「パッケージ印刷の種類や方法がわからない」「商品の魅力が伝わるパッケージや包装を制作したい」などの疑問や悩みをお持ちではありませんか。
パッケージ印刷は、自社の商品の売上やブランディングに直結する重要な要素です。印刷の種類や違いを詳しく知っておくと、より魅力的で手に取りたくなるパッケージを制作できます。
本記事では、パッケージ印刷の種類や流れ、おすすめの印刷方法、印刷会社の選び方などを紹介します。成果につながる商品パッケージを制作できるよう、ぜひ最後までご覧ください。
パッケージの種類
一口に商品パッケージや包装といってもさまざまな種類があり、基本的には紙製の箱とフィルムの袋に分けられます。
紙製の箱の代表的なものは、以下のとおりです。
種類 | 概要 |
貼り箱 | ・厚手の紙に見栄えのよい化粧紙を貼って作成する箱 ・形状や化粧紙によって、商品に合ったさまざまなデザインが可能 ・保管にスペースが必要 |
組み箱 | ・1枚の厚手の紙を組み立てて作成する箱 ・貼る手間がなく、組み立て前は平らな状態で保管できるため、コストやスペースを抑えられる |
ホッチキス箱 | ・厚手の紙の隅をホッチキス状の針で留めた箱 ・強度があり、昔ながらのパッケージでレトロな雰囲気が出せる |
フィルムの袋の代表的なものは、以下のとおりです。
種類 | 概要 |
合掌貼 | ・フィルムを背中と底で貼り合わせたベーシックな形状の袋 ・食品によく用いられ、開封時には背貼りをつまんで開く ※側面にマチ(折り込み)がある袋はガゼットと呼ばれる |
三方袋 | ・フィルムの底と側面の三方が接着されている袋 ・密封性が高いため、食品以外の薬品・化粧品などにも広く用いられる |
溶断 | ・フィルムの側面を熱で溶かし、くっつけることで作成する袋 ・透明でシンプルな見栄えであり、中身をきれいに見せられる |
パッケージを制作する際には、それぞれの特徴を押さえて商品に適した種類を選びましょう。
パッケージを印刷する流れ
ここでは、パッケージを印刷する流れとして以下の6つに分けて説明していきます。
- 目的を明確にして戦略を立てる
- 容器や包装の形状を決め、印刷する素材を選ぶ
- 印刷の刷り方を選ぶ
- 印刷方法の種類を選ぶ
- 仕上げの加工を選ぶ
- 目的に沿ったデザインを制作する
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.目的を明確にして戦略を立てる
まずは印刷するパッケージの目的を明確にして、売上向上につながるデザインの戦略を立てる必要があります。コンセプトがないただおしゃれなデザインでは、消費者に刺さるものにはならないためです。
具体的には、以下のような点を検討します。
- 商品の強みや自社のイメージなどを踏まえて、訴求したい価値やメッセージを言葉にする
- ターゲットの年代や性別、ライフスタイルなどをできるだけ明確にする
- 商品自体の魅力以外に訴求したい要素があるかどうかも検討する
上記は商品の販売戦略と関係が深いですが、消費者の目に直接触れるものとしてどういったアピールが必要か考えることが重要です。
また、商品の魅力以外の要素としては、環境への配慮やユニバーサルデザインなどが挙げられます。パッケージに取り入れることで、企業価値の向上にもつながります。
2.容器や包装の形状を決め、印刷する素材を選ぶ
デザインが決まったら、印刷する素材を選びます。代表的な素材には、以下のようなものが挙げられます。
素材 | 概要 |
板紙 | ・パッケージに広く使われる厚手の素材 ・耐久性が高く、食品や日用品などさまざまな用途に使える |
フィルム | ・生鮮食品や加工食品などのパッケージに適している ・マットな質感など、デザインを多彩に表現できる |
段ボール | ・厚みがあって重量のある商品もしっかり保護できる ・耐久性が特に優れている |
求める質感や耐久性などによって適した素材が異なります。
3.印刷の刷り方を選ぶ
素材が決まったら刷り方を選びましょう。代表的な刷り方には、以下のようなものが挙げられます。
刷り方 | 概要 |
表刷り | ・パッケージの表面にインキをそのまま印刷する方法 ・鮮やかな印刷によって、商品の魅力を強力に訴求できる ・他の種類に比べるとコストが安い ・表面の印刷なので、摩擦などによりインキが擦れて剥がれやすい |
中刷り | ・印刷面をラミネート加工して、擦れを防ぐ方法 ・擦れや水濡れに強く、印刷が長持ちしやすい ・加工のコストがかかる |
裏刷り | ・表面には印刷せず、透明な素材の裏側に印刷する方法 ・擦れや水濡れによる劣化を心配する必要がない ・対応可能な素材が限られており、パッケージの中身によっては使用できない(食品など) |
一般的な刷り方としてイメージしやすいのは表刷りですが、耐久性やデザインにこだわって、中刷りや裏刷りを取り入れる方法もあります。パッケージの種類によっては印刷方法や加工によって刷り方が決まってくる場合もあります。
4.印刷方法の種類を選ぶ
