「ステッカーに使用する素材の種類が知りたい」「用紙の選び方がわからない」とお悩みではないでしょうか。
ステッカー素材には大きく分けて紙とフィルムがあり、素材ごとに見栄えや耐久性が異なります。おしゃれなステッカーを作成するためには、適切な素材選びが重要です。
本記事では、ステッカー素材の種類や選び方を詳しく解説します。自社に合ったステッカーを作れるよう、ぜひ最後までご覧ください。
ステッカー素材とは?シールとの違いも紹介
ステッカーは表面加工・素材・糊・台紙の4つからなり、その中で素材は見た目や品質を左右する重要な要素です。
ステッカーとシールは、いずれも粘着性のある素材に印刷を施したものです。印刷会社により名称や考え方が異なりますが、傾向として以下の違いがあります。
使用場所 | 使用例 | 印刷手法 | |
ステッカー | 屋外 | ・店舗の窓や看板 ・乗り物の装飾 ・工業機器 | ・インクジェット印刷 ・シルクスクリーン印刷 |
シール | 屋内 | ・商品ラベル ・訂正用 ・保護用 | ・オフセット印刷 ・オンデマンド印刷 |
屋外で使用されるステッカーは、紫外線や雨、風の影響を受けるため、日焼けや剥がれなどの劣化が進みやすい点が特徴です。そのため、耐久性を重視した素材や印刷方法を選ばなくてはなりません。
また、素材やインキで対策を講じても劣化を完全に防ぐのは難しく、いずれは貼り直しが必要になる点も押さえておきましょう。
ステッカー素材の種類と特徴
ステッカー素材の種類は、紙とフィルムに分けられます。
紙の代表例として、コピー用紙のような上質紙や、光沢があるミラーコート紙などが挙げられます。
しかし、屋外使用が多く耐久性が重要なステッカーの用紙としては、フィルムがおすすめです。ここでは、代表例として合成紙・塩ビ・PETフィルムの3つを詳しく紹介します。
素材ごとの特徴を理解して、使用目的に適したものを選びましょう。
合成紙|耐水性が高く、破れにくい素材
合成紙は、合成樹脂「ポリプロピレン」を原料とするフィルムです。
主に「ユポ」と言われるユポ・コーポレーションの製品が多く使用されています。
プラスチックが主成分のため耐水性が高く、防水ステッカーとして使用されます。また、多層構造であることから、引っ張っても破れにくい性質があります。価格が比較的安いのも合成紙のメリットです。
しかし、耐熱性がやや弱い傾向にあるため、屋外での長期間使用には向いていません。また、インキの剥離防止にラミネート加工(表面に薄いフィルムを貼る加工)を施すことが推奨されます。
ユポには裏面の印刷が透けない両面印刷に適した素材もあり、電車やタクシーの窓用ステッカーなどに利用されます。
このようにユポは、短い期間で剥がすまたは貼り直すことが決まっている場合に、採用されることがある素材です。
塩ビ|耐候性が高く、劣化しにくい素材
塩ビは、ポリ塩化ビニルの略称です。塩ビを使用したステッカーは、塩ビステッカーとも呼ばれます。
フィルムの中でも特に耐候性や耐熱性が高く、紫外線による劣化が少ない点がメリットです。また、柔軟性や伸縮性にも優れているため、車のボディやヘルメットなど曲線のある箇所にも貼れます。
見た目としては、透明なもの(透明塩ビ)と、下地に白いインキを使うもの(白塩ビ)の2種類です。車両広告や工業機器、店舗の看板などに利用されています。
PETフィルム|デザインの幅が広い素材
PETフィルムは、ポリエステル素材のフィルムです。
耐水性や耐候性に優れており、屋外でも使用できる素材です。ただし、材質がかたく伸縮性に劣るため、曲面に貼るステッカーには向いていません。
また、PETフィルムは透明ベースの透明PETが多く使われており、文字やイラストを目立たせたいときや、パッケージのデザインに同化させたいときに便利です。
白ベースの白PETや、PET素材に金や銀のホイルを使用した金ネーマー・銀ネーマーもあり、おしゃれなデザインを表現できます。ただし、金PETは金色が褪せる場合があるため長期の屋外使用には向いていません。銀色のPETフィルムは電化製品などの型番表示シールなどにも多く採用されており、日常生活でも目にすることが多い素材です。
ステッカー素材の選び方
ステッカー素材の選び方を5つのポイントに分けて紹介します。複数の観点から素材を比較・検討して、品質の高いステッカーを作成しましょう。
1.使用目的から必要な特徴を洗い出す
ステッカーは、使用目的により重視すべきポイントが異なります。用途から必要な特徴を洗い出して整理することが重要です。
例えば、バイクや車のステッカーとして利用する場合、紫外線や雨風に耐性のある素材を選ぶ必要があります。紫外線に強いインキやUV加工が施されたものを選ぶのも効果的です。
また、店舗のプロモーションや企業の認知度向上が目的の場合、競合他社よりも目を引くものが望ましいといえます。屋外看板や電車などの乗り物に貼るのであれば、印刷内容が読みやすく、目に止まりやすい素材を選ぶのも有効です。
