デザインの評価基準を徹底解説!感覚に頼らず判断する手法とは?

デザインの評価基準

デザインの評価は「センスが必要」と思われがちですが、実際には誰でも判断できる客観的な基準があります。良いデザインとは、見た目の品質と目的達成力の両方が高い状態であり、評価軸を整理しておくことで制作の精度は大きく向上します。

本記事では、デザインの客観的な評価基準や、非デザイナーでも運用できる実践的な評価手法をわかりやすく解説します。自社に評価基準を取り入れて、制作物の品質向上や業務効率化につなげましょう。

目次

デザインの評価基準とは

ビジネスにおけるデザインの評価は、個人の「好み」や「センス」といった主観ではなく、客観的な基準をもとに行う必要があります。評価基準が曖昧なままだと、修正の方向性が定まらず、手戻りが何度も発生してコスト増加やスケジュール遅延を招くリスクがあります。

デザインには、「制作物としての基礎品質(見た目)」と「目的達成力(機能)」という2つの側面があり、両者を意識して評価することが重要です。

良いデザインは、この2つが高いレベルにあり、受け手にポジティブな印象を与えながら、最終的にビジネスの成果に貢献するものを指します。

制作物の質を左右する「見た目」のデザインの評価基準

制作物の質を左右する「見た目」のデザインの評価基準として、以下の3つがあげられます。

  • レイアウトの基本原則をもとに情報が整理されている
  • 配色のルールが守られ視認性が確保されている
  • トンマナが全体で統一されている

いずれも、満たされていないと何となくデザインが微妙に見える原因になるものです。それぞれ詳しくみていきましょう。

レイアウトの基本原則をもとに情報が整理されている

デザインにおいて、レイアウトの基本原則は、脳に過度な負荷をかけずに情報を伝えるための共通言語です。基本原則が適切に守られているかどうかは、制作物としての品質を担保するための最低限の基準といえます。

レイアウトの4大原則

デザインの基礎を支える「レイアウトの4大原則」は、視覚的な情報の散らかりを防ぎ、受け手に伝わる構成を作るためのルールで、近接整列反復対比からなります。
これらの原則を組み合わせることで、直感的に理解しやすい洗練された紙面やスライドが完成します。

    近接(Proximity)
    関連する情報を近づけ、グループ化します 。バラバラな情報をひとまとめにすることで、情報の関係性が一目で伝わります。項目ごとに余白を設けて「情報のグループ」を作ることで、どの説明がどの画像に対応しているのかなど直感的に理解でき、情報のまとまりを認識しやすくする効果があります。

    整列(Alignment)
    テキストや画像の端を、見えない基準線に沿って揃えることで要素が整然と並び、視線の迷いを防ぐ効果があります。各要素がバラバラに配置されていると乱雑な印象を与えますが、端を揃えて整然と並べることで、読み手の視線の迷いを防ぎ、清潔感のある見た目になります。

    反復(Repetition)
    同じ要素(デザインやスタイル、色、形、フォントなど)を繰り返し使用することで制作物全体に統一感を持たせることができます。

    対比(Contrast)
    情報の優先度に応じて、文字の大きさや色、太さに強弱をつけることです。重要な情報を目立たせることで、読み手がどこから読めばよいのか、何が伝えたいことなのかを一瞬で判別できる効果があります。

    「4原則」は、情報を正確に、そして心地よく届けるための共通言語です。この4つのうち、どれか一つでも欠けてしまうと、読み手はどこに注目すべきか戸惑い、情報の真意が伝わりにくいデザインになってしまいます。

    逆に言えば、この原則を意識してレイアウトを組み立てるだけで、秩序と説得力が生まれます。「見やすいデザイン」とは、単なる装飾ではなく、これら基本を積み重ねた結果なのです。

    配色のルールが守られ視認性が確保されている

    デザインの配色の評価は、単に色がきれいかどうかではなく、見る人が迷わず内容やメッセージを理解できるかが基準となります。

    具体的には、色が原則3つまでに抑えられており、以下の比率に近いバランスになっているかがポイントです。

    • ベースカラー(全体の約70%)
    • メインカラー(全体の約25%)
    • アクセントカラー(全体の約5%)

    使用する色数が多すぎると紙面や画面が散漫になり、どこが重要なのか分かりにくくなるため、注意が必要です。

    また、背景色と文字色の明度差(コントラスト比)が十分に取れているかどうかは、文字の読みやすさに直結します。判断に迷う場合は、白黒(グレースケール)で表示・印刷した際にも文字が問題なく読めるかを確認すると、客観的なチェックが可能です。

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    トンマナが全体で統一されている

    デザインにおけるトンマナ(トーン&マナー)の統一は、受け手に一貫した印象を与えるために欠かせない評価ポイントです。ページごとに雰囲気がぶれていると、内容以前に違和感を覚えさせてしまいます。

    例えば、装飾のルールが全体で統一されているかを確認しましょう。枠線の種類や吹き出しの形状、見出しの装飾がバラバラだと、デザインの完成度が低く見えてしまいます。

    トンマナを統一すべき5つの要素

    1. 配色(カラー・スキーム) メインカラー、アクセントカラーを定義します。
      • 配色はルール化し、3色以内がおすすめです。
    2. レイアウトの規則性 余白(マージン)や見出しの位置を固定します。
      • 写真の角を丸くするのか、角にするのか。枠線の太さや吹き出しの形状に一貫したルールを持たせる。
    3. フォント(書体)の限定 使用する書体は原則3種類以内に抑えます。
      • 例: タイトルは「力強いゴシック体」、本文は「読みやすい明朝体」と役割を固定。
    4. 使用する画像のテイスト 写真やイラストの「温度感」を揃えます。
      • 明るく清潔感のある自然光の写真に、突然彩度の低い加工写真や抽象的なイラストを混ぜない。
    5. 文体(トーン・オブ・ボイス) 語尾や言葉選びのルールを統一します。
      • 例: 「です・ます調」、「だ・である調」など。また、「子供」とするか「子ども」とするかの表記揺れを排除。
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    成果につながる「機能」のデザインの評価基準