印刷するデザインや素材に合わせて、適切な印刷方法を選ぶ必要があります。パッケージ印刷の方法には、以下のようなものが挙げられます。
印刷方法 | 概要 |
オフセット印刷 | ・板紙への印刷に適している ・平版印刷の一種。現代で最も活用されている印刷手法 ・デザインを鮮やかに印刷できる |
グラビア印刷 | ・フィルムへの印刷に適している ・凹版印刷の一種。写真やイラストなどの印刷によく活用される ・色の濃淡を繊細に表現できる |
フレキソ印刷 | ・段ボールへの印刷に適している ・凸版印刷の一種。段ボールなど比較的厚い素材にも印刷可能 ・インキは水性であり、環境に配慮している |
オンデマンド印刷 (デジタル印刷) | ・小ロット印刷に適している ・オフセット印刷にある製版・刷版の工程がないため、スピーディーに印刷が可能 ・小ロットで納品できるので、試作品などに適している ・機種によって対応できる素材が変わる |
パッケージの大きさや素材、納期、環境面など、さまざまな観点から選びましょう。
5.仕上げの加工を選ぶ
最後に、仕上げの加工を選びます。加工は必ず行う必要はありませんが、見栄えや耐久性をよくできる点がメリットです。
仕上げの加工には、以下のようなものが挙げられます。
加工の種類 | 概要 |
ラミネート加工 | ・印刷面の表面にラミネート(フィルム)を貼る加工 ・印刷面を保護でき、ツヤなどの特殊な質感も加えられる |
エンボス加工 | ・素材の表面に凸凹を付ける加工 ・柄などを浮き出させて、立体感・インパクトのあるデザインにできる |
箔加工 | ・印刷面に金や銀などのフィルムを転写、または箔のフィルムを貼付する加工 ・ギフト商品などの品名やワンポイントとして用いると、特別感や高級感が出る |
特に、他社が取り入れていない加工をすることで、消費者に印象を残せる可能性が高まります。それぞれの加工の詳細やサンプル画像は、以下のページからご覧ください。
6.目的に沿ったデザインを制作する
容器の種類や素材、印刷方法を踏まえ、目的に合わせて具体的なデザインを制作していきます。
素材や形状をデザイナーに一任する場合には、デザインの過程で形状や素材、加工などが決まることもあるため先にデザインから制作を進めることもあります。
パッケージによって自社や商品の独自性が伝わるかどうか、マーケティングの考え方に基づきデザインを行うことが重要です。
その際、実際にターゲットが店舗などで商品を手に取るところをイメージしながら作れば、より効果が出やすくなります。主要な競合他社の商品を確認して、どのように差別化するかも検討しましょう。
ただし、デザインの見栄えだけにこだわるのではなく、商品をしっかりと包装して保護できるパッケージになっているかも注意が必要です。
パッケージ印刷の自作と印刷会社への依頼を比較
パッケージ印刷には自社で対応する場合と印刷会社へ依頼する方法があります。
自社で制作する場合は、コストを抑えられて、デザインの変更や小ロットの印刷が柔軟にしやすいことがメリットです。
一方で印刷会社に依頼すると、以下のようなメリットがあります。
- 繊細なデザインを忠実に再現するなど、品質にこだわった印刷が可能
- 細部へのこだわりや品質チェックなど、自社のリソースを削減できる
- 大量に印刷する場合は、印刷会社を利用したほうがコストを抑えられることがある
そのため、自社の基幹となる商品パッケージなどの印刷は、印刷会社への依頼を検討してもよいでしょう。
パッケージ印刷会社の選び方
印刷会社を選ぶ際には、以下のようなポイントを押さえて選ぶのがおすすめです。
- 自社のデザインに近い実績やサンプルがあるか
- 依頼できる印刷や加工の種類がニーズに合っているか
- 予算とコストがあっているか
- 担当者のコミュニケーションに問題がないか
印刷会社によって得意な分野や実績、対応できる印刷方法が異なるため、自社のニーズと合っているか確認する必要があります。コストは複数の印刷会社に見積もりをとって、相場を把握しましょう。
また、印刷会社に対しては、できるだけ具体的にパッケージのイメージを伝えることが重要です。そのため、印刷会社の担当者のコミュニケーションが丁寧かどうかもポイントの一つといえます。
印刷会社へのパッケージデザイン依頼の方法については、以下の資料もぜひ参考にしてください。
まとめ
パッケージ印刷は、商品の第一印象を左右するものであり、自社のイメージや商品の魅力を踏まえてデザインを検討する必要があります。
パッケージの種類や素材、印刷方法などはさまざまであり、商品に合わせたものを選ぶことが重要です。より見栄えや耐久性をよくしたいのであれば、仕上げの加工を取り入れるのもおすすめです。
自社で制作すればコストを抑えられますが、品質にこだわった商品パッケージを印刷したい場合には、印刷会社に相談してもよいでしょう。また箱や袋には既製品として販売されているものも多く、それらにラベルを貼ることでロットやコストを抑えたパッケージにすることが可能です。