自社の名刺をおしゃれで印象に残るものにすると、社員のイメージアップにつながります。
名刺作成担当者のなかには「自社の名刺にはどんなデザインが最適か」「印刷のポイントを知りたい」などの疑問を抱える方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、名刺作成の基本から印象に残るデザインのコツ、制作方法の選び方まで徹底解説します。自社の成長につながる名刺を作成できるよう、ぜひ最後までご覧ください。
名刺のデザイン・印刷が重要な理由

名刺は、外部の方に自社への関心を持ってもらえるツールです。名刺をきっかけに相手に深い印象を与えられれば、ビジネスチャンスにつながる可能性もあります。そのためには、多くの名刺に埋没せず、強い印象を残せるようなデザイン・印刷が重要です。
また、名刺は自社のイメージを左右する重要な広告塔です。デザインや用紙の質感は自社の強みや個性のアピールになり、信頼感を高める効果が期待できます。
なお、近年はデータで名刺交換を行うデジタル名刺も普及していますが、紙の名刺には独自のメリットがあり、依然として重要な役割を果たしています。
紙の名刺の具体的なメリットは以下のとおりです。
- 直接手渡すことで深い印象を残せる
- 昔ながらのスタイルで信頼感を高められる
- その場ですぐに情報を伝えられる
- 手元にデジタルツールがなくても確実に渡せる
こうした名刺の強みを最大限に引き出すために、相手の記憶に残るような工夫を凝らしたデザインやサイズの名刺が作られています。
名刺のデザイン・印刷の流れとポイント

名刺のデザインと印刷の流れには、以下の7つのポイントがあります。
- 与えたい印象を言語化する
- 記載する内容を決める
- サイズを決める
- 縦型か横型を選ぶ
- 与えたい印象からフォントを決める
- 背景の色や差し色を検討する
- 必要な機能や見栄えから素材を選ぶ
ポイントを押さえれば、インパクトのあるおしゃれな名刺を作成できるようになります。
最近では名刺のテンプレートを用意してあるサイトも多くあります。デザインを自分で作成する場合はそれらを上手く利用することで、イメージに近いデザインを作成することもできます。
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.与えたい印象を言語化する
名刺にただ情報が記載されているだけでは、印象に残りづらく差別化できません。相手にどのような行動を取ってほしいかを考えたデザイン設計が重要です。
例えば、相手に自社の強い印象を残したければ、自社の特徴を示すキャッチコピーを入れるとよいでしょう。親しみのあるイメージを持たせたければ、ブランドのロゴやキャラクターを入れる方法があります。
また、勢いのある会社と思わせたい場合には、背景や差し色に明るい色を取り入れると効果的です。
どういった印象を与えたいのかは、自社の特徴や強みを把握した上で言語化する必要があります。
2.記載する内容を決める
名刺に多くの要素を載せすぎると、必要な情報が埋もれてしまい、かえって何も伝わらなくなってしまいます。そのため、名刺に記載する情報を厳しく取捨選択することが重要です。
名刺に記載すべき主な情報は、以下のとおりです。
- 会社名
- 部署名
- 職種や役職
- 名前
- 電話番号
- メールアドレス
- 会社の住所やURL
企業や職種によっては、以下のように情報を追加すると効果的な場合もあります。
狙いたい効果の例 | 足すとよい情報 |
営業職で顔を覚えてもらいたい | 社員の顔写真を載せる |
自社に訪れてもらいたい | 地図やアクセス方法を記載する |
社会的な取り組みを伝えたい | 自社が掲げる価値観やCSR活動に触れる |
SNSやサイトを見てもらいたい | アカウントやQRコードを記載する |
海外との取引を増やしたい | 英語訳や国際的な資格を併記する |
社員の仕事内容に応じて、名刺にどのような効果を持たせたいかを検討しましょう。また顔写真に抵抗がある場合は似顔絵のイラストなどを使用する場合があります。好みのテイストで作成してくれるデザイナーなどに依頼したり、似顔絵アプリを使用して作成する方法もあります。
3.サイズを決める
名刺には、主流とされる名刺サイズ4号以外にもさまざまな種類があり、サイズによっても与えられる印象が異なります。
主なサイズの特徴をまとめると、以下のとおりです。
通称 | サイズ | 特徴 |
名刺サイズ4号 | 91×55mm | ・日本でもっともよく用いられる定番のサイズ ・名刺入れにピッタリのサイズで汎用性が高い |
名刺サイズ3号 | 49×85mm | ・小さめで親しみやすい印象を与えるサイズ ・スタンプカードとしても活用しやすく、ショップや飲食といった接客の仕事に向いている |
欧米サイズ | 51×89mm | ・名刺4号より横長の印象 ・アメリカで一般的なサイズ ・海外とのやりとりが多い場合に採用される傾向がある ・実際は国や地域によって標準サイズが異なる |
このほか、現在では名刺サイズが多様化しており、二つ折りや正方形のものもあります。ただし、個性を強調しすぎて、大きくて名刺入れに入らない、小さくて文字が読みにくいといったマイナス面が出てしまわないように注意が必要です。
4.縦型か横型を選ぶ
日本では横型の名刺が主流ですが、あえて縦型を使う場合もあります。
横型と縦型の特徴は以下のとおりです。
名刺の向き | 特徴 |
横型 | ・見慣れた名刺として違和感を持たれず、業種や職種を選ばない ・URLやメールアドレスなど横書きの情報が収まりやすい ・シンプルなデザインでは印象に残りにくい |
縦型 | ・スタイリッシュな印象や格式高い印象を与える ・金融機関や士業の事務所など、信用を重視したい組織に向いている ・デザイナーや職人など感性をアピールしたい職業にも使われている ・横書きの情報が1行に収まりにくく、読みにくくなりがち |
業種や職種に応じてどのような印象を持たせたいかを考慮して選択しましょう。
5.与えたい印象からフォントを決める
名刺のフォントも相手に与える印象に影響する重要な要素です。与えたい印象から逆算して、適切なフォントを選ぶ必要があります。
名刺によく使われるフォントとしては、以下があげられます。
フォント | 特徴 |
ゴシック体 | ・シンプルかつ安定感のある印象 ・内容を読み取りやすく、業種問わず使いやすい |
明朝体 | ・伝統や荘厳さ、信頼を感じさせる ・金融機関や老舗企業など、信頼性が求められる会社に向いている |
なお、複数のフォントを使うと統一感が損なわれマイナスになるため、基本的には1種類のフォント、多くても2種類までにするとよいでしょう。
また、社名や名前のように優先度の高い情報は、大きな文字や太い文字にして目立たせるのが一般的です。