    成果につながる「機能」のデザインの評価基準として、以下の3つがあげられます。

    • プロジェクトの目的やゴールを達成できる
    • ターゲット層の性質や行動に合致している
    • 競合他社との差別化要素が盛り込まれている

    前項で紹介した「見た目」のデザインの評価基準を満たしていても、「機能」が不十分であれば、制作物の目的を十分に達成できません。それぞれ詳しくみていきましょう。

    プロジェクトの目的やゴールを達成できる

    デザインの良し悪しは、制作された目的を達成できる設計かどうかという基準で評価する必要があります。どれだけインパクトがある見た目でも、成果につながらなければビジネスのデザインとしては不十分です。

    例えば、見る人に期待するアクション(電話をかける、QRコードを読み込むなど)への導線が明確で、視線の流れを意識した配置になっているかを検証します。

    また、必要な情報(日付、場所、価格など)に欠けがなく、理解しやすいよう掲載されているかも重要なポイントです。

    ターゲット層の性質や行動に合致している

    デザインの評価は、ターゲットとなるユーザーが好感を抱き、実際に行動したくなるかという基準でも行います。

    具体的には、設定したペルソナ(架空の顧客像)に合ったデザインになっているかを確認しましょう。例えば、若年層向けであればトレンド感や親しみやすさを重視する、シニア層向けであれば文字を大きくはっきりと見せる、といった配慮が求められます。

    その際、ターゲットの知識レベルに合わせた言葉選びや表現ができているかも検証します。

    また、移動中に目に入るポスターか、自宅でじっくり読むカタログかといった閲覧シーンを想定し、情報量やサイズが適切かどうかも重要な評価基準です。

    競合他社との差別化要素が盛り込まれている

    競合と比較された際に自社のデザインが埋没しないためには、「差別化」の視点を持ったデザインが不可欠です。他社との違いが伝わるかどうかがデザインの評価基準になります。

    例えば、自社の強みや価値が視覚的にもっとも目立つ形で表現されており、競合と並べて見たときに「選ばれる理由」が明確に伝わるかどうかが評価ポイントです。

    また、競合の制作物でわかりにくい点を分析した上で、その課題を解消できる、より親切なデザインになっているかも確認しましょう。

    非デザイナーでも実践できるデザインの評価基準の運用手法

    ここまで紹介したデザインの評価基準を踏まえ、非デザイナーでも実践できる運用手法として以下の3つを解説します。

    • 制作開始前に評価シートで合意形成を図る
    • 指示は具体的かつ論理的な言葉で行う
    • AIによるデザイン評価ツールを活用する

    それぞれ詳しくみていきましょう。

    制作開始前に評価シートで合意形成を図る

    デザインの制作を始める前の段階で、評価の物差しとなるチェックシートや要件を可視化し、関係者間で合意形成を図ると効果的です。

    評価シートには、レイアウトの「4大原則」やターゲット層との合致など、客観的な評価基準を記載します。デザインの最終的な決定権を誰が持つのかを明確にして、意見が割れた際の判断基準も共有しておくとスムーズです。

    さらに、過去の制作物の評価や反響データを振り返り、反省点を評価基準に反映させることで、制作物の質を改善するサイクルを構築できます。

    指示は具体的かつ論理的な言葉で行う

    デザイナーへの指示は、感覚に頼るのではなく、客観的な評価基準に沿って伝える必要があります。問題箇所とその理由、理想の状態をセットで示すことで、意図が正確に伝わり、制作物の品質向上につながります

    例えば、「もっとシュッとして」ではなく、「高級感を出したいため、明朝体に変更して余白を広げてほしい」と具体的に伝えることが重要です。

    また、修正指示は五月雨式に行うのではなく、関係者の意見を一度まとめてから伝えれば、作業効率の向上や全体のバランス維持につながります。

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    AIによるデザイン評価ツールを活用する

    近年、デザインに関する膨大なデータを持つデザイン会社を中心に、高性能なAIのデザイン評価ツールを提供するケースが増えています。AIは、過去の学習データをもとに、デザインがターゲットにもたらす効果を客観的なスコアとして評価します。

    AIのデザイン評価ツールを活用すれば、担当者の主観が排除され、レイアウトの不均衡といった見落としがちなポイントも自動でチェック可能です。その結果、高額なユーザーテストを実施する前の段階で、見る人に伝わらないリスクを回避しやすくなります。

    ただし、AIの評価はあくまで学習データに基づく機械的な予測です。企業のブランドストーリーや独創性といった文脈や感情をともなう要素は、引き続き人間の判断が不可欠です。

    まとめ

    まとめ

    デザインをビジネスの成果につなげるためには、見た目の品質と機能の両面から評価する視点が欠かせません。評価シートによる事前の合意形成や、デザインに関する具体的な指示を意識すれば、制作物の完成度が高まりやすくなります。

    自社だけでの判断が難しい場合は、デザイン会社やデザイン対応が可能な印刷会社に依頼し、プロの視点を取り入れる方法も効果的です。客観的な基準とプロの判断を適切に組み合わせながら、成果につながるデザイン評価を実践しましょう。

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