらえるか・色の確認（色校正）や調整対応ができるか
仕上げや加工の種類	・どんな形状やサイズに対応しているか・求める素材や印刷方法、特殊加工があるか
料金のわかりやすさ	・見積もり内容が明確に書かれているか・どんな場合に追加料金が発生するか
納期の早さと柔軟さ	・急ぎ案件や短納期に対応できるか・繁忙期でも予定通り納品できるか
やりとりのしやすさ	・自社にとって有用な提案をしてくれるか・説明はわかりやすいか
過去の実績	・似た業種や用途の印刷物を扱ったことがあるか・導入事例が紹介されているか
配送や納品の体制	・配送が全国対応か地域限定か・自社の倉庫に直接納品してもらえるか
トラブル対応	・トラブル発生時にどこまで対応してくれるか・補償ルールはどうなっているか