透明素材のシール・ラベルとは
【透明シール素材の特徴】
「商品の中身を見せたい」「容器の透明感を活かしたい」など透明素材を使用する素材自体が透明なためその独特な特徴と使用用途、汎用性から、多くのパッケージデザインや製品のシールとして利用されています。特に商品ラベル、POPシール、販促ディスプレイ、ステッカーなど、さまざまな用途に応じた透明シールは、視覚的なインパクトを最大化し、印刷された内容を際立たせる効果があります。
主な透明シールの種類 3種
一般的に多く使用されている透明シールの種類は以下の3種類があります。
1.透明PET
特徴
透明PETはポリエステルフィルム(PET)のシール素材です。透明シールの素材としては汎用性が高く多くの製品に使用されています。PETは非常に強靭で、耐熱性や平滑性にも優れているため工業用ラベルにも使用されます。また、透明度が高いため透明パッケージを使用した商品に使用されることも多くあります。
同じPET素材で銀や白などのPETネーマーなどがあります。下記記事はネーマーシールの解説となります。
メリットとデメリット
◼️メリット
- 粘着剤の種類が多い:他の透明素材に比べてシールの粘着剤の種類が多く、様々なケースに対応できます。
- 強度と耐久性: PETは高い引っ張り強度を持ち、壊れにくい素材です。また、耐久性が高く、比較的長期間の使用にも耐えますが、屋外での長期使用は注意が必要です。
- 耐熱性、耐水性: PET素材のため他の透明素材より温度変化に強いため、電化製品等でも使用されます。またフィルム素材のため耐水性もあり、水回りなどの日用品の製品ラベルとしても使用されています。
- 透明度: 他の透明素材より透明度が高くツヤがあるため、製品の高級感を引き立てる効果があります。
◼️デメリット
- コストが高い: 透明PPの素材に比べると、製造コストが高くなります。
- 柔軟性に欠ける: PETは強い素材なため、柔軟性が低く、曲面に貼り付ける場合にはそり返るなど適さないことがあり、凹凸のある表面では剥がれやすい場合があります。
よく使われる使用用途
- 商品パッケージシール:透明のパッケージで中を見せる場合、シールが邪魔にならずデザイン部分を引き立てることができます。
- アイキャッチシール:素材にコシがあるため商品に貼るPOPシールにも向いています。
- ステッカー:素材にコシがあるため、平面に貼る場合は比較的貼りやすく、透明度が高いためインクの乗っているデザイン部分のみ強調することができます。
2.透明PP
特徴
透明PPはポリプロピレン(PP)のシール素材です。この素材は素材が柔らかく延伸性があり柔軟性に優れています。
ラミネート用のPPと素材は同じですが印刷用として表面が加工されています。
メリットとデメリット
◼️メリット
- 柔軟性: 柔らかく柔軟性があるため曲面にも貼り付けやすい。
- 耐水性、耐油性:PP(ポリプロピレン)は耐水性、耐油性があります。
- 耐久性が高い: 引っ張りや摩擦にも強いため、日常の使用や輸送中に傷つきにくい点もメリットです。
◼️デメリット
- 粘着剤の種類が少ない: 貼る製品や用途によっては使用できない場合があります。
- 屋外使用は適さない: 基本的に屋外での使用は推奨されていません。
よく使われる使用用途
- 曲面のある容器:細い筒状のものや曲面で水濡れの可能性のある商品など。
- 雑貨シール:ファンシーシールなどで透明を生かしたデザインシール。
3.透明塩ビ
特徴
透明塩ビは塩化ビニール(PVC)のシール素材です。主に工業用途や屋外での使用が多いのが特徴。
メリットとデメリット
◼️メリット
- 耐候性が高い: PVCは紫外線や水、湿気に強いため、屋外での使用や長期間のディスプレイに適しており、看板や屋外用のシールとしても利用されます。
- 柔軟性: 柔軟な素材であるため、曲面にも貼り付けることができます。
◼️デメリット
