化粧品パッケージは、商品そのものと同様に、消費者の購買意欲に大きな影響を与える要素です。商品のターゲットへの理解を深めた上で、思わず「買いたい」と感じるデザインを考え抜く必要があります。
本記事では、化粧品パッケージが重要な理由や主な形状、おしゃれなデザインの作り方、事例などを徹底解説します。
おしゃれで売れるデザインを制作し、自社のコスメのブランディング強化や売上の向上を実現しましょう。
化粧品パッケージのデザインが重要な理由

化粧品パッケージは、売り場における消費者の商品選択に重要な役割を果たしています。「パケ買い」という言葉があるように、パッケージを一目見ただけで購入の意思決定をする消費者も少なくありません。
特に、競合コスメが多く並ぶドラッグストアでは、消費者の注意を引き、「購入して長く使い続けたい」と思わせるデザインが不可欠です。
例えば、日本発の有名ブランドであるSK-II(エスケーツー)は、ブランドカラーである「白と赤(赤ロゴ)」の配色で、強い視認性と高級感を演出しています。
なお、化粧品ラベルには法令で定められた表示義務があり、パッケージ制作の際に遵守する必要があります。特に、パッケージが小ぶりの場合、表示のスペースが不足する事態になりがちです。デザインの段階から表示内容を整理した上で、必要なスペースを確保できるようにしましょう。

化粧品パッケージの主な形状

化粧品パッケージには、以下のようにさまざまな形状のパッケージが用いられます。
- デザイン性のある箱
- 円筒形や角型のボトル
- 筒形のチューブ
- 広口のジャー容器
- パウチなどのフィルム包装
なかでも、外装として用いられることが多い直方体の化粧箱は、デザインの幅が広い定番のパッケージです。主な化粧箱は、底面の形状によって以下のように分類されます。
| 箱の形状 | 概要 |
| キャラメル箱 | ・上部と底面に差し込み式の蓋がついた箱を指す ・強度が弱く、小ぶりで軽い化粧品を入れる場合が多い |
| 地獄底箱 | ・底面を四方(フラップ)の噛み合わせで作る箱を指す ・強度が比較的強い傾向にある |
| ワンタッチ箱 | ・底面は四方を噛み合わせ、2ヶ所を糊付けして作る箱を指す ・底の強度が強いため、重い化粧品も入れられる |
ほかにも、枕の形をした曲面のピローケースや、蓋箱で閉じられる薄型のギフト箱などが用いられる場合もあります。
自社の商品に合った形状のパッケージに悩む場合には、実績のある印刷会社に相談するとよいでしょう。

化粧品パッケージのおしゃれなデザインの作り方

化粧品パッケージのおしゃれなデザインの作り方には、以下のポイントがあります。
- ターゲットの嗜好やニーズを考え抜く
- コンセプトに沿ったデザインを取り入れる
- ブランドや商品のイメージに合った色を選ぶ
- ターゲットに響くキャッチコピーを取り入れる
- 特殊加工や印刷方法で他社との差別化を図る
- シールを活用してデザインを仕上げる
ポイントを押さえてデザインを制作すれば、競合コスメと差別化でき、高いマーケティング効果が期待できます。それぞれ詳しくみていきましょう。
ターゲットの嗜好やニーズを考え抜く
化粧品パッケージのデザイン制作の前提として、まずターゲットの嗜好やニーズをできる限り深く分析する必要があります。ターゲットを明確化しないまま進めると、デザインの方向性がぶれて、訴求力が弱まるためです。
同じ年齢層でも、生活スタイルや肌の悩みなどによって、響きやすいポイントはさまざまです。例えば、「時短」にこだわる多忙な消費者もいれば、「うるおい」を重視する乾燥肌の消費者もいます。
こうしたターゲット像から逆算して、以下のような基本項目を整理します。
- 刺さるデザイン
- ブランドのイメージ
- キャッチコピー
- 売り場
- 使用シーン
その際、社内で議論するだけでなく、実際のモニターの声や感想を踏まえて、訴求力の高いデザインを検討しましょう。
コンセプトに沿ったデザインを取り入れる
化粧品のコンセプトに合ったデザインをパッケージに取り入れると、消費者の購買意欲を向上させやすくなります。
化粧品の主なコンセプトは、以下のようにさまざまです。
- 価格帯(高級志向・手頃)
- 感性(かわいらしさ・美しさ)
- 使用感(肌にやさしい・敏感肌)
- ブランド(伝統・トレンド)
例えば、高級志向を前面に出すなら、特別感のある素材や装飾を取り入れて、所有欲を満たせる仕立てにすると効果的です。かわいらしさを演出したい場合には、遊び心のあるモチーフやキャラクターを活用し、SNSで共有したくなるデザインにする方法があります。
消費者に「自分のために作られた化粧品だ」と感じさせるデザインが理想です。

