冷凍・冷蔵用のシールは、食品パッケージや物流、医薬品など温度管理が重要な環境で広く使われています。そのため、耐久性や粘着力、表面の印刷適性が求められ、使用する素材の選択が重要です。
冷蔵や冷凍の製品に貼っていたシールが剥がれてしまったり、破れてしまうなどのトラブルを避けるためにも適正なシールの表面基材や粘着を選ぶ必要があります。
冷凍・冷蔵用素材の種類と特徴
1. 冷蔵用・冷凍用シールとは
冷凍・冷蔵する製品に使用するシールは常温で使用する一般的な粘着を使用すると、低温環境では粘着剤(糊)が硬くなり、粘着力が下がることでシールが剥がれることがあります。
そのため冷蔵・冷凍する製品は低温に対応した粘着剤を使用したシールの素材を使う必要があります。
シールの素材には冷凍、冷蔵、チルドなど環境に対応した製品があります。
下記記事はチルド保存に適した素材を紹介しています。
2. 粘着剤の種類
粘着剤の種類はメーカーにより様々なため、シールの使用条件に合わせて選択する必要があります。
粘着剤の種類 | 保管環境の温度 | 用途の一例 |
---|---|---|
冷蔵用 | 5℃〜15℃程度の環境下で使用 | ・冷蔵する食品 ・ワイン、飲料等 |
チルド用 | -5℃〜5℃程度の環境下で使用 | ・冷凍・冷蔵食品や物流・搬送用の段ボールケースなどの表示ラベルなど |
冷凍用 | -5℃〜-20℃程度の環境下で使用 -80℃程度まで対応できる製品もあり | ・冷凍食品 ・薬品等 |
極低温用 | −196℃の液体窒素による凍結に対応 | ・液体窒素凍結などの特殊製品 |
3. 貼り付け時の注意点
貼り付け時の温度や環境を確認
基本的にシールは常温環境で貼り付けてから低温環境にて保管します。低温環境下で貼る必要がある場合は貼り付け条件が対応しているかを事前に確認することが必要です。
貼り付ける製品の状態を確認
凍結している製品や表面に水が付いている製品にシールを貼るとラベルの浮きや剥がれが生じます。
コストと性能のバランスを考える
高性能な素材ほどコストが高くなるため、必要な性能を見極め、最適な素材の選択を行うことが大切です。
4. 表面素材の種類
表面素材は、デザインや印刷適性に影響するだけでなく、湿気や温度変化への耐性も大きく関わります。
紙素材:アート紙、コート紙など
水濡れのない冷蔵食品などに使用されることが多い。
- メリット:
- コストパフォーマンスが良い
- デメリット:
- 湿気に弱く、冷凍環境では変形や剥がれのリスクが高い。
※ラミネート加工を施すことで、耐久性を向上させることもできます。サンプル等でのテストを推奨しています。
・フィルム素材:ユポ(合成紙)、PETなど
柔軟性が高く、耐水性に優れるため冷凍食品やボイル等にも対応できる。
- メリット:
- 結露や水滴に強い。
- 冷蔵・冷凍庫内でも変形しにくい
- 白や透明、シルバーなど種類が多い
- 温度変化に強い素材がある
- デメリット:
- 紙素材と比較してコストが高め
その他:耐水和紙など
耐水性のある和紙などはお酒などのラベルにも使用されることがあります。風合いやデザインにこだわりのある場合にはピッタリの素材です。
まとめ
冷凍・冷蔵用のシールやラベルには、温度や結露などに対応するためのさまざまな素材が用いられています。それぞれの素材にはメリットとデメリットがあるため、使用目的や環境に応じた適切な選択が必要です。
何を使用するかは貼り付けるものや保管条件、輸送条件などをもとに印刷会社に相談することで適切な素材を使用することができます。