商品パッケージのデザインは、顧客の購買意欲を大きく左右するポイントです。
一方で「売れるパッケージのポイントがわからない」「競合他社より優位に立つにはどうすればよいか」など悩まれている方もいるでしょう。
この記事では、購買意欲を引き出すパッケージデザインの作り方や注意点などをわかりやすく解説します。魅力的なパッケージで消費者の心を動かし、売上アップを目指しましょう。
パッケージが購買意欲を左右する理由

人が得る情報の多くは視覚情報といわれることがあるように、商品の見た目は極めて重要であり、最初に目にするパッケージは購買意欲を大きく左右します。
商品の中身よりも、その商品を包んでいるパッケージのデザインに惹かれて購入してしまう「パケ買い」という言葉もあります。
例えば、おいしそうなパッケージを見て思わず商品を手に取るなど、視覚情報から無意識に購買行動を決めているのです。パッケージは中身の特徴や魅力を伝えるとともに、ブランドの認知度や信頼感も高めています。
また、商品のコンセプトや魅力を一目で伝えられるパッケージは、何度も見られて人の記憶に残るものです。目にする機会が多いものは好感をもたれやすいという「単純接触効果」を利用して、消費者の購買意欲を引き出している企業は多くあります。
優れたパッケージデザインはSNSで拡散される場合もあり、多くの人の購買意欲に影響を与えられるでしょう。
購買意欲を高めるパッケージデザインの作り方

購買意欲を高めるパッケージデザインの作り方のポイントは、以下のとおりです。
- ターゲットとコンセプトを決める
- 競合他社を調査する
- 一目で魅力が伝わるレイアウトを意識する
- コンセプトに合わせたフォントを選ぶ
- 効果的なキャッチコピーを入れる
- 商品の魅力を引き立てる色を選ぶ
- 商品に合わせた形状を選ぶ
上記のポイントを制作の流れに沿って詳しく解説します。
ターゲットとコンセプトを決める
購買意欲を引き出すパッケージデザインは「誰に何を届けるか」のコンセプトが明確です。
パッケージ制作に移る前に、購買につながるターゲット像を具体化します。例えば「子育てと仕事の両立に忙しい30代女性が、食器の油汚れを落とす」など、年齢・性別・ライフスタイル、商品を手に取る場面などを細かく設定します。
ターゲットを具体的に思い浮かべることで、「手早く汚れを落とせて、自分の時間が増える」など、商品の購入で得られるメリットや何をアピールするかが見えてくるはずです。
このほかにも、リサイクルマークやエコ用紙を活用するなど、SDGsや環境への配慮をアピールするデザインも好感を持たれやすく、購買意欲を高める可能性があります。

競合他社を調査する
多くの商品があふれる中で自社の購買を促すためには、パッケージデザインも他社との差別化が必要です。
販売場所や売れ筋の競合商品を調べ、パッケージを含めた商品の見せ方を分析します。ネット検索やSNSで最新のトレンドをリサーチするだけでなく、商品が陳列される店舗や使う場面などに関する実地調査も欠かせません。
競合の売れ筋商品を分析すれば、ターゲットのニーズをより掘り下げられるようになるはずです。これらの調査や分析をもとにレイアウトや色などデザインの具体的な方向性を決めることで、失敗しにくくなります。
一目で魅力が伝わるレイアウトを意識する
商品の中身や魅力が一目で伝わるパッケージデザインは、消費者の購買意欲を刺激します。
デザイン制作では、以下の点を意識したレイアウトを心がけましょう。
- パッケージの中身が一目で伝わる
- 商品の魅力(高級・便利・おしゃれなど)が直感的に伝わる
- 伝えたい要素を絞り込む
- 覚えやすくインパクトがある
スペースの限られたパッケージに多くの情報を入れても、魅力は伝わりません。優先度の高いアピールポイントを1,2個程度に絞り、商品の中身やメリットが直感的に伝わるデザインにするのが理想です。
また、インパクトのあるネーミングを用いたパッケージも、商品が記憶に残りやすく購買意欲を高める効果があります。
コンセプトに合わせたフォントを選ぶ
購買意欲を高めるパッケージデザインを作るためには、商品やターゲットに合わせたフォント選びも重要です。フォントにはそれぞれ異なるイメージがあり、選ぶフォント次第でパッケージの印象も大きく変わります。
例えば、以下のフォントはパッケージデザインでもよく使われています。
- シンプルで目立つゴシック体
- 高級感や落ち着きを感じさせる明朝体
- 親しみやすい丸ゴシック・POP体
商品のターゲットに与えたい印象から逆算して、イメージに合ったフォントを選びましょう。

