金色を演出する3つの手法
「金色」は高貴で豪華なイメージを持つ色で昔から色々な場面で使用されてきました。ピカピカと輝く金は自然と人目をひき、注目される要素の一つです。
シール印刷の中でも、金色は高級感や特別感を演出する際に人気があり、パッケージラベルやステッカーに使用することで商品やブランドに洗練された印象を与えることができます。今回は、シール印刷における金色の表現方法やその特徴について、「金箔加工」、「刷り金インク」、「金色の素材」を使った代表的な3つの方法を紹介します。
金色の表現 3種
1.金箔加工
圧倒的な輝きと質感
金箔加工は、シール印刷に華やかで高級な印象を与える加工です。この加工は、薄い金属箔をシールの表面に転写することで、光沢のあるリアルな金色を生み出し、他の金色の表現に比べてもいわゆる「金」らしい美しい表現ができます。
金箔は通常、熱と圧力を使って貼り付けられ、この加工は「ホットスタンプ」とも呼ばれます。
下記記事は箔加工の仕組みや種類を説明しています。
メリットとデメリット
メリット:箔加工で加工された金色は光沢があり、見る角度によって反射する輝きが変わります。箔の素材もツヤやマット、赤金、青金など金色の種類が多く選ぶことができます。
基本的に耐久性が高く、変色しにくいのも特徴です。そのため、特に高価格帯の製品ラベルやギフト用のシールに多く用いられています。屋外での使用は注意が必要です。
▼金箔に使われる金属箔の写真(一部銀箔)
デメリット:金箔加工は専用の版や箔フィルムが必要なためコストがかかり、熱で転写するため細かいデザインや小さい文字などは再現できない場合があり、デザイン内容やロット、コストなどを考慮して選択する必要があります。屋外での使用には向きません。
2.刷り金インキ
手軽でコストパフォーマンス良
刷り金インキは、金箔ほどの輝きはないものの、金属的な質感を手軽に表現できる方法です。刷り金インキは、一般的な印刷工程で使用することができるため、コストが抑えられる点が特徴です。
刷り金には青系と赤系があり、デザインのイメージに合わせて選ぶことができます。金箔と比較すると金属感が弱く、落ち着いた印象になります。
メリットとデメリット
メリット:インキのため通常の印刷工程で印刷でき、細かいデザインの表現が可能です。箔加工よりコストが抑えられます。
デメリット:光沢感や金属感は金箔加工には及ばず、インキに真鍮が含まれるため水に弱かったり、酸化によって色あせることがあるため、長期間の耐久性が求められる場合は注意が必要です。表面保護のためニス加工やラミネート加工を推奨する場合もあります。
3.金色素材の使用
金素材とはシールの素材自体が金色のシールになっているものです。代表的なものはフィルム系のネーマーと紙系のホイルです。表面はツヤ、マットなど種類があります。下記画像はネーマー金のツヤとマットです。
工夫によって質感や色調の幅広い表現が可能
金ネーマーや金ホイルなどの金色のシール素材を使用する方法も金色を表現する手段の一つです。素材自体にメタリックな光沢や独特の質感があり、金色を鮮やかに表現することができます。
金素材はツヤの有無や色合いなどの種類があり選ぶことができます。
メリットとデメリット
メリット:素材自体に色がついているため、印刷プロセスを簡略化でき、デザイン面では、金色の素材を背景として使用し、そこに他の色を重ねて印刷することで、独特な効果を生み出すことができます。
素材に存在感があるため、シンプルなデザインでも高級感を演出できます。
デメリット:素材の選択肢が限られること。デザインや製品の用途によっては、素材と印刷、加工方法との組み合わせに制限がある場合があり、それらを満たさない場合は使用できません。
また、金素材は印刷の色に影響するので注意が必要です。黒、こげ茶など濃い色は素材色の影響を受けにくい色です。
よく使われる製品
- ロゴシール
- 封緘シール
- ワンポイントシール
- ステッカー など
【応用】銀ネーマーを使用した金色の表現
▲銀ネーマーに色を重ねることで擬似的な金色を表現しています。黄色の%によって色味が変わります。
素材を使用して金色を表現するにあたって有効な手段の一つに銀ネーマーの使用があります。銀ネーマーに黄色系の色を重ねることで金色のイメージを表現することができます。印刷に詳しい人でないかぎり、色の表現方法を判別するのは難しいため、上手くデザインに取り入れることで金箔を使用したかのような印象を与えることもできます。
この場合、重ねる黄色系のインキの色や網のパーセントを調整することで表現される金色を変えることができ、この効果を利用することで金色のバリエーションの表現も可能になります。
この効果を使用する場合はモニター上の色味と実際の印刷の色が違ったり、想像した色味で表現されない場合があります。色校正などを使用して事前に色を確認すると安心です。
まとめ
金色の表現は、パッケージやロゴマークなどの表現において重要な役割を果たし、商品やブランドに高級感や信頼感を与えてくれます。金色を表現するそれぞれの方法には特徴と適した用途があるため、見た目、ロット、コスト、製品の使用用途に応じて最適な選択をすることが大切です。