- 透明度が低い: 他の素材に比べて透明度が低く、特に薄いシールの場合、曇った見た目になることがあります。
- コストが高い:他の透明PETや透明PPの素材と比較するとコストが高い。
- 高温に弱い:素材が熱に弱いため高温になるものには使用できません。
よく使われる使用用途
- 車、自転車、アウトドアグッズなどのステッカーシール:屋外で水濡れの可能性のあるステッカー
- ウインドウステッカー:窓や看板などに貼るシール
透明素材ならではの使い方と印刷方法
デザインを浮き立たせる
透明な製品や場所に貼った場合、透明部分は被着体に馴染み、見せたいデザイン部分のみを浮き立てて見せることができます。テイクアウトの透明ドリンクカップにロゴシールを貼るなどにも使用され、シールの存在感を抑えて印刷部分を強調することができます。
白インキを下地に使用する
透明に印刷するとインキが透けるため、白インキで抑えることでインキの透けを防ぎ、デザインをはっきり見せることができます。白インキの有無でデザインにコントラストをつけたり、白インキ自体をデザインに組み込むことも多くあります。透明素材では白インキの使い方がポイントの一つです。また、バーコードの下には白印刷を引くことで、読み取り不良を避けることができます。容器や中身の色によって白印刷の必要箇所が変わってくるため、デザインの時点で確認をする必要があります。
印刷に使用する色数として白インキは1色になるため、カラー印刷の場合はCMYK4色に白を足した5色という色数になります。
逆刷り〜両面印刷〜
ウインドウステッカーなどにも使用されている、デザインを反転させて印刷することで窓や透明容器などに貼って反対から見せる印刷方法です。印刷面に別の白素材を貼り付けたり、白印刷で抑えその上に印刷することで両面ステッカーとしても使用できます。シールを屋内から貼ることができるため劣化も抑えられます。店舗や電車、車などの窓に貼る場合に適しています。
逆刷りを使用して、付加価値のあるおしゃれなボトルラベルなどの作成も可能です。
透明の剥離紙(セパ)の使用
透明の剥離紙を使用することで透明な素材として使用することができます。雑貨として販売されるファンシーシールなどにも多く使われ、不要な部分が透明なため見た目がよく、デザインを目立たせることができます。下記の画像はカラー印刷にポッティング加工されたファンシーシールです。透明な剥離紙の透明PETのシール素材を使用しているためデザインのフチが透明なためイラストが際立って見えます。
このシールに使用されているポッティング加工の詳細は下記でご確認ください。
透明素材の注意点
用途に合わせて選ぶ:貼る物や使用用途に合わせて素材のベースの種類、粘着剤、剥離紙を選ぶことが大切です。
貼り方:透明な素材のため、貼り付けの際に空気が入ると気泡(エアー)が他の素材より目立ちやすく、特に大きいサイズのシールを手作業で貼る場合は、気泡が入りやすいため事前の確認が大切になります。また手作業で気泡を入れずに貼るのは非常に難しく、粘着面に指が触れると指紋がつくため注意が必要です。
デザインの作成:白インキを下に引かない場合はインキが透けるためデザインが見えにくくなる場合があるため表示等の文字が読みやすいかなどを事前にチェックが必要です。データ入稿の場合は白部分の指示ができているか、データと原稿で確認します。
色の再現性:デザインの下に白インキを引いても通常の紙に印刷する場合と色の再現性が違う場合があります。ロゴやキャラクターなど色の指定に厳しい印刷物の場合は事前に色校正などで確認した方が良いでしょう。
透明シールに使用される素材にはそれぞれ特有のメリットとデメリットがあり、用途や求める機能性によって最適な素材が異なります。またシール素材はベースの素材、粘着剤、剥離紙と構成する要素が多いため全てを合わせた上で最適な素材を選ぶ必要があります。コストだけ、見た目だけなど限定的な要素にとらわれず製品の条件を踏まえて相談することが大切です。