優れたデザインの商品ラベルは、消費者の目を引き購入のチャンスを生み出します。第一印象で無意識に購入する商品を決める方は多く、デザインのクオリティと商品価値を結び付けて認識する傾向があるからです。
そのため、手に取ってもらえる商品ラベルを作るには、ターゲットや商品コンセプトの設定に加え、適切な依頼先を選ぶ必要もあります。
そこで、本記事では「売れる」ラベル作成のコツをまとめました。ぜひ自社商品の売上やブランド力UPにお役立てください。
商品ラベルのデザインにこだわる理由とは
ラベルのデザインにこだわるのは、商品の売れ行きを左右する3つの影響力があるからです。
- 自社の商品を手に取ってもらうため
- 商品の中身と魅力を伝えるため
- ラベルデザインで商品価値を高められるため
商品ラベルのデザインが消費者に与える影響力を項目に分けて解説します。
自社の商品を手に取ってもらうため
人間がキャッチする情報の80%以上は視覚情報です。多くの方は、手に取る商品を第一印象で無意識に決めています。数多くの競合の中から自社商品を選んでもらうには、視覚に訴える方法が効果的です。
商品を手に取ってもらえるラベルは、メリコの法則を満たしていると言われています。
- メ=目立っている
- リ=理解できる
- コ=好感が持てる
消費者の目を引き、商品の内容を分かりやすく伝え、好感が持てるデザインが「売れる」ラベルの特徴です。
商品の中身と魅力を伝えるため
ラベルは中身の表示や保護だけでなく、商品の魅力を伝える手段でもあります。
選ばれる商品ラベルは、次の3つの条件を満たしたものです。
- 商品コンセプトに合っている
- 商品のメリットを分かりやすく伝えている
- ターゲットをとらえている
購入前の商品は、封を開けて中身を確かめられません。そのため、ラベルなどのパッケージから商品をイメージできるかが重要になります。商品のキャッチコピー・色合い・素材の手触りなど、さまざまな要素から消費者は価値を判断します。
さらに、ラベルのデザインは、商品の第一印象を決める「身だしなみ」です。好印象を与えれば、商品を「パケ買い」されるケースもあるでしょう。
ラベルデザインで商品価値を高められるため
消費行動を調べた研究では、パッケージデザインから商品価値を連想する方が多いとのデータもあります。パッケージデザインが洗練された商品は無数の商品の中でも視覚的に引き立ち、価値が高いと思われ興味を引くことが可能です。
一方、デザイン性が劣ったパッケージの商品は、あえて野暮ったい、古臭いデザインを採用することで、親しみやすさやお得感を消費者に伝えるといったマーケティング戦略も策定できます。
ただし、ターゲットをとらえたラベルデザインに仕上がったとしても、必ずしもヒットするとは限りません。消費者の反応に応じて、ラベルデザインの改善も常に視野に入れておく必要があります。
実際に、手にとった消費者にシーズンごとのビールの楽しさを想起させるような季節限定デザインパッケージを採用し、堅調な売上を維持したビール会社や、取扱い説明書的な役割として認知されている園芸用ラベルに、刷新したブランドのロゴを施すことでブランディングに成功し、市場価値が上がった園芸品の事例などもあります。
商品の魅力を高めるデザインにする方法
商品の魅力を高めるラベルには、3つの特徴があります。
- ターゲット層に合う配色やフォントを使用する
- 商品イメージを意識した素材や加工をする
- トレンドや市場の動向をキャッチする
選ばれる商品のラベルは、誰にどのような商品を届けるかが明確になっています。デザインを決めるより先に、ターゲットと商品コンセプトを決めるのが重要です。
ターゲット層に合う配色やフォントを使用する
商品名を示すラベルの中で、文字のデザインは大きな位置を占めます。フォントは種類ごとに「上品な」「ポップな」など異なるイメージを持ち、コンセプトに合わせた使い分けが必要です。
配色やレイアウトが優れたデザインでも、書体選びを間違えればターゲットの心はつかめません。視覚は商品のイメージに大きな影響を与えるため、ラベルもターゲットに合わせたフォントや色を用いたデザインを模索しましょう。
商品イメージを意識した素材や加工をする
同じデザインのラベルでも、素材を変えれば見え方が変わります。マットな質感や光沢のある質感など、商品に合わせた素材選びもラベルデザインの重要な要素です。さらに、商品コンセプトに合わせて、高級感を演出する箔押しなどの特殊加工を施す場合もあります。
ラベルのデザインは、画面やプリンター印刷の見た目がゴールではありません。実際に商品が並べられた状態を見越したデザインの工夫が重要です。
トレンドや市場の動向をキャッチする
パッケージデザインのトレンドの一つに、次のようなSNSとの連携があります。
