お菓子パッケージは、中身の味を知る前に「おいしそう」「買ってみたい」と感じさせる最初の入り口です。色や模様、質感の違いが購買の決め手となり、日常のおやつや贈り物の選択を大きく左右します。
本記事では、お菓子パッケージのデザインにこだわるべき理由や、オリジナルデザインのコツ、事例などをやさしく解説します。
こだわりのオリジナルデザインを制作して、消費者から長く選ばれ続けるお菓子を目指しましょう。
お菓子パッケージのデザインにこだわるべき理由

お菓子パッケージは、中身の味と同じくらい消費者の購買意欲に関わる要素です。 棚に並ぶパッケージの第一印象によって、消費者から「これを食べたい」と直感的に選ばれることも珍しくありません。
特にコンビニやスーパーでは、同じジャンルのお菓子が所狭しと並ぶため、パッケージのデザイン次第で手に取られるかどうかが決まります。 手土産やギフト用のお菓子の場合も、贈る相手の喜ぶ姿が想像できるようなデザインが重要です。
例えば、キットカットやポッキーのような定番商品は、赤色や茶色といった目立つ色を前面に使い、目を引く存在感を重視しています。一方、ゴディバやピエール・マルコリーニなどの高級チョコのブランドは、深い色合いや洗練されたロゴによる特別感が特徴です。
なお、お菓子を含む食品のパッケージには、原材料やアレルゲン表示など食品表示法で定められた情報を記載する義務があります。

お菓子パッケージのオリジナルデザインのコツ

お菓子パッケージのオリジナルデザインのコツには、以下があげられます。
- 主なターゲットの属性や購入場所を明確にする
- 消費者の心理をできるだけ具体的に言語化する
- 消費者が重視する要素をデザインの基本にする
- 色によって商品の特徴や魅力を表現する
- 短い言葉で商品の価値を伝える
- 季節感やトレンドを積極的に取り入れる
- 特殊加工によりインパクトを与える
- 素材や包装の環境配慮により信頼感を高める
コツを意識したデザインにより、ターゲットとなる消費者の購買意欲を引き出しやすくなります。それぞれのコツを詳しくみていきましょう。
主なターゲットの属性や購入場所を明確にする
お菓子パッケージを制作する際には、主に「誰」が「どこ」で買うかといったターゲット像を明確にする必要があります。ターゲットの属性や購入場所によって、効果的な訴求方法が異なるためです。
ターゲットの属性や購入場所の候補は、以下のとおり多岐にわたります。
| 属性の例 | ・男性/女性 ・大人/子ども ・小学生/中学生/高校生 ・中高年/高齢者 |
| 購入場所の例 | ・コンビニ ・スーパー ・百貨店 ・ECサイト |
例えば、ターゲットを「高校生の女の子がコンビニで自分のために買うお菓子」と具体的に設定します。そうすると「狭い陳列棚の中でひと際目に付きやすく、かつSNSに載せやすい可愛らしいデザインが効果的」といった大きな方向性が見えてきます。
このように、ターゲットの明確化はデザイン制作の方針を決める際に必須のプロセスです。
消費者の心理をできるだけ具体的に言語化する
お菓子パッケージのデザインで大切なのは、消費者がそのお菓子を手に取る理由を突き詰めて考えることです。購買に至るまでの心理を意識した訴求方法により、数あるお菓子のなかから選ばれやすくなります。
例えば、お菓子を買う理由は「休憩時間の気分転換で甘いものが欲しい」「客先に喜ばれる手土産を渡したい」など、消費者によりさまざまです。どのような気持ちで売り場に行き、どこで消費して、どういった感想を持つのか、そのプロセスを明確に言語化しましょう。
デザインやコピー、色などの具体的な要素を考える際にも、常にこのイメージに立ち返ることをおすすめします。
消費者が重視する要素をデザインの基本にする
お菓子パッケージの制作では、具体化した消費者の心理をもとに、デザインのコンセプトを設計します。消費者が重視する要素を基本にすれば、自分に合った商品だと判断されやすくなるためです。
一例として、家族や友人と楽しく分け合う焼き菓子なら、箱の表面に華やかな模様や色合いを印刷し、開ける前から楽しさを感じさせる工夫が効果的です。
また、贈り物として選ばれるお菓子では、箱そのものがギフトになるデザインが好まれます。例えば、和菓子の場合、季節の花や風景を描いた包装紙などがよく用いられます。