効果的なキャッチコピーを入れる
短い言葉で商品の魅力を伝えるキャッチコピーをパッケージデザインに入れるのも、購買意欲の向上に効果的です。
キャッチコピーは、商品を使う場面やメリットを具体的に想像できるよう、以下の点を意識すると購買意欲を引き出せます。
- わかりやすい言葉を選ぶ
- 短い言葉で直感的に伝える
- 意外性を感じさせる
- 商品のメリットを具体的に想像できる
例えばトリートメントは「髪にやさしい成分が豊富」ではなく、「寝グセ直しが不要!翌朝まで続くツヤ髪」などとする方が、具体的なメリットが伝わります。
また、パッケージの限られたスペースで商品の魅力を伝えるには、「パリパリ」「シャキシャキ」などの擬音・擬態語も効果的です。イメージに合わせたフォントを用いると、相乗効果で購買意欲をさらに高められます。
商品の魅力を引き立てる色を選ぶ
パッケージデザインの色選びは、商品の魅力を引き立て購買意欲を高める大切な要素です。
例えば、イチゴは赤、チョコレートは濃いブラウンなど、商品と色のイメージが一致したパッケージが望ましいとされています。
また、黒は高級感、オレンジは親しみやすさ、青は涼しさを感じさせるなど、色には心理的効果があります。年齢層が高めの方は落ち着いた色を好む傾向にあるなど、好まれる色は年齢によってもさまざまです。
購買意欲を引き出すパッケージを作るには、色の効果やターゲットの好みを意識しましょう。

商品に合わせた形状を選ぶ
パッケージ自体の形も、商品の印象や購買意欲を左右する要素の一つです。
例えば、シンプルな形状にするか、人目を引く個性的な形にするかなど、商品のコンセプトに合わせた形状を選びます。
また、商品を包んで安全に届ける役割を持つパッケージは、開け閉めのしやすさなど使い勝手の良さへの配慮も欠かせません。特に、さまざまな事情に配慮したユニバーサルデザインは、多くの人が使いやすいパッケージといえます。
ほかにも、デザインの印刷方法によって与える印象は大きく異なるため、上手く活用すると購買意欲を高められます。


購買意欲を高めるパッケージデザインを作る際の注意点

購買意欲を高めるパッケージデザインを作る際には、以下の点に注意する必要があります。
- 販売形態や場所を意識する
- 著作権や表示ルールを守る
それぞれ詳しく解説します。
販売形態や場所を意識しているか
パッケージデザインで購買意欲を高めるためには、商品の販売形態や場所を意識する必要があります。
商品がどこで売られ、誰にどのように買われるかなど、販売形態により適切なパッケージの形やデザインは異なります。例えば、宅配の場合は頑丈なパッケージが、持ち帰りの場合は軽くて持ちやすいパッケージが適しています。
また、販売場所に関しても、店舗の棚に並べるのか、平置きなのかなどによって適したデザインが異なるため、陳列状況を意識した戦略設計が重要です。
表示ルールや著作権を守っているか
パッケージデザインの制作では、著作権や表示ルールを守ることも重要です。もし違反してしまうと、商品の回収や販売停止、損害賠償などのリスクがあります。
パッケージの表現で注意すべき主な法律には、以下が挙げられます。
- 食品表示法
- 景品表示法
- 著作権法
食品表示法や景品表示法は、消費者の誤解を防ぐために必要なルールです。また、著作権法はデザインや商標などの知的財産を守る法律で、パッケージにキャラクターなどを用いる際に注意が必要です。
対応や判断に迷う際は、外部の相談窓口を活用するとルール違反を避けられます。例えば食品表示法の場合は、管轄の保健所や消費者庁に相談可能です。


購買意欲を高めたパッケージデザインの成功事例

最後に、パッケージデザインでブランド認知度や購買意欲を高めた事例を紹介します。
例えば、ジュエリーブランドのTiffany & Co.(ティファニー)は、上品で温かみのある「ティファニーブルー」と呼ばれる独自のカラーをパッケージに用いて、洗練されたイメージを確立しました。
また、兵庫県にあるジェラートショップTETEは、シンプルなデザインと子ども向けのカラフルなデザインの2つのパッケージでジェラートを提供しています。同ショップが掲げる「おいしい牛乳をジェラートにして、子ども達が笑顔になってくれたら」という想いが伝わるデザインです。
こうした作り手のこだわりを感じさせるオリジナルパッケージは、消費者の心に届き、購買意欲を高める効果があります。
まとめ

パッケージによって購買を促すためには、商品の魅力が一目で伝わるデザインが効果的です。ターゲットのニーズや商品のメリットを具体的にイメージし、販売形態も意識して制作する必要があります。
また、商品を安全に届ける役割も持つパッケージは、機能性や表記上のルールに対する配慮も欠かせません。自社ですべて対応するのが難しい場合には、専門のデザイン会社や印刷会社に相談するとよいでしょう。