印刷の納期を徹底解説!印刷物ごとの目安や短くするコツとは?

印刷の納期とは

印刷の納期は、印刷物の仕様や入稿データの状態など、さまざまな要因で大きく変わります。特にイベントや展示会などの印刷物は、納品が数日遅れるだけで大きな機会損失につながる場合があるため、納期の目安を正しく把握することが重要です。

本記事では、印刷の納期とは何か、納期が決まる要素や印刷物ごとの目安、さらに納期を短くするためのコツを徹底解説します。期日までに確実に印刷物を手元に確保したい方や、短納期での外注を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

※本記事の整理はあくまで一例で、印刷会社によって考え方が異なる場合がある点にご注意ください。

目次

印刷の納期とは

印刷の納期とは、印刷会社が印刷物を完成させて出荷する予定日のことです。通常、配送にかかる期間は考慮されません。そのため、実際に発注者である顧客の手元に印刷物が届くのは、納期よりも1日〜数日後になります。

多くの場合、納期はデータ入稿と注文の両方の確定日(受付日)から「営業日換算」で計算されます。土日・祝日が休業の場合、納期算定時の日数には含まれません。一般的に印刷会社の営業日はホームページなどで確認できます。

例えば、納期までの期間が5日と指定されたら、受付日から5営業日後が出荷予定日です。

基本的には、納期までの期間を短くするほど、印刷費用は高くなる傾向があります。印刷物が必要な日まで余裕がある場合には、早めに注文すればコストを抑えられます

印刷の納期に影響する要素

印刷の納期に影響する主な要素には、以下があげられます。

  • 印刷物の仕様
  • データを入稿する方法やタイミング
  • 印刷会社の種類や混雑状況

上記のほかに、配送地域(離島や遠方など)や配送方法によって、届く時間が遅れる場合がある点にも注意が必要です。懸念点がある場合には、印刷会社から指定された配送業者のホームページも確認してください。

また、近年は運送業界の人手不足などの影響で、配送に以前より時間がかかる傾向があります。特に繁忙期や悪天候の時には、指定日より遅れて届くケースも珍しくありません。そのため、余裕を持って配送スケジュールを組むことが重要です。

それでは、印刷の納期に影響する要素をそれぞれ詳しくみていきましょう。

印刷物の仕様

印刷の納期は、以下のような印刷物の仕様によって大きく異なります。

仕様概要
部数ロット数が増えると、印刷の時間がかかる傾向がある
サイズ・用紙特殊なサイズや用紙を使う場合、準備の時間がかかりやすい
色・印刷方式特殊な色のインキや印刷方法を指定する場合には、時間がかかりやすい
加工・内職製本や特殊加工、内職(※)が必要だと、納期が大幅に延びやすい

※シール貼りや手折り、封入作業など

上記のような仕様に当てはまる場合には、見積もりの段階で印刷会社に伝えておくと、スケジュールを立てやすくなります。

また、本印刷前に印刷物の色味を確認する「色校正」を行うと、納期が大幅に変わる点も押さえておきましょう。

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データを入稿する方法やタイミング

印刷に使うデータを入稿する方法やタイミングによっても、納期が変わります。

例えば、印刷に適さないデータ(データ形式やカラーモードの誤り、解像度不足など)で入稿した場合、修正のやりとりが必要になり、納期が遅れます。また、指定された日よりもデータ入稿のタイミングが遅れた場合、納期が後ろ倒しになりうる点に注意が必要です。

特に、ネット印刷を利用する場合、データを再入稿して確認が終わるまでの間、納期のカウントがストップになることが多くあります。

印刷会社とよくコミュニケーションを取り、入稿データをミスなく準備することが重要です。

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印刷会社の種類や混雑状況

印刷会社にはネット印刷と事業所型の印刷会社があり、ネット印刷のほうが納期は短い傾向にあります。ネット印刷が早い理由には、営業担当とのやりとりがなく24時間オンラインで手続きが可能な点や、印刷物の仕様がより標準化されている点などがあげられます。