ブランドや商品のイメージに合った色を選ぶ
化粧品パッケージの基調とする色や差し色の選び方によっても、商品の印象は大きく異なります。
まずはブランドや商品のイメージに合った色を取り入れるのが基本です。
一例として、高級志向であれば、黒や金、銀などを基調にして特別感を演出する方法があります。また、プチプラコスメでは、ピンクやイエローなどを取り入れ、ターゲット層の目を引く工夫が効果的です。
そのほか、青は落ち着きや清潔感、オレンジは元気や親しみなど、色には心理的効果があります。色選びの際には、与えたい印象にも留意しましょう。

ターゲットに響くキャッチコピーを取り入れる
化粧品パッケージでは、色や絵のデザインだけでなく、表面に記載するキャッチコピーも重要です。ターゲットの嗜好を踏まえて、もっとも伝えたいメッセージをできる限り短く伝える必要があります。
例えば、敏感肌向けであれば「低刺激処方」「赤ちゃん肌にも」など、安心感を与える言葉がおすすめです。プチプラコスメや若年層向けなら「かわいく変身」「毎日使えるご褒美」といった、親しみやすく前向きなメッセージが購買を後押しします。
キャッチコピーは「商品の強みを一瞬で伝えるサイン」として機能するため、色や形状と同じく戦略的に設計しましょう。
特殊加工や印刷方法で他社との差別化を図る
化粧品パッケージに表面加工を施すと、デザインに特別感が生まれ、消費者に大きなインパクトを与えられます。
一例として、「ニス加工」でパッケージの表面に塗料を塗ると、グロスやマットといった質感を演出できます。また、金や銀の「箔押し加工」は、高級感が出やすくなる定番の手法です。
印刷会社によっては、特殊な加工や印刷方法に対応できる場合があります。例えば、シルク加工の技術でデザインの「点」を表現すると、「擬似ラインストーン」としておしゃれに仕上がります。

ほかにも、通常のインキと異なる「特殊シルバーインキ」を用いれば、メタリックカラーのデザインを美しく表現できます。
詳細はパッケージ印刷の実績がある印刷会社に相談するとよいでしょう。


シールを活用してデザインを仕上げる
化粧品パッケージ自体のデザインにこだわるだけでなく、オリジナルのアテンションシールを貼付することで、デザインの質が向上します。
パッケージ自体の種類や数は簡単には増やしにくいですが、シールであれば色やデザインを変えやすいため、店頭でのバリエーションをもたせやすくなります。
印刷会社では、オンデマンド印刷(デジタル印刷)で多種類のシールを制作する方法が一般的です。デザインのなかで指定した部分の色を自動的に変化させる「カラーシャッフル印刷」という手法もあります。


おしゃれな化粧品パッケージの事例
おしゃれな化粧品パッケージの事例として、創業100年を迎える原沢製薬工業株式会社様の事例を紹介します。

同社の化粧品ブランド「リバイシス」シリーズは、化粧水や美容液、石鹸などを展開しており、マツモトキヨシで販売されています。
パッケージは、赤を基調とした光沢感のある箱に、ゴールドの「R」ロゴを中央に配置したデザインです。背景には淡いピンクやオレンジの円・曲線が重なっており、華やかさや高級感を演出しています。

まとめ

化粧品パッケージのデザインは、競合他社と差別化して、自社商品が選ばれるようにするための鍵となる要素です。デザイン制作の際には、ターゲットの嗜好を考え抜いた上で、ブランドのイメージに合った色やキャッチコピーを取り入れる必要があります。
実績のある印刷会社に相談すれば、デザインの工夫や特殊加工によって、より強いインパクトを与えやすくなります。自社のみで対応が難しい場合は、相談してみるとよいでしょう。