6.背景の色や差し色を検討する
名刺の色合いも会社や個人のイメージを左右するため、背景の色や差し色を慎重に選ぶ必要があります。
おおまかなカラーイメージ(心理的に与える効果)は、以下のとおりです。
- 赤色:情熱、行動力
- 青色:信頼感、安心感
- 黄色:明るさ、創造性
- 白色:純真さ、正義
- 黒色:高級感、重厚感
一般的な名刺は白を基調にしており、フォーマルな印象を与えます。色を付ければ個性を出せますが、鮮やかすぎるとビジネスの場にはふさわしくないイメージになってしまう点に注意が必要です。
自社のイメージや名刺を渡す場面を考慮してデザインを決定しましょう。

7.必要な機能や見栄えから素材を選ぶ
名刺に必要な機能や見栄えを整理して、効果を最大限発揮できる紙素材を選びましょう。
名刺に使用する主な紙素材には、以下のような種類と特徴があります。
紙の種類 | 特徴 |
マットコート紙 | ・光沢を抑えた落ち着いた印象で、肌触りがサラサラした質感 ・文字が見やすく感触も人気で、多くの名刺で使用されている |
コート紙 | ・光沢があり、ツルツルした感触 ・鮮やかに印刷でき、色や写真を使う名刺に向いている |
マット紙 | ・ツヤ消し加工が施されており、光の反射が少ない ・文字が読みやすいため、文字情報が多い名刺に向いている |
上質紙 | ・通常のコピー用紙に近い質感のナチュラルな印象 ・文字を書き込みやすいが、鮮やかな色を出したい場合は不向き |
近年では、再生紙などを使ったエコ素材の名刺も使われるようになっています。エコ素材の名刺を使うと、環境に配慮している企業というブランディングを強化できます。


名刺のデザイン・印刷は外注した方がよい?

名刺作成には、自作する方法と専門の会社へ外注する方法があり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。
自作する場合、名刺作成ツールやMicrosoft Wordなどで作成するのが一般的です。文房具店や大手ECショップでは、名刺専用の用紙も販売されています。
デザインについても、ネット上のフリー素材やテンプレートをダウンロード可能で、使用するとコストを抑えられるでしょう。ただし、一般的なプリンターによる出力はインクが滲みやすいため、注意が必要です。あまり品質の良くないめいしは相手に与える印象にも影響する場合があります。
一方、外注する場合は一定のコストがかかりますが、以下のようなメリットがあります。
- プロによるデザインで自社のアピールにつながりやすい
- 名刺デザイン・作成にかかる時間的・人的なリソースを節約できる
- 印刷会社の専用印刷機を使用するため、美しい仕上がりになる
- 用紙の種類やサイズ、加工方法を選べて他社と差別化できる
名刺の代表的な加工として、箔押し加工やエンボス加工などがあり、取り入れると自社のイメージを強化できます。
また、デザインも可能な印刷会社に作成を依頼すれば、工程ごとの連絡や調整が不要になります。多くの人数の名刺を一度に作成する場合など印刷とデザインを一括注文すれば料金が割安になる場合もあり、コストを抑えられる点が大きなメリットです。


まとめ

名刺は、自社のイメージを左右してビジネスチャンスも生み出す重要なマーケティングツールです。印象に残る名刺にするためには、与えたい印象を言語化した上で、その印象に合ったデザインや印刷方法を選択する必要があります。
本記事で紹介したポイントを参考に、おしゃれで印象に残る名刺の制作に着手しましょう。