商品 | PR方法 |
スミノフ | 3本のボトルで乾杯シーンが現れる限定デザインを発表(2021年)参考:キリンホールディング 限定ボトルのSNS投稿を促すプレゼントキャンペーンを実施(2023年)参考:キリンホールディングス |
ソルティライチ | 公式Instagramでラベルデザインやおいしさの秘密を公開(2017年)参考:キリンホールディングスストーリー性のあるPRで自社のファンを獲得 |
思わず人に教えたくなるようなデザインの商品ラベルは、SNSで拡散される可能性もあります。
商品ラベルのデザイン依頼方法
商品ラベルのデザイン依頼には、5段階の流れがあります。
- 依頼する業者を探す
- 打ち合わせを行う
- 材質確認、 市場調査など
- デザイン作成
- 色校正・印刷・加工
なお、3以降の作業は基本的に依頼先が行います。依頼先が決まれば、2と4のデザイン作成の打ち合わせと5の色校正を除けば、やるべき作業はそれほど多くありません。その分、本業に注力できる点がデザインを依頼する大きなメリットです。
依頼する業者を探す
ラベルデザインの依頼先は、次の3通りが考えられます。
メリット | デメリット | |
クラウドソーシング | 低コスト・短納期の依頼にも対応できる 多くの候補者から選べる | スキルにバラつきがある 手数料を取られる 印刷の依頼先を別途探す必要がある |
広告代理店・ デザイン事務所 | 企画・デザイン力が高い | 費用が高い 印刷の依頼はできないことが多い |
企画・デザイン部のある印刷会社 | 印刷・加工のノウハウもある ラベルが商品に貼られた状態を確かめられる | 少数の印刷依頼の場合は割高になるケースもある |
デザインの仕事は幅広いため、すべての業者がラベルデザインに精通しているとは限りません。ラベルの制作実績が豊富な業者を選び、依頼先を分散させないことが大切です。
打ち合わせを行う
依頼先を決めたら、デザインの打ち合わせを行います。
打合せ前に、次の3項目を社内でまとめておくとよいでしょう。
- 商品の特徴や魅力
- ターゲットとコンセプト
- 希望のデザインに近いパッケージの見本
難しい場合は、商品の特徴や魅力だけは伝えられるよう準備してください。
依頼先の視点が入ることで、気づかなかった商品の魅力を発見する可能性もあります。
材質確認・市場調査など
最初の打ち合わせを済ませたら、ラベルデザインの作成に必要な調査を行います。
- 店舗に出向くなど商品が並べられる状態を調査
- 競合他社の動向を調査
- 商品に合わせた材質、粘着の強さを選定
単体で見たデザインがよくても、ほかの商品に埋もれてしまえばラベルの宣伝効果は発揮されません。実際に陳列された状態と、消費者が手に取った状態を計算に入れて設計されるのが商品ラベルのデザインです。
デザイン作成
次に、依頼主の要望と調査結果をもとにデザインの方向性を決めます。ラベルのデザインを決め、それを形にする流れは次の通りです。
- デザイナーが商品ラベルの案をいくつか作成
- 再度打ち合わせを開催
- デザイナーの提案をもとに話し合いでデザインを決定
デザインだけでなく、ラベルデザインでは材質の素材に合ったデザインに仕上げることも大切です。
デザインを決める打ち合わせでは、デザイナーがラフスケッチや商品のイメージ・アイデアを「見える化」しながら話し合いを進める場合もあります。
色校正・印刷・加工
デザインが決まれば、商品ラベルを形にする印刷の行程に移ります。デザインを実物のラベルに仕上げる工程は次の通りです。
- 印刷用のデザインデータ(版下)の作成
- 実際に印刷されたラベルの色味を確かめる色校正
- 商品ラベルの印刷・加工
デザインを形にするには、商品やラベルの材質に合わせた細かな調整が必要で、デザインと印刷の連携が欠かせません。色校正は必須ではありませんが、モニターやプリンターで見る色と実際に印刷されたものには差があるため、再現性の確認にも役立つ工程です。商品ラベルのデザインは、印刷とデザインを連携して行える印刷会社に依頼するのが効率的です。
まとめ
ラベルなど商品パッケージのデザインは、消費者の行動に大きな影響を与えています。第一印象で買う商品を無意識で決める方が多く、ラベルのイメージと商品価値を結び付けてとらえる傾向があります。ラベルのデザインは、視覚に訴え購入を促す効果のあるマーケティング施策の1つです。
「売れる」商品ラベルを作るには、プロに依頼することを検討しましょう。消費者の目を引き、商品への興味を喚起させるためには、デザインだけでなく、ラベルの素材や粘着の度合など、さまざまな要因をすべて設計する必要があるからです。さらに、デザインを形にするのは印刷で細かな調整も必要なため、デザインから印刷・加工までを一括依頼するのがおすすめです。