紙の厚みは、印刷物の品質や印象を大きく左右する重要な要素です。使用する紙の厚さによって、機能面だけでなく、高級感や特別感といった印象が大きく変わります。
本記事では、紙の厚みの基本的な考え方から、単位の違い、厚みの目安となる一般的な規格、失敗しない選び方などを解説します。
自社の目的に合った紙厚を選び、印刷物の効果を高められるよう、ぜひ最後までご覧ください。
紙の厚みとは

紙の厚みとは、物理的な厚さや重量を基準として表す概念のことです。厚みが増すほど折れ曲がりにくくなり、長期間の保存に適した媒体となります。適切な厚みを選ぶことで裏写りを防ぎ、可読性を確保できる点もメリットです。
また、印刷物を手に取った瞬間の手触りや質感を決定づける要素でもあり、高級感や特別感といった心理的な影響を左右します。
印刷会社とのコミュニケーションにおいては、販促用や保存用など、制作物の目的に合致した素材を選択するための共通言語となります。
紙の厚みを把握するための単位

紙の厚みを把握するための単位について、以下の3つの観点から解説します。
- kgは紙1,000枚あたりの重さを表す連量
- mmとμmは紙1枚の実際の厚さ
- g/m²(gsm)は紙1m²あたりの重さを表す坪量
各単位が示す意味を把握すれば、印刷会社とのやりとりをスムーズに進められます。それぞれ詳しくみていきましょう。
kgは紙1,000枚あたりの重さを表す連量
連量(れんりょう)とは、仕上がりサイズに裁断する前の規定サイズの紙(原紙)1,000枚を1セット(1連)とし、その重量をkgで表したものです。斤量(きんりょう)とも呼ばれます。
印刷会社と製紙メーカーが重さをベースに取引している背景から、実務で最も一般的に使われる単位です。注文や見積時には「コート90kg」「マット110kg」のように表記されます。
同じ銘柄の紙であれば、連量の数字が大きくなるほど紙は厚くなります。印刷物の総重量を計算する際にも活用され、大量印刷時の運送コストや搬入条件を検討する基準にも使われる示し方です。
mmとμmは紙1枚の実際の厚さ
紙1枚あたりの厚みを「mm」や「μm」(マイクロメートル)といった長さの単位で示すことがあります。厚みの示し方の中では、最も直感的に理解しやすい点が特徴です。
印刷業界では非常に薄い紙を扱うため、1,000分の1mmを「1」とする「μm」がよく用いられます。
封筒がポストに入るかどうかの確認や、製本時の背表紙の厚み(背幅)を正確に算出する際などにも使用される単位です。
g/m²(gsm)は紙1m²あたりの重さを表す坪量
坪量(つぼりょう)とは、紙1m²あたりの重量をg/m²(gsm)で表したものです。gsmは「Grams per Square Meter」の略で、国際的に幅広く用いられます。坪量は米坪(べいつぼ)とも呼ばれます。
原紙のサイズに関わらず、紙そのものの密度や重さを比較できる世界共通の基準として機能します。複合機のトレイ設定や紙の品質管理における基礎データとしても広く用いられている単位です。
【一覧】紙の厚みの目安となる一般的な規格

多くの印刷物に使われる標準的な厚みは、90kg・110kg・135kgの3つです。印刷会社がよく取り扱っている厚みであり、これらから選ぶことで納期やコストの面でメリットが大きくなります。そのほかの厚みは、特定の用途に合わせて使用する場合が一般的です。
原紙である四六判の普通紙を基準とした連量と厚さの目安、用途の例は、以下のとおりです。
| 連量 | 厚さの目安 | 用途の例 |
| 70kg | 約0.08〜0.09mm | ・薄手のチラシ ・コピー用紙 |
| 90kg | 約0.10〜0.12mm | ・一般的なチラシ ・フライヤー |
| 110kg | 約0.13〜0.15mm | ・パンフレット ・厚めのフライヤー |
| 135kg | 約0.17〜0.18mm | ・厚めのパンフレット ・カタログ |
| 180kg | 約0.23〜0.25mm | ・官製はがき ・ポスター |
| 220kg | 約0.28〜0.30mm | ・ショップカード ・パッケージ |
連量は原紙の寸法(四六判、A判、B判など)によって同じ厚さでも数値が変わるため、指定する際は注意が必要です。上記はあくまで目安として捉えてください。
紙の厚み選びを失敗しない判断基準

基本的に、印刷用紙は重量(連量)ベースで価格が決まります。紙を厚くすれば耐久性や高級感は向上しますが、コストを圧迫する要因となります。
各印刷物の標準的な厚みを基準にして、そこから印刷物の特徴を加味して判断する方法が効果的です。用途に応じた標準の厚みがあるため、心配なら印刷会社に相談するとよいでしょう。
以下では、紙の厚み選びを失敗しないための判断基準を2つ紹介します。
- 印刷物のデザインや量を考慮する
- 配布方法や加工の有無を考える
それぞれ詳しくみていきましょう。
印刷物のデザインや量を考慮する
印刷物のデザインや量によって、最適な紙の厚みが変わる場合があります。
例えば、写真を多用するカタログやパンフレットでは、色の再現性を高めて、裏面の写真が透けて見えないようにするため、ある程度の厚み(110kg以上)が推奨されます。重厚感を演出するために、あえて135kg以上の厚手の紙を使用して差別化する方法も有効です。
一方、ページ数が多い冊子の場合には、全体が厚くなりすぎないよう、本文には70kg以下の薄手の紙を採用するとよいでしょう。薄手の紙により、めくりやすさと携帯性を両立できます。
配布方法や加工の有無を考える
印刷物の配布方法や加工の有無によっても、適した紙の厚みが異なる場合があります。
例として、大量のポスティングを行う場合は、重量を抑えて配送料を抑えるため、70kg以下の薄い紙が選ばれやすくなります。一方で、手渡しするチラシでは、受け取った瞬間に折れ曲がったり、湿気でくたびれたりするのを防ぐため、90kg以上がおすすめです。
また、折り加工を行う場合、厚すぎる紙は折り目のひび割れが発生しやすくなります。箔押し加工やエンボス加工は、一定以上の厚みがあるほうが仕上がりが安定します。詳細は印刷会社に相談しましょう。
紙の厚みのイメージを持つための調べ方

紙の厚みのイメージを持つための調べ方には、主に以下の2つがあります。
- 身近な既製品を厚みの基準にする
- 印刷会社から見本を取り寄せる
数値だけでは実感が湧きにくいため、日常的に触れるコピー用紙(厚み約0.09mm)や官製ハガキ(厚み約0.23mm)を基準にして比較を行うとよいでしょう。
また、モニター越しでは紙の質感や透過性を十分に確認できません。印刷会社が提供するサンプルを取り寄せ、実物に触れて納得してから発注する方法も効果的です。

まとめ

紙の厚みは、印刷物の品質や機能面だけでなく、読み手に与えるイメージを左右する重要な要素です。自社の印刷物に合った厚みを選ぶためには、用途やデザイン、配送料といった多角的な視点から判断する必要があります。
数値だけでなく、必要に応じてサンプルで実際の質感を確認し、納得感のある最適な紙を選択しましょう。