色によって商品の特徴や魅力を表現する
お菓子パッケージに使う色は、商品の味や雰囲気を消費者へ直感的に伝える重要な手がかりになります。
もし甘酸っぱいフルーツ菓子であれば、赤やオレンジの色合いを強調すると、食欲を刺激できる可能性があります。抹茶や栗を使った和菓子の場合、深緑や茶色を取り入れることで、素材を自然にイメージさせられるでしょう。
また、贈り物用のお菓子では、上品さを表す黒や金を組み合わせれば、手に取ったときの格調高さを印象づけられます。

短い言葉で商品の価値を伝える
お菓子パッケージに添えられる言葉も、消費者の購買意欲に大きな影響を与えます。長い説明よりも、「どんなお菓子か」「どんな気分を味わえるか」などが一瞬で伝わるフレーズが効果的です。
一例として、チョコレートなら「とろけるひと粒」「濃厚な幸せ」、クッキーなら「サクッと香ばしい」「やさしい甘さ」など、味や食感を短く言い切るコピーが効果的です。
また、ギフト用のお菓子の場合「ありがとうを包んで」「気持ちを添えるひと箱」といった一工夫した言葉によって、特別感を演出できます。
季節感やトレンドを積極的に取り入れる
お菓子は消費者の気分や感性によって選ばれる場合があるため、パッケージへの季節感やトレンドの反映も重要です。売り場で「今らしさ」を表現できれば、消費者の「手に取ってみたい」という気持ちを後押しできます。
例えば、春なら花柄や淡い色合いで軽やかさを出し、夏には爽やかなブルーや涼感を意識したグラフィックを使うと、季節が直感的に伝わります。
また、北欧風のシンプルな模様や、レトロ感のあるタイポグラフィなど、デザインのトレンドを取り入れる方法も効果的です。
特殊加工によりインパクトを与える
お菓子パッケージに特殊加工を施すと、デザインが引き立ち、他社との差別化につながります。特に、平面だけでなく立体感を演出できる特殊加工がおすすめです。
具体的には、ロゴや商品名に金や銀の箔を押す「箔押し(ホットスタンプ)」は、平面では出せない金属感を演出して、上質さを感じさせます。
さらに、紙に凹凸をつける「エンボス加工」は、文字や模様を浮き上がらせて立体感を出す技術で、触覚にも訴えかけられる点が特徴です。
ほかにもさまざまな加工があり、印刷会社に相談すれば具体的な提案を受けられる可能性があります。ただし、特殊加工を取り入れる場合、通常の印刷よりもコストが上がる点には注意が必要です。

素材や包装の環境配慮により信頼感を高める
お菓子パッケージを制作する際に、環境にやさしい素材や包装を用いる方法もおすすめです。環境への配慮は、購買意欲を直接引き出す要素にはなりにくいですが、長期的にブランドの信頼を向上させます。
実際に、パッケージの過剰包装に対する批判がみられ、環境対応の商品を積極的に選ぶ消費者もいます。
具体的な取り組みの例は、以下のとおりです。
- 森林認証紙や非木材用紙などを積極的に活用する
- 水性インキやUVインキなど環境負荷の少ないインキを用いる
- 印刷版を作成しないデジタル印刷を採用する
お菓子パッケージにリサイクルマークやFSC®認証マークを表示すると、商品紹介やプレスリリースの際に環境への配慮をアピールできます。


おしゃれなお菓子パッケージの事例
おしゃれなお菓子パッケージの事例として、響の菓 Lino 様と神戸スイーツポート様を紹介します。

姫路市書写のお菓子屋さんである響の菓 Lino 様は、商品のクグロフをオリジナルパッケージで提供しています。側面に春夏秋冬の花のイラストを描くことで、季節ごとに向きを変えて販売ができます。見た目の新鮮さを保ちながら、長期的に展開できる点が大きな魅力です。

神戸スイーツポート様は、ギフト用のフルーツゼリーをオリジナルパッケージで販売しています。
パッケージは深いグリーンを基調としつつ金の装飾をあしらい、クラシックな雰囲気を演出しているのが特徴です。ゼリーのラベルにも同じ植物のモチーフを取り入れることで、統一感を持たせています。

まとめ

お菓子パッケージは、消費者の購買意欲を大きく左右する要素であり、戦略的にデザインを検討する必要があります。消費者の心理を可能な限り明確にした上で、ニーズに合ったイラストや色、言葉を考え抜くことが重要です。
自社で経験が不足している場合は、お菓子パッケージ制作の実績があるデザイン会社や印刷会社に相談しましょう。