2.デザインとの相性をチェックする
ステッカーのデザインと素材の相性を確認するのも重要なポイントです。
例えば、ステッカーで高級感や華やかさを表現したいときは、デザイン性の高い銀色の素材を使うと効果的です。銀色の光沢により、ステッカーに印刷する自社のロゴやキャラクターの魅力も引き立てられます。
また、文字が浮き出るような仕上がりにしたい場合は、透明の素材を用いるとよいでしょう。しかし、銀素材に印刷すると、インキが透けることにより絵や文字などが読みにくくなります。その場合は、デザイン部分の下地に白色を印刷することで不透明度が上がるため、ステッカーを貼付する対象物の色や柄の影響を受ける心配はありません。
3.素材ごとの特徴を確認する
重視するポイントが決まったら、各素材の特徴を踏まえて比較しましょう。
ステッカー素材に重要な耐久性は、ステッカーの用途や貼る期間、貼る場所を踏まえて比較する必要があります。
例えば、塩ビや合成紙、PETフィルムは屋外使用に適していますが、合成紙とPETフィルムは、塩ビに比べると紫外線に弱い素材です。そのため、特に長いスパンで屋外使用するステッカーの素材としては、塩ビを選ぶのが望ましいといえます。
また、光沢などのデザインを重視する場合は、PETフィルムの使用が一般的です。PETフィルムには素材表面の種類が多いため、印刷会社の公式サイトにあるサンプル写真や実物を見ながら、比較・検討するとよいでしょう。
4.コストの観点から検討する
用途や特徴だけでなく、予算に応じて適した素材を選ぶことも重要です。
PETフィルムや塩ビは、合成紙に比べるとコストがかかりやすい点に注意する必要があります。実際の料金は印刷内容やロットなどによって異なるため、印刷を依頼するときは複数社から見積もりを取るのがポイントです。
また、低価格な素材より、やや高価でも耐久性に優れている素材の方が、長期的にみるとお得な場合があります。予算を超過しそうであれば、素材だけではなく、サイズや色数、加工方法などの仕様変更でコスト削減できないかを検討しましょう。
5.印刷方法と併せて選ぶ
おしゃれなデザインを実現するためには、印刷方法の選択も重要であり、素材選びとセットで検討する必要があります。
ステッカーを作成する際に使われる主な印刷方法を4つ紹介します。
印刷方法 | ポイント |
インクジェット印刷 | ・色の再現性が高く、フルカラーのステッカーに向いている ・溶剤系インキであれば数年もつ可能性がある ・製版が不要なため、小ロットの印刷もできる |
レーザー印刷 | ・印刷面が厚く耐候性があり、屋外ステッカーに向いている ・ラミネート加工をすると数年もつ可能性がある ・熱によってトナーを定着させるため、色ムラが発生しやすい |
シルクスクリーン印刷 | ・曲面印刷が可能であり、立体感のあるデザインを表現できる ・単色印刷に適しているが、色を細かく掛け合わせた表現は不得意である |
オフセット印刷 (耐候インキ使用) | ・耐候インキは、屋外で長時間使用しても紫外線による退色が進みにくい ・マゼンタとイエローを耐候インキに変更する |
印刷方法ごとに耐久性やデザインの特徴が異なるため、ステッカーの目的に応じて使い分けましょう。
ステッカー素材の選び方に迷ったら印刷会社への相談がおすすめ
ステッカー素材の選び方に迷うのであれば、印刷会社への相談がおすすめです。ステッカー作成の目的に応じて、適した素材の提案を受けられます。
素材選びでは、印刷会社の担当者との綿密なコミュニケーションが鍵を握ります。ステッカーの用途や完成イメージ、使用期間などをできる限り細かく伝えましょう。
また、印刷会社を選ぶ際は、以下の点に注意する必要があります。
- ステッカー印刷の実績が豊富な会社か
- 要望のヒアリングやデータチェックなど、サポートが充実しているか
- 使用したい素材で印刷が可能か
- オプションや加工を選択できるか
- 予算内で対応してもらえるか
- 希望枚数で作成してもらえるか
- 納期に支障がないか
印刷会社によっては、素材選びだけでなく、入稿時の改善提案のサポートを受けられることがあります。デザイン制作から依頼できる印刷会社であれば、納期調整がしやすく、やりとりも一社で済むのがメリットです。
まとめ
ステッカーは屋外使用することが多いため、耐久性に優れた素材が適しています。主な素材は合成紙・塩ビ・PETフィルムの3つであり、ステッカーの目的に合わせて選択する必要があります。
ステッカーに使用できる素材は上記の3つ以外にもあるため、素材選びの際には、ステッカーの使用目的から必要な特徴を洗い出した上で、耐久性やデザイン、コスト面など幅広い視点で検討するのがポイントです。
自社でノウハウが不足していると感じた場合には、ステッカー制作の実績が豊富な印刷会社へ相談しましょう。