印刷品質を決める最適なdpiとは?印刷物に適した設定を解説!

最適なdpiとは

dpiの設定は印刷物の品質を左右します。dpiの設定が不適切だと印刷物の品質は低下し、訴求したい内容が伝わらない可能性があります。

今回の記事ではdpiの基礎知識とともに、印刷用途別に適切なdpiの設定を紹介していますので、印刷物の品質を向上させたい方はぜひ参考にしてください。

目次

印刷品質を決めるdpiの基礎知識

dpiは印刷物の品質を決める重要な要素です。dpiに関する基礎知識として以下、2つのポイントに焦点を当てて説明します。

  • 解像度を表す単位として使われる
  • 解像度を表す「ppi」との違い

印刷物を制作する際の参考にしてください。

解像度を表す単位として使われる

dpiは印刷の解像度を表す単位で、「Dots Per Inch(ドット・パー・インチ)」の略称です。解像度は、1インチ(約25.4mm)の中に何個のドット(点)が並べられているかを表します。

例えば、300dpiは1インチの中にドットが300個、75dpiは1インチの中にドットが75個あることを示します。

1インチの中にドットの数が多ければ文字や画像の解像度は高く、鮮やかではっきりとした印刷が可能です。反対に、1インチの中にドットの数が少ないと文字や画像の解像度は低くなり、ぼやけたり、荒さが目立ったり鮮明さは失われます。

解像度を表す「ppi」との違い

解像度の単位には、dpiのほかにppiがあります。

印刷の解像度を表すdpiに対し、ppiはディスプレイなどデジタル上に表示される解像度です。dpiは1インチの中に含まれるドット数を示しますが、ppiは1インチの中に含まれるピクセル数を表します。

ピクセルは画素ともいい、デジタル画像を構成する最小単位です。画素数が高ければ高いほど、ピクセルが1インチの中に多く集まっているため、画像がはっきりと表示されます。

dpiとppiはどちらも解像度を表す単位で同じような意味で扱われることもあります。しかし、dpiは印刷、ppiはデジタルと厳密に考えると異なるものといえるでしょう。

品質を保つdpi設定を印刷用途別に紹介

dpiの数値が高いと文字や画像が鮮明に印刷されます。しかし、適切なdpi設定をしないと、ファイルデータが大きくなり、加工やデータの受け渡しに支障をきたす恐れがあります。また、人間が認識できる画質は300dpi程度と考えられているため、必要以上に解像度を高く設定する必要はありません。

以下、5つの印刷物を例に適切なdpi設定を紹介します。

  • フルカラー印刷
  • グレースケール印刷
  • モノクロ印刷
  • 大判印刷
  • 屋外用メディア

それぞれの印刷物に適したdpi設定を把握しておきましょう。
(下記に紹介するdpi数値は使用する画像サイズ、印刷の仕上がりサイズの原寸に対しての解像度の数値です。)

フルカラー印刷

フルカラー印刷は幅広く使用される印刷方法で、主に以下のような印刷物に適しています。

  • チラシ、フライヤー
  • カタログ、冊子
  • パンフレット
  • 名刺
  • シール、ステッカー
  • ポストカード など

フルカラー印刷の場合、解像度を300dpiから350dpiに設定するのが適切です。これらの印刷物は目を近づけて情報を確認することが目的となるため、高解像度が求められます。解像度が低いと、文字がぼやけてしまったり画像が荒くなってしまったり、視覚的なきめ細やかさが損なわれる恐れがあります。

細かいデザインや繊細なイラストを含む場合は、あらかじめ解像度を高く設定しておく必要があるでしょう。

グレースケール印刷

グレースケール印刷は、白と黒、グレーを使用した印刷方法で、モノクロ印刷よりも滑らかな色の表現が可能です。主に以下のような印刷物に使用されます。

  • チラシ
  • 冊子
  • 新聞紙 など

印刷物がテキストだけでなく、写真やイラストも含む場合、適切な印刷方式の選択が重要です。

フルカラー印刷と異なり、グレースケール印刷では600dpiと高解像度での設定が推奨されます。これは明度のみで色を表現する必要があり、解像度が低いとドットの境界線が目立ちやすくなるためです。

