近年は、環境に配慮したパッケージの需要や必要性が高まっています。「自社も環境に配慮したパッケージを導入したり切り替えたりしたい」と考えている会社も多いでしょう。
一方で「パッケージの種類が分からない」「パッケージに使用される素材が分からない」など、疑問を抱えている担当者の方もいるかもしれません。
本記事では、環境に配慮したパッケージの概要や特徴、導入の必要性やメリットを解説します。従来のパッケージから、環境にやさしいパッケージの導入や変更を検討している方はぜひ参考にしてください。
環境に配慮したパッケージの種類
環境に配慮したパッケージとは、パッケージの機能を持ちながら以下4つの取り組みを考慮した製品を表します。
取り組み | 内容 |
リデュース | 廃棄量を減らす |
リユース | 繰り返し使用できる |
リサイクル | 資源として再び使用できる |
リプレイス | プラスチックを環境に配慮した原料に置き換える |
従来のパッケージは見栄えや機能性を優先していたため、防水性が高く加工が容易なプラスチックが多く使われていました。しかし、プラスチックの原料が枯渇する可能性や、不適切な処理による環境汚染などが問題になっています。
環境への負荷を軽減するために、環境に配慮したパッケージの開発が求められています。
環境に対応したパッケージの使用素材
リデュース・リユース・リサイクル・リプレイスの4つの取り組みに対応したパッケージ素材は以下、表の通りです。
素材 | 特徴 |
エコ用紙 | 環境負荷が少ない素材や製法で作られた用紙 |
バイオマスプラスチック | とうもろこしやサトウキビが主原料のプラスチック |
生分解性プラスチック | 微生物により水とCO2に分解可能なプラスチック |
リサイクルプラスチック | 何度でも繰り返し利用できるプラスチック |
バンブー素材 | 竹の繊維からできる素材 |
バガス | サトウキビが主原料の素材 |
ストーンペーパー | 石や石灰石を主原料とする用紙 |
技術の進歩により、近年はプラスチックでもリユースやリサイクル、リプレイスなどの対応可能な製品があります。素材の性質や特徴に合わせてパッケージを作れば、性能が劣ったり見た目が悪くなったりする心配はありません。
環境に配慮できるパッケージの導入が増えている理由
近年、私たちが手に取る製品の中にも環境に配慮したパッケージが目立つようになりました。環境にやさしいパッケージが増えている理由は、以下の通りです。
- 環境を守るため
- 資源の枯渇が懸念されているため
それぞれの理由を詳しく解説します。
環境を守るため
環境対応が可能なパッケージに変わってきている理由の一つに、環境問題が挙げられます。
1970年代から環境破壊に関するニュースがたびたび大きく取り上げられています。地球温暖化による異常気象やごみ処理能力の限界、海洋汚染など人間の文明により環境に大きな悪影響を与えたためです。
このまま利益優先の経済活動を行えば、地球の環境は取り返しのつかないところまで破壊される恐れがあります。その危機感から現在は、世界中の国々や企業が協力し合い環境保全に取り組んでいます。
また、環境を保護するために定められた法律も増え、それを守るためにパッケージを切り替える企業も少なくありません。
資源の枯渇が懸念されているため
プラスチック製パッケージの原料である石油の可採年数は、2020年末時点でおよそ54年といわれており、資源の枯渇が世界中で懸念されています。資源が枯渇するまでの年数はエネルギーの消費量や技術の向上、生産量、埋蔵量の変化によって変動するため、必ず54年後になくなるわけではありません。
しかし、資源がなくなる前に対策を講じる必要があり、多くの企業で石油を原料としない素材の使用が求められています。
また、資源の供給に対して需要が高いと必然的に価格は高騰します。価格が高い原料を使い続けなければならない状態に陥る前に、原料を切り替える必要があると危機を感じている企業もあるでしょう。
環境にやさしいパッケージを導入するメリット
パッケージの変更は企業によって大きな転機になる可能性があり、それがプラスに働くケースもあります。環境にやさしいパッケージを導入するメリットは、以下2つです。
- 企業のブランディングにつながる
- ビジネスチャンスが拡大する
それぞれのメリットを紹介します。
企業のブランディングにつながる
従来のパッケージから、環境に配慮した素材に変えると、見た目や手触りは変わります。そのため、企業にとっては大きなチャレンジに感じられるかもしれません。
しかし、環境問題は企業だけでなく、消費者にとっても身近な問題です。エコパッケージに変えることで消費者は、社会貢献につながる活動をしている企業であると認識し、高い関心や共感を寄せます。エコパッケージは素材の種類やリサイクル方法などに応じて様々なマークを入れることが可能です。マークが入ることで環境に配慮した素材を使用していることがわかりやすく伝わります。