また、印刷会社の繁忙期や休業時期などには、通常よりも納期が延びる場合がある点に注意が必要です。一例として、以下のような時期には時間がかかる傾向があります。

  • 新年度が始まる前の2~3月
  • 夏休みや冬休みなどの大型連休の時期
  • コミケなどのイベントシーズン
  • 年末年始

こうしたタイミングで大量の印刷物を依頼する場合には、余裕をもったスケジュール管理を心掛けましょう。

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【印刷物別】印刷の納期の目安

ここでは、事業所型の印刷会社に印刷物を発注した場合の納期の目安を紹介します。印刷の納期までの期間を印刷物別に示すと、以下のとおりです。

印刷物の種類納期までの期間
名刺・ショップカード2〜5営業日
チラシ・フライヤー4〜5営業日
シール・ステッカー4〜7営業日
パンフレット・カタログ5〜14営業日
パッケージ(箱や袋)10〜20営業日
特殊加工+2〜5営業日(追加)

※出荷までの目安であり、配送にかかる期間(通常1日〜数日程度)は別途必要。

なお、上記は事業所型の印刷会社の場合であるため、ネット印刷に依頼するとより短い期間で対応できる可能性があります。また、同じ事業所型の印刷会社でも、対応可能な期間には差があります。

依頼先の印刷会社のホームページや問い合わせを通じて、正確な納期を確認しましょう

印刷の納期を短くするコツ

印刷の納期を短くする主なコツには、以下があげられます。

  • できるだけシンプルな仕様にする
  • 整った入稿データを早めに用意する
  • 短納期プランを活用する

緊急で印刷物が必要になった場合には、ひとつでもコツを実践することで、制作を間に合わせられる可能性があります。それぞれ詳しくみていきましょう。

できるだけシンプルな仕様にする

印刷物の目的や内容によりますが、できるだけシンプルな仕様を選べば、納期を短くできる可能性があります。

例えば、シンプルな仕様には以下のような例があげられます。

  • 規格通りのサイズや用紙、色を選ぶ
  • 印刷会社が用意するテンプレートを用いる
  • 特殊加工を最小限にする
  • 校正の回数を減らす

納期に影響する要素を印刷会社に確認して、目的に沿ったものに絞れば、コスト削減にもつながるでしょう。

整った入稿データを早めに用意する

印刷物の入稿データの不備を防げれば、印刷会社との修正のやりとりがなくなり、納期を短くできる可能性があります。

よくある入稿データの不備の例は以下のとおりです。

種類概要
サイズの間違い仕上がりサイズと違う大きさでデータを作ってしまう
カラーモードの誤り印刷向きでないRGBのまま入稿してしまい、CMYKへの変換が必要になる
デザインの塗り足し不足仕上がりサイズの少し外側まで色を伸ばさないと、印刷時のズレで白フチが出る場合がある
フォントのアウトライン化忘れデザインソフトでアウトライン化(※)を忘れると、文字化けや位置ズレの原因になる

※フォントが図形として認識されるための処理

印刷会社のホームページにある入稿ガイドやテンプレートを遵守して、指定された入稿予定日までに入稿データを準備する必要があります。

また、印刷会社にできるだけ早く入稿すれば、万一不備の連絡があってもすぐに対応が可能です。印刷物が必要な日から逆算して、入稿や校正の期限をこまかく設定した上で、そのスケジュールが妥当かどうかを印刷会社に確認するとよいでしょう。

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短納期プランを活用する

印刷物の短納期プランを設けている印刷会社もあり、活用すると納期を短くできます。「超短納期」をうたうネット印刷であれば、即日や翌日の発送に対応している場合もあります。

短納期プランを利用する際は、対象となる製品や仕様、部数などが限定されているケースがあるため、事前に条件を確認しましょう。

ただし、短納期プランは通常より割増の料金が発生し、納期を早くすればするほどコストが上がる傾向があります。また、短納期プランを選んだ場合にも、整った入稿データを予定通り用意しないと、納期を早くできない点に注意が必要です。

まとめ

まとめ

印刷の納期は、印刷物の仕様や入稿データの状態、印刷会社の混雑状況など、さまざまな要素で変わります。遅延を防ぐためには、印刷物が必要な日から逆算してスケジュールを立て、早い段階で入稿データを準備しておくことが重要です。

本記事を参考に、余裕を持ったスケジュール管理で、必要なタイミングで確実に印刷物を受け取れる体制を整えましょう。

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