なお、グレースケール印刷は文字の細部がぼやけてしまうリスクがあるため、印刷の際は注意を払う必要があります。

モノクロ印刷

モノクロ印刷は、白と黒の2色で印刷データを表現します。主に以下のような印刷物に使用されています。

  • 文字だけの資料
  • 文字だけのチラシ
  • 書籍
  • 漫画 など

モノクロ印刷の場合、解像度は600dpiから1200dpi以上の設定が望ましいとされています。解像度を高く設定すると文字や線がぼやけることなく、きれいに表現できるでしょう。

大判印刷

ポスターなどの大判印刷には、150dpiから200dpiの範囲で解像度を設定するとよいでしょう。ポスターなどの大きいサイズの印刷物は、遠くから見ることを予測しているからです。

そのため、細部のきめ細やかさよりも、大きな画像のビジュアルインパクトがより重要視されるでしょう。

ただし、ポスターに高解像度で詳細な画像が含まれ、近距離での視認が予想される場合には、300dpi以上の解像度が望ましいこともあります。

屋外用メディア

屋外広告媒体、特にのぼりや看板の場合、耐候性や遠方からの視認性が非常に重要です。

例えば、店舗前に設置されるスタンド看板には通常、200dpiから250dpiの解像度が用いられます。これに対して、のぼり旗はほとんどの場合100dpiでの設定が推奨されています。

しかし、スタンド看板であっても、近距離で看板の詳細を見る機会がある場合は、300dpiから350dpiと解像度の高さが求められるでしょう。

印刷物によっては上記に当てはまらない場合もあります。印刷を依頼する際に確認すると安心です。

印刷物の品質に関するFAQ

印刷の解像度を示すdpiと印刷物に適切なdpi設定について解説しました。ここからは、印刷の品質に関するよくある質問について回答します。

  • Webサイトから保存した画像は綺麗に印刷できますか?
  • dpiが低いと印刷物の品質に影響しますか?
  • 印刷すると画像がぼやけるのはなぜですか?

それぞれの回答を参考に印刷物を制作してください。

Webサイトから保存した画像は綺麗に印刷できますか?

Webサイトに掲載されている画像の中には、そのまま印刷することが難しい場合があります。これはWebサイト上で表示される画像が72dpi〜96dpiと低解像度で保存されるためです。

フルカラー印刷の場合、300dpiから350dpiの解像度が求められます。そのため、Webサイト上で表示された画像をそのまま使用すると、印刷時に画質が劣化するかもしれません。

解決策として、画像編集ソフトで解像度の調整をする方法があります。画像の解像度を調整する方法は、使用する編集ソフトによって異なるため、チュートリアルやヘルプページなどを確認してください。

なお、低解像度の画像を高解像度にしてもぼやけたり、荒くなったりして印刷に適さない場合があります。
※基本的にWebサイトの画像を許可なく印刷等に使用することはできません。サイトの利用規約や条件を確認しましょう。

dpiが低いと印刷物の品質に影響しますか?

解像度、すなわちdpiが低いと、画像や文字の細部が粗くなり、全体の画質が低下します。印刷物の品質も下がるため、見る人に不快感やストレスを与えるかもしれません。

チラシやカタログなど購買につながる印刷物であった場合、画像や文字がぼやけていると消費者の購買意欲が低下するリスクもあるでしょう。

印刷物に対して適切な解像度を設定することで、データの品質を落とさずに印刷できます。「品質を保つdpi設定を印刷用途別に紹介」で、推奨されているdpiの数値を紹介していますので、印刷物を制作する際の参考にしてください。

印刷すると画像がぼやけるのはなぜですか?

画像の解像度が印刷物に適していないために発生する事象です。画像の解像度を確認し、それぞれの印刷に適した解像度に設定する必要があります。

画像の解像度は、画像編集ソフトのほか、パソコンにデフォルトで入っている機能で調べられます。このほかに、無料のオンラインツールもあるため、好みの方法で解像度を調べるとよいでしょう。

解像度が適切でないとわかった場合、高解像度の画像に差し替えたり、画像編集ソフトで解像度を調整したりして対処してください。

まとめ

印刷物の品質にはdpiが大きく関係します。適切なdpiの数値を設定しないと、文字や画像がはっきりと印刷されず、本来の力を発揮しません。印刷物の品質を維持、向上させるためにも、それぞれの印刷方法に合った解像度の設定をしてください。

画像の解像度がわからない場合は、画像編集ソフトやオンラインツールを使用して確認できます。

より品質の高い印刷物の制作を検討している方は、専門の印刷会社に相談するとよいでしょう。デザインから印刷まで一貫して取り扱いのある会社なら、画像に対する知識が豊富にあるため安心です。

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