カットライン(カットパス)とは何か?

カットライン(カットパス)とはシールの最終的な形(外周)を決める、デザインデータ内の線のことです。
印刷後、この線に沿って紙をカットするために、データ上での指定が不可欠です。
カットラインと抜き型の違い
カットラインとはシールの形を表すデータ上のライン(線)のことでパスを使用して作成します。抜き型とは実際にシールを印刷した際に抜く刃物のことを表します。そこからカットラインのことを「抜き型線」などと呼ぶこともあります。
抜き型(刃型)のデータ作成のパスの注意点
抜き型(刃型)を作成するためのデザインデータには、抜き形の形状を指定する線が必要です。このカットパスの作り方には、仕上がりの精度に関わる重要な注意点があります。
シールサイズの大きさや抜き加工の方法によりカットラインの精度は変わります。
特にフレークシールやファンシーシールなど小さいサイズのシールを作成する際のカットラインはより注意が必要です。
以下よりAdobe Illustratorでのデータ作成をベースに解説しています。
<カットラインとデザインのレイヤー分離>
抜き型データは、デザインデータとは別のレイヤーで作成し区別します。レイヤー名は「カットライン」「cutline」などがよく使われます。印刷会社に入稿する際はレイヤー名を指定される場合もあります。

線は「ベクターデータ」で作成
Illustratorのソフトで作成したパス線である必要があります。画像(ビットマップデータ)では正確な抜き型データを作成できません。線の設定は0.25ptや0.5ptの細めの線にしましょう。印刷会社によっては線の太さを指定している場合があります。
カット線の色は「特色」で設定
カットパス用の専用の色を特色で設定し、抜き型であることを明確に指定します。シアン100%やマゼンタ100%などで作成するとわかりやすいです。(例:スウォッチ名を「カットライン」や「cutline」などにする)

これらの指定は印刷会社によって様々なため、入稿条件を確認して設定しましょう。
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実際のカットライン例
カットの方法によりカットラインの精度は変わりますが、ここでは一般的な刃型を使用した抜きを行う場合のカットラインの作成に関して解説します。
カットラインは最終的なシールの形となるため、このカットラインがシールのサイズになります。トンボ(トリムマーク)はカットラインのサイズに対して付けます。

カットラインとデザインの距離について
カットラインとデザインの間の隙間は1ミリ以上で作成しましょう。それより近い場合は刃型で抜く時のズレにより、デザインや文字がカットされてしまう場合があります。

塗り足しについて
シールの端まで柄や色がある場合はカットラインの外に塗り足しを作成しましょう。塗り足しは基本3ミリです。柄などは3ミリ以内になってもOKなので、カットラインからはみ出すように入れましょう。
塗り足しがあることにより、抜きズレが起こった場合でもシールの地の白色が見えず自然な仕上がりになります。

複雑なカットライン作成のポイント
キャラクターやロゴを際立たせる複雑なカットラインは、シール・ステッカーの魅力です。しかし、剥がす際の破れなど、製品トラブルを招くリスクも伴います。デザイン性を活かしつつ、品質と実用性を両立させるための、カットラインの調整ポイントをご紹介します。
鋭角になっている

鋭角部分はシールを剥がす際に、その部分から破れる可能性が高いため、丸み(R)をつけます。刃型では基本的に完全な鋭角は作成できません。
入り組んだり、細い部分がある

Fの文字の細い部分はシールを剥がす際にちぎれたり、折れたりするため、大まかなラインに修正します。
細かい凹凸や、カットラインの中にカットライン

王冠やドレスの裾のように細かいガタガタや入り組んだカットラインは滑らかなラインに変更します。また、腕の部分のようにカットラインの中にカットラインは作成しないでください。(※ドーナツのように中を抜き落とす場合は事前に確認が必要です)
シール研究部特にフレークシールなどサイズの小さいシールの場合はより滑らかなカットラインにする必要があります。
ポイントが多すぎるパス
カットラインを作成する際、特に複雑なデザインやトレースを行った場合に、パス上にポイント(頂点)が非常に多くなってしまうことがあります。これはデータの処理時間が長引いたり、最悪の場合、データが開けず再入稿が必要になることがあります。できるだけ単純なパスに修正してください


Illustratorなどのソフトで以下の修正を行い、必要最低限のアンカーポイントでカットラインを構成してください。
スムージング(単純化)機能の活用: パスの単純化機能(Illustratorの場合は「オブジェクト」>「パス」>「単純化」など)を活用し、デザインの形状を保ちつつ、不要なポイントを削減してください。特に円や滑らかな曲線部分は、カーブを表現するために十分なポイントのみを残し、極端に細かく分割された状態を避けてください。
カットライン作成の安全策と、難易度の高いご要望について
上記で解説した「塗り足しの確保」や「パスの単純化」といったポイントは、高品質でトラブルのないシール印刷を実現するための基本的な安全策です。これらのルールを守ることで、仕上がりのズレや剥がす際の破れといったリスクを大幅に減らすことができます。
しかし、「複雑な形状でカットしたい」「真ん中をくり抜いた指輪の形にしたい」といった、ご要望が出てくることもあるかと思います。形によってはリスクやコストの問題を明確にすることで実現可能な場合もあります。諦める前にまずは相談してください。
まとめ


本記事では、オリジナルのシールを作る上で重要な要素の一つである「カットライン」について解説しました。
カットラインは、シールの最終的な仕上がり(形)を決定づける非常に重要な線です。自由な形状のシールを実現できる反面、塗り足しの設定やパスの単純化など、入稿データを作成する上では多くの注意点が存在します。
もし、
- 「Illustratorなどの専用ソフトの操作に不安がある」
- 「企画のデザインが複雑で、データ作成に自信がない」
- 「カットラインを作成できない」
といったご不安があれば、データ作成に関するご相談やサポートも承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。お客様の「作りたい」を形にするために、しっかりとサポートさせていただきます。