そして、企業に対する信頼につながり、ブランドイメージが向上するでしょう。
パッケージの変更は容易ではありませんが、企業にとって大きな転機となるかもしれません。
印刷物に入れる環境配慮のマーク
環境配慮のマークの入った印刷物にはパッケージだけでなく名刺、封筒、パンフレットなどビジネスの身近な製品にも使用されています。環境の問題は多くの企業や人が継続して取り組まねばならない課題です。
マークを入れることが目的ではなくマークを入れることで環境の問題を思い出すきっかけ作りにためにも必要なことかもしれません。マークの使用には申請が必要なものが多く、事前に条件等を確認する必要があります。
【例】バガスマーク
サトウキビを絞った残りであるバガス(パルプ)を使用して作られた製品に付けられるマークです。マークの使用には申請が必要になります。
(※写真のマークはイメージです)
ビジネスチャンスが拡大する
環境問題に対応したパッケージの導入は、ビジネスチャンスを拡大するきっかけになるかもしれません。環境保全やSDGsなどに関心のある企業は増加傾向にあり、実際に取り組んでいる企業も増えています。
環境問題に目を向けることで、これまで取り引きのない業界の企業と協業が始まる可能性があります。また、新規事業の立ち上げや新製品の開発などにつながるかもしれません。
さらに、新しい企業と取り引きをすることで、人脈が広がりビジネスチャンスが拡大する可能性もあるでしょう。
環境へ配慮するためのパッケージの選び方
環境に配慮しているからといっても、「製品を最良の状態に保つ」「製品の魅力を高める」といったパッケージの条件は最低限クリアしなければなりません。
自社製品に合う環境へ配慮するためのパッケージの選び方は、以下の通りです。
- 条件を満たしているか
- 自社製品のパッケージとして適しているか
- リサイクル可能であるか
パッケージ選びに迷っている方は参考にしてください。
条件を満たしているか
使用するパッケージがリデュース・リユース・リサイクル・リプレイスといった、環境問題に対応する条件を満たしているかを確認してください。近年は、環境に配慮したと明記できる条件も厳しくなりました。環境問題に対応しているパッケージ選びに迷っている場合は、環境ラベルの有無を判断基準にするといいでしょう。
また、信頼できる業者と取り引きすることも重要です。リサイクル方法が実践しやすい方法であるかも併せて確認してください。
自社製品のパッケージとして適しているか
環境にやさしい素材を使用していても、パッケージとしての役割を果たさなければ意味がありません。自社製品をパッケージする際は、耐久性や耐熱性、防水性などの強度を確認しましょう。また、自社製品の見た目や食品であれば味を損ねないかも重要な判断ポイントです。
環境にやさしいパッケージの中には、従来のパッケージのように色鮮やかな印刷ができなかったり、利用した際に食物の味を変えてしまったりするものもあります。自社製品の魅力を高め、マイナス要因として働く要素を極力排除したパッケージを探しましょう。
リサイクル可能であるか
パッケージがリサイクルできるかどうかも、パッケージ選びの重要なポイントです。現在は多くの自治体が廃棄物のリサイクルに力を入れています。したがって、リサイクルできるかどうかは、重要なポイントです。
例えば、リサイクル可能なプラスチックなら防水性が高く、従来のプラスチックのパッケージと同じように使用できます。どのパッケージがいいか悩んでいる場合は、リサイクルできる素材かどうかを判断基準の一つにするのもおすすめです。
素材だけでなくシンプルな包装へ切り替えも検討しよう
環境にやさしい素材の使用への切り替えと同時に、パッケージの簡素化も検討しましょう。箱や包装袋に入れられたパッケージを過剰包装として、軽量化・小型化・簡易化してより簡素な包装へ切り替える企業もあります。
例えば、ペットボトルのシュリンクフィルムが小さなシールに置き換わったり、ボトル容器を紙製の袋に変えたりなど身近な製品でも大きな変化が起きています。
このようにパッケージの素材を変える以外にも、包装形態自体を見直すという選択肢も環境を考慮する上で大切です。
まとめ
本記事では、環境問題に対応したパッケージの種類や導入するメリットなどを紹介しました。環境にやさしいパッケージには、エコ用紙やバガス、植物が主原料のプラスチックなど種類が多くあります。
プラスチック製から環境にやさしい素材にパッケージを変えるのは、コストもかかるため容易ではないかもしれません。しかし、企業のブランディングや新たなビジネスチャンスにつながります。ぜひ、環境対応のパッケージを自社に取り入れてはいかがでしょうか。